第1話 雨の日に...
こんにちは。今回が初投稿となる空夜です。
拙いですが頑張って書いていこうと思います。
ザァーザァーと雨の降る音が聞こえる。
駅の近くだからか、ガヤガヤと話し声も聞こえてくる。
だが今の自分の耳には何も聞こえないようにも感じた。
自分の差している傘はもう雨に当たりすぎてじんわりと内側まで濡れてきていた。
学校からの帰り道。
特に一緒に帰る人もおらず、少しうつむきながら一人まっすぐに歩く。
早くに亡くなった母の代わりに育ててくれていた父が三日前に亡くなった。
死因は交通事故だった。
居眠り運転をしていた男がブレーキを踏み損なって父は轢かれ、病院に運ばれたが僕が到着する前に息を引き取った。
小学校の頃から転校を繰り返し、友達を作る機会もあまりなく、父と二人で全国を周っていたが、楽しい日々だった。
もうそんな日々は戻ってこないのかと思うと、また目に涙が浮かぶ。
父は礼儀を重んじる人だった。挨拶をしなさい。約束を守りなさい。嘘はできるだけつくな。
そんな当たり前のことを当たり前にするようにしなさいと、小さい頃から教えられてきた。
怒っているときは怖かったが、決して理不尽なことで切れたりはしなかった。
思い返すごとにどんどん涙は溢れていき、もう雨で濡れている地面に落ち、ぽつりぽつりと波紋を描く。
「まだ慣れないなぁ。」
気がついたらもう目の前には家があった。
家と言っても、二ヶ月だけ借りることになっていた賃貸だ。そこに愛着なんて存在しない。
入ろうとしたとき、目の前を男の子とその母親であろう女が歩いていた。
男の子は俺の近くのにあったポストを指を差し、何かをつぶやいたあと駆け出した。
その時ポストのある違う方の道から車の音が聞こえてきた。
その時俺は持っていた荷物を全て放り出して走っていた。
「止まれーー!!』
叫びながら走る。子供は止まらなかった。まるでその声が聞こえないようにでもなっているかのように、俺の叫びは子供には届かなかった。
男の子はポストのある十字路まで行くが自分に迫る車に驚き、十字路の真ん中で止まってしまった。
車が迫る。もう迷っている暇はなかった。
自分の体で男の子を弾く。飛ばされた男の子は驚いた表情で俺を見つめていた。
そして_____
グシャッッッッ! バキバキビキ!!
俺は車にはねられ、すぐに意識は闇の中に落ちていった。
今回の話はいわゆる説明回です。
どんな主人公なのか、なんとなくでも伝わってくれれば幸いです。
誤字脱字があれば教えていただけると助かります。
11/20 誤字の訂正をいたしました。