鍵なんて探してもありませんから。鍵は作り出すものですから
「ねぇひまりさん」
「なぁに」
「一体いつまでそうしているんですか?」
ひまりは、かごの前で寝転んでいた。
「そうねぇ、お迎えが来るまでかな」
「その割には中々いらっしゃいませんね」
ピアスは名前の由来通り耳に沢山のピアスをつけていた。
「そうねぇ、思っているより遅いわね」
「ひまりさんってお二方いらっしゃるんですね」
「いいえ。私はあの子なの」
「一人で二人って事ですか?」
「・・・・」
「黙秘ですね。よろしいですよ」
「黙秘じゃないわ。その為にあなたを助けるつもりでいるのよ」
起き上がって、珍しくムキになる。その様子にピアスはニッコリと笑った。
その笑顔をみて、ひまりは以前にした会話を思い出す。
「そうですね。でも、鍵がありませんよ」
「ねぇ、ピアスは鍵の場所知らないの?」
「知っていますよ。鍵なんて探してもありませんから。鍵は作り出すものですから」
「どうやって?なんで今まで教えてくれなかったの」
思わずムキになる。その様子にニッコリと笑いながら言った。
「それは、鍵穴をご覧になればわかる事です」
鍵穴を覗き込む。鍵穴は人の形をしていた。
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アビトは自分の知っている事を全部正直に話をした。
ひまりは驚いて言葉を失い、頭をクシャクシャと掻き毟る
(え?へ?おいおい、アイツはキス魔なのか?何てことをしていたんだ。恥ずかしい痴女じゃん)
「次は俺の質問に答えてくれる?」
(まてよ!となるとコイツ、キス目当てか?)
ちょっと、気持ち悪いものを見る目でアビトを睨む
(イヤイヤ、まてまて、コイツはあの子に惚れているだけなのか?利用されてたみたいだし)
「な、表情が俺を軽視しているぞ」
「あ、ごめん、ごめん、顔にでちゃうタイプなもんで」
「ってことは軽視してんだな」
「あはは」
「全く、俺が真剣に話をしているのに!で、お前は、もう一人のひまりについて何か知っているの?」
「ごめん。本当に何も知らないの、きっとあたしよりアビトの方がよく知っていると思うの」
「そうか」
もう、あの子に会えないと思うとアビトは悲しくなった。
「でも、たぶん・・」
「たぶん?」
「たぶんね。いる場所は知っている」
「もしかして、」
「そう、アビトも知っているでしょ。きっと、ピアスと一緒よ」
「ピアスってだれ?」
ひまりは、ざっとピアスの魂の世界を説明した。アビトは自分が三途の川を渡る羽目になっていたとは知らず、血の気が引いていた。もしも、あの川を渡っていたなら俺は死んでいた。そうまでして何故渡るように命じたのか?疑問が過る。
「ね、アビト。協力してほしい事があるの」
「なに?」
ひまりは、ゴニョゴニョとごもる
「え?なに?聞こえない」
ひまりは赤ら顔をあげ、ふぅーと長く息を吐き決意した様子で声にする。
「ね、あ、あたしとキスしてみない?」
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