あのさ、神様ってものがいたら教えてくれよ。
(あれ?アイツ何処にいった?)
ひまりに見とれているうちにアビトを見失ってしまった。
(あああああーーー、やってしまった)
生前も尾行をまかれる事がよくあった。注意散漫だとよく叱られたものだ。殉職したのも犯人に隙をみせた事だと認めている。死んでも人は変わらない。そう思い知らされる。
空を見上げる。死んだらこんなにも世界が味気ないものだとは思わなかっ。先ず、色素が無くなり全てがモノトーンで見える。色彩の喜びなんぞ失って分かるもの。なんともつまらない世界だ。肌で感じる寒さも暑さもない。人間って体あっての生き物だと考えさせられる。
(あのさ・・・神様ってものがいたら教えてくれよ。俺どうやったら成仏できるんすか?)
誰も答えない、空へと呟く。
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「付き合っていないの?」
「はい」
「何で嘘なんかついたの?」
「それはぁ、ひまりさんに頼まれたからです。本物の恋人になってくれたらなら良かったんですけど」
「じゃ、なんで教えてくれたの?」
「だって、あなたが苦しそうだったし、ひまりさんも本当はあなたの事大切そうだったし、なんていったってフェアじゃないな。なんて思って」
「フェア?」
「あなたも好きなんですよね?」
メイは躊躇せず頷く。
「じゃあ、あなたも?」
「はぁい。だからこれからはライバルですね」
メイはひとつの苦しみから解放されてほっとする。でも、なんでこんな嘘をついたんだろう?疑問は残ったままだ。
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アビトは、家に帰り、汚れた体を落とし、今は修行僧の様に頭からシャワーをあてていた。なんとなく気が紛れる気がした。
「もう!なんだよ俺は!!!!」
晴れない心模様は、思春期には解読できそうにもなかった。
風呂からあがり、冷蔵庫から冷え冷えの水を一気に飲む。喉元を冷たさが通っていくのが分かる。
「はぁああ」
ため息交じりの声を出す。
アビトは殆ど一人だった。両親は共働きで帰りも遅く。子育ては放置プレイのまま成長した。幼いころは寂しくもあったが、今となれば好き勝手に過ごせることが有難かった。
携帯電話を見つめるもひまりの連絡先さえしらない。
「何やってんだよ、俺!連絡先位聞いとけよな!」
携帯電話をベットに投げつける。それと同時にピコン。着信の音がする。
「あ?誰だよ。全く」
着信の相手はライトだった。内容はこうだった。
(おーーい。アビト生きてる?)
(なんだよ、生きてるよ)
(そうか、そんなお前に残酷な爆死のご案内)
(縁起でもないな)
(心してみてな)
(もったいぶんなヨ、なに?)
(写真添付・・・)
(な、だいじょぶか?生きてるお前?)
(・・・死んだ)
(おーーご愁傷様)
添付写真は、ひまりが他の男性とキスをしている場面だった。知ってはいる事、生でみた映像。それが今となれば、こんなにも苦しみを与えるほどに。
ひまりを好きになっていることに気が付く。。。




