監獄・・
「何を言っているの?この檻こそ監獄でしょ」
男は首を横にする。少し哀しそうにもみえる。
「監獄・・そこへ行けばもう二度とお会いすることもないでしょう。悪魔との取引により魂はあなた自身のものではありません。召喚したソノ悪魔と共に裁きをお受けください」
男は、パチンと指をならと先鋭部隊の天使が舞い降りてきた。それぞれ武器となる鉾立を手にしている。監獄へ行くには一度この檻を開かなくてはならない。
(逃げることは不可能、だが念には念をいれなくては・・)
男の表情がキュッと引き締まる。
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カレンはウットリとした表情で唇から離れた。そしてそのまま倒れてしまった。
「えっ?なぜ?」
まさか・・まだ終わっていないの?ひまりは唇を振るえる手で拭うように触る。忌々しさと虚しさが心を支配し、その場に座り込んでしまう。
「ひまり、どうした?」
その声は、会いたい人の声。心が緩み、涙が零れる。
「ア、アビト・・どうしよう。カレンが・・」
アビトは涙にそっと触れ、抱き寄せる。
「キスをしたのか?」
胸の中で頷く、小刻みに揺れる体をアビトは強く抱きしめる。
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あきちゃん。
あきちゃんは病弱だった。原因不明の病でずっと病院のベットで日々と過ごしていた。ある日あきちゃんは言った。
「お母さん。ごめんね。お迎えが来たみたい。きっと今日があきの最後の日になりそう。今まで沢山愛してくれてありがとう・・」
そして、そのまま眠りについた。・・・が、体は生きていた。ずっとひたすら眠りについていた。もう何年も。
その、あきちゃんが目覚めたものの、記憶が一つもない。ただ、生活、環境適応は十分に記憶している。徐々に体は動き始めた。精密検査も始まった。お医者さんは何やら驚きながら
「どうしたことでしょう・・血液検査も正常、脳波にも異常なし、心拍も健康・・どこにも異常なし。オマケに歩いても眩暈もしない。そうだね、あきちゃん」
「はぁい。先生、元気です」
「記憶と引き換えに健康を手に入れたとしか言いようがないなぁ・・あと、性格まで・・まるで別人だ」
その言葉にお母さんは深く頷く。
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