同期:ひまり
なんてことなの・・・・・・・私は、あの悪魔を助けようとしていたの?
ピアスの後ろには確かに悪魔がいた。あれが見間違いな筈がない。今更襲う恐怖に体が震える。
台風一過の様に青空の中に散々した木々たち。ひまりの心も散々に砕かれていた。
何故か、あのひまりの記憶が感情移入を始め、同期する。酷い罪悪感が生まれ始める。「わ、私は、私は、あの悪魔にメイを差し出そうとしていたの?」
キーーーン。
波長の高い耳鳴りがひまりを襲う。
(アップデートを始めます)
頭を何かに乗っ取られた。勝手に情報がインプットされていく。
「頭が・・頭が痛い・・一体誰?誰なの?」
ひまりは頭を抱えて倒れもがく、地面を這いつくばる虫のように。
「ひまり大丈夫か、どこか打ったのか」
事情の知らないアビトは自分の様に飛ばされたと勘違いしているようだ。ひまりを抱え、救急車を呼ぶ。
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「さぁて。うーーん。お久しぶり人間のか・ら・だ」
カレンの姿をしたピアスは、街へ歩き出す。手の拳をじっと見つめ、ソレでボディーチェックを始める。ふとテナントの鏡に映る自分の姿に立ち止まり、「ふ~ん。中々いいからだ」と満足している。
「この子と趣味が合うようだわ。でも化粧は私好みではないわ」
スカートの端を持ち、舞うようにひらりと一周し、ダンスの様に動き出す。格式高い貴族の舞いは、品がありすれ違う人が思わず足を止めピアスの姿に奪われている。もう一度ひらりと体を回転させ、その後何事もなかった様にその場を離れる。足止めをした人はピアスの姿が消えた数秒後にハッとし、「あれ?」と首を傾げている。まるで狐に化かされたようにも見える。
「お腹すいちゃった」
空腹にお腹を擦り、立ち止まると男性が声を掛けてきた。
「ね、そこのお嬢さん。どうしたの?俺とお茶でもしない?」
・・・まぁ、なんていいタイミング
「ええ、いいわよ」
「え!?ほんとに、やったぁ。じゃあ、どこに行く?」
「どこにも行かないわ。ココで結構よ」
「え、それじゃあ、お茶になんないし」
「ココで十分よ」
ピアスはその男性首に手を回し、サッと唇を重ねる
「ウッ」
男性は、一瞬バタつく動きを見せスッと魂が抜かれた様に棒立ちになる。
「美味しかったわ。ごちそうさま」
爬虫類のような舌をサッと引っこめると、男性に会釈をしてその場を離れる。
ピアスの姿が見えなくなり、その男は目を覚ます。男は二、三度頭を振る。
「あれ?あの子は?」
視野は狭くなり、体が重く感じる。思わず座り込んでしまう。そこに女性が声を掛ける。
「お爺さん、大丈夫ですか?気分わるいんですか?」
お爺さん?キョロキョロすると
「お爺さん。お家わかりますか?」
男性は、老人になっていた。寿命をピアスに盗まれたのだ。
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