離ればなれの日々
ダンは遠くを見つめ、ギュッと拳を作る。
「どうやら、皆騙されていたみたいだね」
深い溜息を吐き、ひまりの額に手を当て、表情は悲しそうに眼を細めている。ソフィアには、その表情に記憶があった。ピアス様の事を・・叶わぬ思いを募らせている表情だ。思わず自分のグッと胸元を掴む、同じ表情をしているとはソフィア自身は気が付いていない。
ダンは優しい口調で
「すまなかったね。君を解放してあげるね」
「え?」
額から光が差しこむ。やがて光は全身を包み込む。意識に優しいダンの声が響き渡る。
「もう、終わりにしよう。君は自由だ」
離れたくない。。やっと会えたのに、ソフィアの意識は過去を走馬灯に映し出しながら、同時に記憶が消えていく。これが、「死」というものか・・・
真っ暗に落ちていく意識の中、ひまりという存在が手を振り招いている。
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あれから、何の変化も起きない。
それぞれが、何もない日々を送っている。それは、刺激もない。喜びもない。なんとも退屈な日々に思えた
ひまりは、不登校になり、学校には来ることはなかった。
アビトとメイも敢えて距離を置いていた。
ただ、渡中井は違っていた。アビトが倒れる事もなく、ひまりに騙された!と最初は怒りっ狂っていたが
今では、メイの後ろにピッタリ、ガードマン(ストーカー)をしている。メイに色目を使うものが現れると悉く成敗していった。その為、メイに告白するとケガや事故、不幸が起きる。噂が流れ始めていた。
メイはそのお陰で一人になることが増えてしまった。帰路の途中無邪気に遊ぶこども達とすれ違う。あの頃の何気ない会話の数々を思い出す。
「ひまり・・・会いたいよぉ」
青空に思いを乗せる。




