ひまりVSひまり
あきは夢を見ていた。
夢の中では、あきはあきでは無かった。
誰か知らない自分である。
あきは、ゆっくりと白く広がる空間を歩いている。それは、まるで行き先を知っているようだ。
あきが、目指した先には大きく広がる水の溜まりがあった。
それをゆっくりと覗き込むとソコには自分の姿があった。かつての自分。ひまりだ。
ひまりは、自分の再開に驚くことは無かった。心の奥底でそれを理解していたからだ。
しかし、映り込んだひまり自身は驚いているようだ。
ひまりは、そっと水の中に手を入れ、もう一人のひまりの頬に触れる。頬に触れられたひまりは驚き、ビクッと反応する。そして恐怖におびえた顔をする。
・・殺される、消される・・
反射的に抵抗する。水面がざわざわと音を立てる。
「大丈夫。心配しないで。これからは、あなただけがひまりよ」
落ち着かせるように、一旦頬から手を放す。それを聞いたひまりは、水の中で深呼吸を始める。目は見開き信じてはくれないようだ。
「それも、そうね、ごめんなさい。随分苦しめたわね。もう、あなたは自由よ」
それを伝え、手を差し伸べる。水中のひまりは恐る恐るその手を握る。
「ありがとう。さようなら・・あたし」
ひまりから水中のひまりへ光の意識が流れ始める。光は熱を帯び水中のひまりは感電したように暴れもがく。そしてそのまま、ふたりのひまりは意識を失う。
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「面白いものが、いるもんだ」
山畑はニヤニヤしながら寝ているあきの部屋にいる。
「お前も体のっとられたのか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「つまんないな。え?喋る事ができないのか?おっと、睨むなよ。いいか、コイツが目を覚ましたらお前手遅れだぞ、まっ俺なりの忠告だからな。はははは、感謝しろよ」
「山畑さん?何をしているんです?」
看護師が声を掛けてきた。少し怪訝な表情をしている。
・・ヤバイ。聞かれたかな?・・・
「あーー。なんでもないです。部屋にもどりますね」
「あまり、他所に出入りしないでください。問題になりますよ」
「あ、はい。すみません」
山畑は、部屋を出る際振り返り「じゃあな」と口パクをする。
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