どうやって入れ替わったの?
その様子を遠くから見ているものがいる。黒い装いの長身で細身の男。
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(ちょっと、待って)
ひまりは思わず立ち止まる。もう一人の私が話しかけてきたからだ
(な、なに?)
「ねぇ、どうしたの?ひまり」
メイがめいいっぱい微笑む。その瞬間、私とあたしが入れ替わる。
「ねぇ、メイ」
(え?あんた何してんの!!!!どうやって入れ替わったの?)
ひまりは心の中から私に向かって話しかける。大声を出しているのに聞こえていないのか、無視されたまま感情の中に閉じ込められる。私はあたしの感情抜きで行動を始める。
「なに、顔に何かついている?」
ひまりに見つめられ顔を真っ赤にしている。メイは小柄な為見つめる角度が上目遣いになり潤んでドキドキしているのが伝わる。
「ううん、ただ、今日も可愛いなって思って」
「やだ、ひまりったら」
両手を頬にあて嬉しそうだ。ひまりはその手に自分の手をあて
「メイは私の事好きなんだよね」
(当たり前でしょ、親友なんだから・・、あんた何がしたいの)
「私に恋しているでしょ」
(あんたね、変な事を言わないで・・え?ちょっと、まっ・・メイ?)
メイは顔を真っ赤にし恥ずかしさの余り目を背けている。
「大丈夫。私もメイの事大好きよ」
そういって頬にキスをした。
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アビトは悩んでいた。
余りにも昼間のひまりと夜のひまりが違うことに、演技をしているにしても、どっちが本当のひまりなんだろうか?
「もしかして、双子?」
気になったアビトはずっとひまりと同じ学校に通ってきたライトに電話をする。
「お!珍しいじゃん、どした?」
「あーちょっと聞きたいことがあって、あのさ、ひまりの事なんだけど」
「おお」
「ひまりって姉妹っているの?」
「いんや、あいつ一人っ子だろ」
「あ、そうか、そうだよな」
ホッとするような、モヤッとするような歯がゆさが結局は残る。
「どした?なに、もしかして、アビトあいつの事気になってんの」
「まあ、色々あってな」
「ふーーん、そいや、ひまりって」
「なに」
「知りたいか、そうかそうか、教えてやろう。アビト転校してきたからしんないだろうけど。アイツ一度行方不明になったことがあるんだよ」
「え、それ、いつの事?」
「多分小学生低学年、だったと思う。半年位かな、ひょんと戻ってきたと思ったら、何事も無かった様に学校にきて、勉強もできるの、で、自分が行方不明になっていたっても覚えてないって言うの」
「本当は只の不登校だったとか」
「そう、思うだろう、でもさ警察も地域の皆も探し回って、家にも出入りしていたから絶対にそんな事はあり得ないって俺の母ちゃんも言ってた、本人も分からないなら迷宮入りだよな」
果たして、そんな事があるのだろう。疑問が益々増えるだけだ。でももしかしたら、あの鳥かごの子と関係がある事なのかもしれない。
ライトは話を続けていた。
「行方不明になった時にさ、黒い服の男がここら辺で目撃されていたから誘拐説も捨てがたいんだよな」
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メイとひまりは手を繋いでいた。メイは嬉しさをを隠し切れずにいた。やっと叶った恋なのだから
「メイにお願いがあるんだけど、いいかな」
「なんでも言って」
ひまりは耳元で小さく囁く、メイは一瞬戸惑った表情を見せる。
「大好きよ。メイ」
更に耳元で囁かれ、
「分かった。任せて」
と返事をする。
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