第1話(1)夢を見ました夢見ちゃん!
外はザーッと雨が降っています。
昨日の夕方頃に降り始めた雨は未だに止まないようです。
学校の部室、とはいえただの使ってない教室ですが、男女が部室に入って来ました。
先輩は椅子に座ると、
「助かった。昨日はお前のおかげで雨が降る前に帰れた。」
「きのうあめふったっけ?」
「はぁ!?今もガンガン降りまくってんだろ...?」
「あは、そうだった」
この幼稚な喋り方をする女の子は幼稚夢見です。
この高校の一般的、ではないですが、気楽な1年生の少女です。ショートの茶髪が似合っていて本当に、清々しいほど、よく寝ます。
「妖知ィ、少しは部活したらどうだ?」この先輩は 瀬羽谷輝勝です。
この部活の部長であり、二年生です。なにかと夢見の世話を焼いています。
「てかさー、このぶかちゅってなにぶなの?オカルトぶ?」
「ぶか〝つ〝な!んでここは解明部!なんかこう、科学で解明できないようなことを探したり解明したりする部だ!てかなんでお前からが入りたいって言ったのにお前が覚えてないんだよ...」
「オカルトぶでいいじゃーん」
「なんか怪しくなるからダメだ!」
「しかもかいめいとかいって、なんもかいめいしてないじゃん!」
「凄いな、カメラとか解明の意味分かるのか」
「ばかにしてんのー?」
部活ですが、こんな茶番を繰り広げていました。
彼らが通っている高校は部活動が盛んで、他にもいろいろな部活があります。比較的ポピュラーなサッカー部、テニス部、バスケ部などありますが、かるた部、オセロ部、ついには鉛筆削り部なんてあります。
そして彼らの部活、解明部は全然有名ではなく、知っている生徒はほんの一握りぐらいしかいないでしょう。いや一握りもいないでしょう。それに…
「部員が2人しかいないし、ぶっちゃけ解明ってなにすんだよ!『つくれんのかなー部活って』っていう適当な気分でやったらなんか作れちゃったんだよ!もっとダメとかいってくれてよかったんだけどォ!そもそもネタが思い付かねぇぇぇええんだよぉぉぉぉおお!!!」
輝勝が自問自答のように哀愁漂う声を上げて叫ぶと、急に教室のドアの開閉音がし、誰だ?と2人はドアの方向へ視線を向けました。
そこには、薄い青色のきれいな髪でかわいい少女が立っていました。
制服を着ていたので生徒なのは確実です。そして肩にはカメラがぶら下げてありました。かなり高性能なカメラっぽいようです。
「あの...部員って募集してますか...?」
「ぁえ?」
輝勝は素っ頓狂な声を出しました。
彼女は教室へ入ってきて、
「部活に入っても大丈夫です...か?」
と言いました。
「大丈夫!」
「だいじょぶ」
2人は同時に言いました。
そして、
「なんでお前が判断下してんだよ!」
先輩がツッコミを入れると
「あれ」
頭を掻いて笑顔で言いました。
「ふふ、やっぱり面白そうな部活ですね!これからよろしくお願いします」
「なはは、こちらこそ〜」
輝勝はツッコむのをやめました。
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