あきちゃん。昏睡状態
あきはあれから数週間、原因不明の悪寒と熱に苛まれ視点は虚ろで譫言を繰り返していた。その言葉は理解できず一時は脳への心配も余儀なくされた。ピークを経て最近は、熱も下がり容態は落ち着いていた。
が、意識が戻らず、またしても眠りにつく日々を送っている。
「こんにちは、あきさんのお母さん」
「あら、メイさん。学校は終わったの?」
「はい。あきさんは、今日も変わらずですか?」
ふたりは、ベットのあきを見つめる。カーテンから若葉の香りがする。
「あの、これ」
「まぁ、ありがとう。いつもすまないわね」
メイは向日葵の花をいつもお見舞いに持ってきてくれていた。
「いいえ、私、あきさんに刺激を貰っているんです。諦めずにがんばらなきゃって」
「そうね・・・あきは頑張っているのよね」
お母さんは、寂しそうに微笑みながら、あきの手を握る。
「では、また来ますね」
「ありがとうね。あの、お兄さんにも渡辺さんにも宜しくお伝えしてね」
メイは会釈をして病室を出る。
ナースステーションを通り、エレベーターの下矢印のボタンを押す。ナースステーションから看護師さんの声が聞こえる。
「・・そうですよね。でも、同じ言葉いいますか?あの二人接点なさそうですよ」
「でも、ほら、申し送り読んで」
「え?同じ日時ですよね。記入間違いですか?」
「違うわ。ほら、担当は別よ」
・・なんだか、色々ありそうだわね。病院って大変。
ふと視線を変えると一瞬だが、アビトを見た気がした。気のせいだろうか?そういえば、最近学校にも来ていないし。もしかしたら、入院でもしているのだろうか?一瞬でそんな妄想が頭をよぎる。
丁度エレベーターが到着したが、気になったのでアビトかどうか確かめる事にした。
アビトらしき人物が一つの角を曲がり、追った時には姿がない。きっと、病室に入ったのだろう。ひとつ、ひとつ、中を覗きながら確認する。ある部屋のカーテンが閉じられ確認できない。病室の患者名を確認すると、そこにはアビトの名は無く代わりに「田中 ひまり」と名前が記されていた。




