知られたら、その時はあなたが消えるのよ。
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何?この服、誰がこんな酷いこと・・
リメイクされた服に恐怖を覚える。
(それ、私がしたのよ)
「え?だれ?」
昨日のデジャブで思い出す。鏡をみる。
「そうよ、私よ」
「んーーーーーーーーー」
勝手に動く口を押される。
(何してんの?心で話出来るっていったでしょ)
確かにそうは言っていたが、あれは現実だったのか?思いっきり頬を叩く
「痛ぁああああい」
(当たり前でしょ、馬鹿よね。まっそんな事より、ひとつ協力してほしい事があるわ)
(え?な、なに)
(アビトが話かけてきたら、調子をあわせておくのよ。夜の話をしてきたら報告しなさい!分かった)
(アビト?なに?夜の話って、あんた夜に何かしているの?)
(まあね、でも私とあなたの為の行動よ。感謝してほしいくらいだわ)
(夜に何をしているの!教えなさいよ)
(いいわよ、でもお子ちゃまなあなたには過激すぎるかもよ)
(ちょっと、失礼ね!)
(キス・・)
(はぁぁああ?キスぅーーー)
(これ以上は、今後の協力次第で教えてあげる。じゃ、私は寝るわ)
(まって、ちょっと、もしもーーし)
(・・・・・・・・・・・・・・・)
やられた。昨日と同じパターン。勝手に話掛けてきて、勝手に消えてしまう。どうなっているの?あたしの中に誰がいるの?
(あ!言い忘れていたわ。私の事は皆には内緒よ。勿論アビトにも。知られたら、その時はあなたが消えるのよ。じゃあね)
(えっ・・消えるとは?一体なんでしょうか?)
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今日は一日何にも身に入らなかった。予定外にもアビトは話しかけてくる事も無かった。が、代わりに
「あ、メイからメールだ」
さっき分かれたばっかりなのに
☆ひまり。帰り道気をつけてね。もし、アビトが来たら逃げるのよ
☆今日も楽しかったね
☆でも、ひまりと離れて寂しい ぴえん
☆ね、明日一緒にでかけない?
☆リンクコーデしょ
昨日からメイのアプローチがどんどん酷くなっている。
〇ね、メイどうしたの?なんか変だよ
☆なにも変じゃないよ。もっと一緒にいたいだけ、ひまりは嫌なの?
〇勿論嫌じゃないよ。
☆良かった。じゃあ、また後で電話するね
〇うん あとで
やりとりを終え、なんだかグッタリする。
「はぁ」
溜息をつく。
「おい、どうした。溜息なんかついて」
振り返るとアビトが立っている。思わず
「そんなに、驚かなくてもいいだろ。一人になるのを待ってたんだから」
(お前はストーカーか!!!!!)
思わず言いそうになったが、(アビトの調子に合せろ)あたしの中の私に言われた言葉を思い出す。グッと言葉を 飲み込んで
「あたしになんか用?」
「全く、冷たいよなぁ、俺、約束守ったじゃん」
「約束?」
「ほら、学校で話かけるなって」
「・・あーーーそ、それね。まぁ当然でしょ」
なるほど、それで今日は話掛けられなかったってことね。
「でさ、俺思ったんだよね。あの子助けるってどうすればいいのかな、川があったじゃん。あれ超えられないよ」
ムムム?あの子?川?なんじゃそりゃ
「な、話聞いている」
顔を覗き込んだと思ったら、そのままジッと見つめ近寄ってくる。ちょっとまてよ唇が狙われている気がするぞ!
「きゃあーー。変態!!!!」
アビトを突き飛ばし、そのままダッシュして家に逃げ込む。