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第28話 ないもん! ばかぁっ!!

 でも入りかけたところで、アンナの身体はピシッと固まった。


「あらアンナ、あなたにも心配かけたみたいで、ごめんね。でももうすっかり元通りだから安心してちょうだい」


 そしてわたしが話しかけても、アンナは固まったままでピクリとも動こうとはしないのだ。


 アンナの視線はというと、わたしとジェイクにガッチリと固定されていた。


 アンナの顔が、次第に困惑と驚きで満たされていって──!

 

「ふぇぇぇぇっっ!!?? ミレイユ様が目を覚ましたと聞いて急いで駆けつけたら、ベッドでジェイク様に強引に馬乗りされて押し倒されてて! ミレイユ様の服のすそが大胆にはだけちゃってて! 透きとおるような白い肌が見えちゃってて! でもでもミレイユ様も、全然ちっともまんざらでもなさそうな、むしろちょっと嬉しそうな顔をしながら、ジェイク様の腰を優しく抱き返しています!?」


 アンナが超早口で今の状況をまとめ上げた。

 やっぱりこの子はすごく頭いいよね、うん。


 でもね?


「ちょっとアンナ!? 全部誤解なんだからね!? わたし全然抱き返したりとかしてないし! これはその……たまたま手がそこにあっただけだし! 偶然なんだし! つまりアンナの目の錯覚なのよ!」


「ええぇぇ……」

 アンナが「それはないですね~」って顔をした。


「っ! ああもうジェイク! あんたもどさぐさ紛れでいつまでくっついてんのよ、とっとと退()きなさいよね!? アンナに勘違いされたでしょ!」


 わたしは自分でも分かるくらいに顔をまっ赤にして、覆いかぶさったままでいるジェイクを突き飛ばした。


 一気にガーッとしゃべったせいで、はぁはぁと呼吸が荒い。


 そ、そうよ。

 これは単に一気しゃべりしたから息が上がっただけであって、絶対に押し倒されて抱きしめられてドキドキしたからじゃないし!


 じゃないはずだもん!

 ないもん!


 ばかぁっ!!


「ミレイユ、痛いんだが……」

 ベッドから突き落とされたジェイクが、お尻をさすりながら立ちあがった。


「ふん、女の子のベッドに勝手に上がりこんだ罰よ、甘んじて受けなさい」


「もう……ミレイユ様ったら、ほんと素直じゃないんですから……」


「だからアンナ、これはそんなんじゃないんだってば!?」


「はいはい、そーですねー」


「なぁミレイユ、ちょっと疑問なんだけど、さっきから2人でなんの話をしてるんだ? 『そんなん』って、なんだ?」


「わからないなら黙ってそこの壁際にでも立ってなさいよ、このぽんこつ王子!」


「あ、はい、すみません……」

 わたしにキレられて、ジェイクがションボリしながら壁際に移動した。


「ジェイク様、それはですね――」


「アンナも説明しなくていいんだからね!?」


「はーい」

 元気に返事をしながら、アンナはわたしとジェイクのやり取りを嬉しそうに眺めている。


 ああもう、あとでちゃんと誤解を解いておかないと……誤解なの!



 ――とまぁ、そんなこんなで?


 ジェイクやアンナの協力のもと『破邪の結界ver.エルフィーナ』を発動させ。

 究極奥義『アルティメット・リジェネレーション』で重体のジェイクを救って。

 そして最後、力の使いすぎで倒れたわたしが無事に目覚めた――。


 そんな感動につぐ感動の物語は、ふたを開けて見ればいつも通りの日常の延長で――。


 つまりなんていうかもう、完全にぐだぐだだった……。


 一応ハッピーエンドではあったと思う。


 ま、どこか締まらないのが、ポンコツ王子とわたしたちらしいと言えば、らしいのかな?


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