警察官|渡中井《トナカイ》の死後の世界
警察官の名前は渡中井と言った。
渡中井があの世に行けない理由は、本人にも分からなかった。
殉職した後には、自分の葬式も出た。なんなら、写真の横に座って参列者を見学していたし、作られた台本通りのスピーチも聞いた。本当に悲しんでいるのは一握り。そんな感情も読み取れた。
四十九日とやらを迎えればお迎えが来ると思っていた。
成仏する前に、親しい人へ最後のお別れでも・・っと行ったが散々だった。感が鋭い同僚には塩を撒かれ「頼むから、成仏してくれ!」とお願いまでされた。昨日まで同じ人間だったのに、酷い仕打ちだとガッカリした。
それに、なんか、俺、塩撒かれても何とも無かったね。他の幽霊さんは塩撒かれてサッと上がった奴もいたけどさ。なんか、塩も効く、効かない。って個人差あるよね。あ!最近知り合った奴はさ、塩撒かれて蕁麻疹でていたよ。「ぼ、僕は、塩アレルギーだから、困りますぅー」ってさ
親は、イタコさん?霊能者の様な所に出向いて、俺の声を聞きたい。と依頼した。残念ながらソイツは俺の姿も見えなかったくせに、「息子さんは、お母さんに謝罪してます。大丈夫だから、心配しないで」と、ありきたりの事を述べて高いお金を請求した。親は喜んでいたから、まぁ悪徳商法でも人って救えるんだなって感心したよ
死んでしまうと、なんだか人間がくだらなく思えていた。
こんな事もあった。逃亡していた犯人を見つけた事。悔しいね。ほんと簡単に見つけれるんだよ。
その理由は犯罪者はオーラが真っ黒!どす黒いし、滅多にいないから目立つんだよね。オマケに恨み、辛みの怨念がぐるぐる体に巻き付いている。あれは、良い死に方はしないね。特に殺人犯なんか、殺した相手が殺害方法なんだろうね、逆に首を絞めていたり、包丁で刺しまくっていたりするからね。これを知っているとむやみに人を傷つけてはいけない。って皆に教えたくなるよね。
俺にだって、彼女いたんだけど。女心は分かんないよね。悲しんでくれたけど、あっという間に笑って、人生やり直すって、新しい彼氏作って。時々俺に向けて「ありがとう。見守ってってね」なーんて言う。他の男と性行為する女を見守れないですよ。俺、そんな人間出来てねーし。
次にむかつくのが、嫌な事や、悪い事が起きても呪い!とか、成仏出来ない警官の恨み!とか噂してさ、俺のせいにする人。いい加減にしてほしいし、
ほんと、早く成仏したいよ。でも、今はもう少し先でもいいと思っている。
それは、コイツと出会ったから、もう一度倒れた時が「乗っ取りのチャンス」とあの子が教えてくれた。まあ、生きている人間にとり憑いて、自分の思うように行動している奴もいるわけだし、もう一度恋愛ってやつ味わいたいしな。可愛い子目の前にときめきが楽しみに変わっている。
(早く、倒れろよな!アビトくん)
渡中井が笑うと、アビトに悪寒が走った。




