表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/47

私が私を支配する方法。

「ね、あれひまりじゃない?」

 メイが指さす方に確かにひまりらしき姿が見える。服装からして、()()ひまりに見える。

「ひまりーーーー」

 メイが大きく手振る。ひまりは、声に反応した様に見えたが、2,3歩進むと立ち止まり、くるりと方向を変え、道を戻る。明らかに拒絶の反応だ。

「まって、ねぇ、」

 後を追いかけようとするメイの手首を掴み、アビトは首を横に振る。

「もう少しだけ、待ってみよう。な、」

「えーーーなんで。アビトもひまりの事、待っていたんでしょ」

「ああ、待っていたけど」

 去っていくひまりの背中が、どうにも「今は、放っておいて」と訴えているような気がしてならなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ひまりは、メイの声にドキドキしていた。いつもの明るいメイだった。

 メイと接点があったのは、()()ひまりの方。

「はぁーーなんだろう。このドキドキは」

 自分だけの感情になったのが、久しぶりなので、感情のコントロールが下手になった。

 あんなに誰とでもキスをしてきたのに。歩く際にすれ違う、見知らぬ人の吐息も、触れる事も大袈裟までに毛嫌いしてしまう。

 ()()ひまりが眠りにつく時、時々人間界に戻れることが分かった。

 その時に、他人とキスをすると長時間入れ替われることが出来る。そう教えてくれたのも、ピアスだった。その他に、キスをした相手の意識を支配出来る事も教わった。それをすると、ピアスはとても喜んだ。

「ありがとう。お陰でお食事ができるのよ」

 よく、意味は分からなかったが、ピアスが空腹にならずに済むなら。と協力した。

 ピアスは、

「私がココから出れたら、あなたも元の世界で普通の生活が過ごせるのに・・あの男に騙されたのね。可哀そうに・・」

 あの男も色々な世界を行き来するが「ココには来れないの。だから、この世界は安全なのよ」とも言った。

 ()()ひまりは、自由にのびのびとしていた。意識の共有は彼女には出来ない様だった。

彼女の感情は、私には伝わっていた。いい子なんだとも思った。センスの悪さを覗いては。

 キスをすることで、支配できる人間が増え、そのことで、()()ひまりを抑えて、行動できる時間が広がっていった。彼女の意識や眠る時間に関係なく、こちらの気分で体の入れ替わりが出来るようになってきた。このまま上手くいけば私が私の体を支配出来る。そんな日も近い。そう感じていた。

 そんな、ある晩

「ね、君。俺ともキスしてくんない?」

 噂を聞きつけた、ちょっとチャラい感じの男が、ナイフをちらつかせながら近づいてきた。その時の私には何も怖いものは無かった。刺されても入れ替れば、痛みなんて無いに等しい。でも、こんな奴を支配する事に何の興味もなかった。が、断り、事が大袈裟になる方が面倒だと思い。

「そんなものは締まって・・こっちに来て」

 男の手を引く。

「おい、じらすなよ」

「そうねぇ、ココならいいわ。ねぇ、私にキスをして・・」

 頬に手をやると、男は直ぐに虚ろになり、唇を奪ってきた。キスをする。私にとってはいつもと変わらない、なんて事のないキス。が気が付くと目の前に男は倒れていた。

  キスをして、人が倒れたのは初めての事だった。何が起こったのか?動揺していると、ピアスの声が頭に響く

(ひまり。ひまり。聞こえる?)

(え?ピアスなの?)

(聞こえたのね。良かった。戻ってきて)

(でも、この男どうすればいい)

(そいつが、ココに来ているの。使えるかも。だから戻ってきて)

(う、うん。でも、あの子と入れ替われない。まって、家に帰って入れ変わるわ)

 私は家路に急いだ。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ