第8話 街へ
投稿が遅れてしまい申し訳ございません。
楽しんで読んでいただけるのなら幸いです。
「いたーーー!!みんながいたよーーー!!!」
そう叫ぶ少女がこちらに走ってくる。
「っ!!ライム!」
サーシャが少女__ライムの方へと駆け出した。彼女がもう一人のパーティーメンバーなのだろう。ライムは汗を大量にかいており、披露している様子が顔からも伺える。
「えーっと。ライム?さん?よかったらだけど、スタミナポーションを飲まないか?このままじゃあんたぶっ倒れてしまうぞ」
「……あんた誰。なんでサーシャたちと一緒にいるの?」
警戒されてしまった。
「ライム。この人はトウヤ。私達をブラッディーベアーから逃げるのを助けてくれた命の恩人だ。スタミナポーションをくれようとしたのもお前のことが心配だったからだろう。ありがたく貰っておいたらどうだ?」
「……わかったわ」
ライムは俺からポーションを受け取ると、その場で全て飲み干した。顔色がだんだん戻ってきているのがわかる。
「ふぅ…。毒かと思ってたんだけど、そんなことはなかったようね。ありがとう。ごちそうさま」
「毒って。そんなの渡さないからな。あと、お粗末様」
そういうと、ライムはフッと笑って…
「あんたバカね」
「はぁ!?」
「いいえ。やっぱりなんでもないわ」
ライムは言いたいように言ったらスッキリしたのか、サーシャ達との再開を喜んでいる。こ、こいつ……!人が好意で出したのに、疑う上に人をバカ呼ばわりだと!?ぶっ飛ばすぞこのやろう!?
「ちょっといいか?」
「あ?ッ!?」
俺が後ろを向くとそこには30代くらいの男が立っていた。それなりに気を配ってあったはずなのに!?いつの間に後ろにいたんだ?
俺は急いで後ろに下がって逃げられるように準備する。そうすると……
「へえー。あぁ、いや、すまない。敵ではない。この突っ走ってたバカを護衛してたBランクパーティ『新月の旅人』のリーダーをしているクロムだ。再開できたようで何よりだが、君は誰なんだ?」
面白そうに顔を歪ませたが、直ぐに戻り自己紹介をしてきた。こいつの話通りなら味方というわけか。安心しても大丈夫なんだろうか?
「あっ!クロムさん!わざわざ来てくれたんですか?ありがとうございます」
サーシャが笑顔で言う。
……とりあえず信用しても良さそうだ。
「……俺の名前はトウヤだ。たまたまこいつらが襲われているのを見かけて逃げる手伝いならできそうだと思ったから手伝っただけだ」
「へぇー。どうやって?」
「初対面のやつに言うと思っているのか?」
「……やっぱり君面白いね。色々気になるから良かったら聞かせ_「バカ野郎!」_あ痛!?」
隣にいたメガネをかけた男が思いっ切りクロムの頭を叩いた。…この世界って眼鏡があるんだ。
「初対面のやつの素性をいきなり探ろうとするな!失礼だと何回言ったらわかるんだ!」
男はそのままクロムに注意するが、クロムは「悪い悪い」というばかりで、流しているだけだということがよくわかる。それを他の仲間と思われる奴らは、はぁ。またか。とでも言うように苦笑したり、方をすくめたりしている。どうやらお決まりのようらしい。その中の一人がこちらによって来て「じゃあ、あの二人が終わるまで俺たちの自己紹介もさせてもらうぜ」といい、話し始めた。
「俺の名前はグラム。であっちでクロムを叱っているのがケーン。で俺の後ろにいる二人がマシューとヒューズだ。背の高いほうがヒューズな。この5人でパーティーをしている。よろしくな坊主!」
そう言うと後ろのそっくりな二人がペコッと頭を下げた。双子?もしくは兄弟か?メガネをかけたケーンも一瞬だけこちらを未会釈した。俺も会釈しグラムに答える。
「坊主言うな。一応15で成人している。……まぁ、あのリーダーよりは話が通じそうでよかった。改めて、俺の名前はトウヤだ。成人したから村を出て旅をしている」
「おう!よろしく!…あいつなんだけどよ。気に入った相手をとことん知りたがる悪いくせがあんだよなー」
「ストーカーじゃねーか」
「いやまぁ、そこまで酷かねぇぞ。でも、あいつがあそこまでなるのは久しぶりだ。お前のこと気に入っちまったようだな」
「男にモテても嬉しくない」
「はは!違ぇねぇ!」
「一応あれでも頼りになるんだぜ」とグラムが今更なフォローをしているうちに向こうの話が終わったのかケーンとクロムがこっちに来た。クロムの頭にたんこぶができているが、どうでもいい。『森の狩人』のメンバーも落ち着いたのかこっちに来た。
「おいクロム。一応お前がリーダーなんだから、これからの指示を出せ。このままダラダラしていたら日が暮れるぞ」
「了ー解、ケーン。…それで、トウヤ。お前はどうする?俺らは街に戻るんだが、よかったら一緒に来るか?」
正直ありがたい。人気のない場所に召喚してくれたのはアフィスに感謝だが、街までどうやって行けばいいのかがわからなかった。渡りに船とはまさにこのことだろう。
「助かる。実は道に迷っていて…。サーシャたちを助けるときにさらに道をそれてしまっていたからどうしようかと困っていたんだ。一緒に行ってくれるのなら心強い」
「あぁ。任せてくれ」
「『森の狩人』の方々は大丈夫かい?」
「はい大丈夫です。『森の狩人』準備は万全です」
「よし!じゃあ、『森の狩人』を挟んで前を俺とマシューとグラム。後ろにヒューズとケーンで行こう。トウヤは後衛だろうか?」
「接近戦はやったことはない。できれば後ろにしてもらえると嬉しい」
「了解だ。ケーン、トウヤを頼む。それじゃあ行くぞ!」
Bランクということはかなり上位なのだろう。そのランクに見合った指示であっという間に編成を整え歩きだした。グラムの行ったとおり優秀ではあるのだろう。
「あっ。その代わりと言ってはなんだが、君のことを色々教え……」
…この性格がなければ素直に尊敬できるのに。俺はそう残念に思いながら中指を建てることで返事を返した。
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街に向かう間は特に魔物に合うことなく進むことができた。ケーンが方向の指示を出していたことから避けて進んでいることは初心者の俺でも理解できる。
大体3時間くらいだろうか。オレンジ色に空が染まってきた頃、俺達は無事に街に到着した。
門の外にはひげを蓄えたごつい男がおり、こちらに気づくと「おーい」と叫びながら手を降ってきた。
こうして、途中でトラブルがあったものの、無事に街に到着することができたのだった。
今回で街まで進みました。
クロムのキャラクターをどうしようか悩んだ結果、このようなちょっと残念なリーダーということで落ち着きました。
個人的にはグラムさんが好きですね。こんな大人がそばにいたら楽しそうだと思い作ってみました。
グラム「お前にモテてもな」(´Д`)ハァ…
ん?消してほしいんですか?
グラム「すいませんでしたー!!」
はいいいですよ。というわけで、次は町に入らせていく予定です。次の投稿予定は決まっていませんが、頑張りますので気長に待っていてください。ありがとうございました。