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「なんでもします」

「なんでもします」

 その言葉には嘘は無かった。私は彼を愛していた。でも、彼は私ではなく。ピアスを愛していた。

彼の役に立つなら、彼の為になるなら、そう思い彼の愛するピアスの願いを聞いた。彼女は自分の実の姉を恨んでいた。姉の美貌、聡明さ、人徳。全てが持ち得ていないものだと嫉んでいた。

 しかし、ピアスは愛されていた。それを知らなかったのは本人だけである。彼女は愛らしく、決して聡明とは言えないが、無知さを恥じる姿は、それはそれで彼女の魅力であった。自分の姿は灯台下暗しなものだ。

 ダンはピアスを見守っていた。私は彼のそんな姿に何度も嫉妬した。が、愛とは自分の幸福より愛するものが喜ぶことである。それを身を挺してダンは示していた。ピアスは高貴な令嬢だった。決して結ばれない関係。綺麗なままで隣国へ嫁ぐ、その日まで。その思いを胸にしまいながらピアスを守り続けていた。

 私は屋敷の主に雇われた能力者だった。魔術は特異な分野だった。

 ある日

「ちょっと・・」

「はい。なんでしょうか?ピアス様」

「お願いがあるの」

「ピアス様のお頼みなら何でも」

「本当!!!」

「なんなりと」

 と、申し出を受けた。きっと、ダンが喜ぶだろう。そう思ったからだ。

 願いは、こうだった。。。

「私にも魔術を教えてほしい!」

「え、が、しかし・・・」

「何でも聞いてくれるんでしょ」

「はい・・・ですが、魔術を習得するには時間がかかります」

 私は、魔術をを使うには契約が必要だとお教えした。

 私の家系は魔術系だった為、他界した祖母が私との契約者になっていた。

 魔術を使うには、見えない世界からのアクセスが必要で。魔術系の中でも力のあった先祖が死後子孫との契約を結ぶのが常識だ。魔術系の家系ではない場合は、少なくとも自力で勉学をし、それが認められた時に初めて天使との契約を結ぶ。

 天使と契約を結べる者は、ほんの一握り。例え契約を結んだとしても子孫には受け継ぐことも出来ない上に、短命になる。が、その代わり、世界を変えるほどの伝説の人物となっていた。名誉をとるか?寿命をとるか?冒険心のあるチャレンジャー(変わり者)程、世界を変えるものだと揶揄されていた。

「ピアス様。一体なぜに魔術を手に入れたいのですか?」

「・・ある人を消したいの」

「消す?」

「ね、あなたが代わりにしてくれない?」

「残念ながら。私にはできません」

「どうして!!。魔術師なら呪うことなんて簡単でしょ」

「ピアス様。私の契約者は祖母に当たります。祖母が許すことがない限りは魔術を使うことも出来ないのです」

「じゃあ、どうやったら呪えるの?」

 いつもの愛らしさは、消えてしまい。形相は別人だ。少し悲しくもなる。ピアスは苛立ちを隠せずにいる。

「でも、私の為なら何でもするっていったわよね」

「はい。出来る限りなら・・しかし今回のお話では私は無力でございます」

「いいわ。そうなれば、あなたのその手で殺して頂戴」

「殺す?誰をですか」

「姉よ。姉のアントワよ」


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