第1話(2)夢を見ました夢見ちゃん!
* * *
「えーと、とりあえず名前を...!!」
ぐぅ...ぐぅ...
「尾鳥豊莉です...」
豊莉は夢見と同じ一年生で、内気な性格でそしてとてもおっとりしています。身長は150くらいでしょうか。
ぐぅ...ぐぅ...
「なんでこの部活に?」
ぐぅ...ぐぅ...
ピキピキと眉間にしわを寄せ、輝勝はイラつき始めました。目を閉じて眉をぴくつかせて、その口はひきつっていました。
「え、えーと、面白そうだから...?」
豊莉の額には輝勝の威圧感や雰囲気で緊張したのか、少し汗が見えました。
ぐぅ...ぐぅ...
「そ、そのカメラは...?」
なんとかこの雰囲気をごまかそうと輝勝が質問しましたが、
ぐぅ!!ぐぅ!!
いびきの主は止まりません。
「あ、えーとこれは...」
豊莉が質問に答えようとしたところで、ガタっと音を立てながら輝勝が椅子から立ち上がり、咆哮。
「うるせええええええええええええええ!!!!!」
(えええええええええええええええええ)
豊莉は驚きました。優しそうな人がここまで怒るとは思わなかったのでしょう。夢見はさっきの輝勝の声でも目を覚ましませんでした。
輝勝はのしのしと足音を立て、夢見のそばへ近づき顔を見てニッコリいい笑顔で額に親指を当てて...回転させました。
「天誅!」
ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!!」
夢見は寝込みを襲われました。自業自得ですが。
「いいか?こっちはな、尾鳥さんが入部するという大事な話をしているんだ、それを横でグースカグースカうるせーよ!!」
「へい......あ、ごめん...」
(こいつが謝った...!?ば、バカな!?)
遡ること数ヶ月前、
夢見入学時──
輝勝は自分の弁当を忘れてしまい、購買のご飯をおぼんに載せ、廊下を歩いていました。
ここの購買、ほかほかのご飯だからうめえんだよなぁ...なんて思いながら。
するとそこにうとうとして足元もおぼつかない女の子が歩いていました。
輝勝は、
(危ないな、避けて歩こう)
と思いましたが、流石に放っておけずに、
「おーい、大丈夫か?ふらついてんぞ?」
と注意しました。
「んー」
なんとそこで女の子が輝勝の方に倒れかかって来ました。輝勝は女の子を支えようとしましたが、両手にはおぼん。支えられず女の子の顔がおぼんに直撃。お茶碗の中のお米に鼻のあたりをうずめた状態になりました。
「あちッ」
女の子が起きて体制を直すと、鼻がお米だらけなのに気付いたのか鼻についたお米を手に取って食べました。そして、
「もー、ちょっと、おまえ、きをつけてあるいてよ」
いろいろと突っ込むところが多すぎて輝勝は放心状態になりました。
...それから輝勝は夢見が嫌いになりつつ心配になりました。
頭が。
───そんなことがあった訳で輝勝はタメ口を許し、今回は謝ってくれたので夢見を許しました。 輝勝は感心して、
「謝れるようになって...成長したんだなぁ...」
完全に保護者のセリフだなぁ...豊莉は密かにそう思いました。
「まぁ許してやる、お前はすぐに寝るからもう注意はしないが寝るなら静かに寝ろ?いいな?」
「やったぁ!!これでちゅーいされないんだ!!」
夢見はにこやかな笑顔でバンザイしました。
「あ?」
輝勝は鋭い眼光を夢見に向けた後、下を向いてため息をつきました。
輝勝は思いました。
こいつもうダメだな。
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