〜明けぬ夜はない〜
少しシリアス?
ーチュンチュンー
可愛らしい小鳥達の声が鳴り、街と人々は目覚め始める
「スー…スー…」
まだ目覚めてない者達もいた
今日は土曜日なので吉田サラはまだ眠っている
「スー…」
「…て」
「…」
「…きて…お…」
「…んんー……」
「…おきてーーー!!!!!!」
「うぎゃああああああああ!!?!!!!」
ドゴッ!ゴン!バターン!
そんな音が鳴り響き、その衝撃で目を開けると
「痛いよぉ〜…」
金髪のウルフカット、変な模様のお面、腰まであるマントを身に付けた昨夜の不審者…アンバーがお腹を押えて転がっていた
「えっ…!?!アッアンタ…っっ!!!…あぁ〜…あーーー…そっか…そういえばいたわねアンタ。」
昨夜、居候するかわりに家政夫にさせる事にした謎の不審者だった男、アンバーだ
なぜ、吉田サラの部屋にいるのかというと
「家政夫らしい事するから朝起こしにいくね☆」
といって疲れたのでそのまま放置して寝ていたのであった
「アンタ大丈夫?多分お腹殴ったと思うんだけど?」
「なっ…なかなかイイパンチだったよ……痛いよ〜…」
「ごめんなさいね、不審者対策で護身術習ってるの、そこそこダメージあると思うからしばらく休んでなさい。」
「うん…あっ!朝ご飯できてるよ!!!ご飯食べよう!!!」
「うわっ復活はやっキモっ」
「ひどい!!!!」
台所に向かうと
炊きたてご飯、お味噌汁、焼き魚と卵焼き、お漬物と言う純和風な朝食がとても美味しそうに食卓に並んでいた
「…これ、アンタがほんとに作ったの?私が作ったのより美味しそう…。」
「こっちの世界来てからずっと暇だったから色々な情報読んで勉強したからね!これぐらいは簡単だよ!」
「ずっと?…こっちの世界に来てからって、そんなに長いことあの、電子世界?にいたの?」
「そうだね〜魂だけの存在だったし、ずーっとネットの世界で勉強してたから時間経過をあまり感じなかったけど多分、2、300年位はいたと思うよ?」
「…ハア?!?にっ、2、300年!?!!!アンタ一体何歳なのよ!??てか…え!!?」
「そういうお話はご飯食べながらゆっくりしようよ!ご飯冷めちゃうしね!」
食事をしながらアンバーの話を改めて聞き、まとめると
アンバーは別次元の宇宙にあるとある惑星の第3皇子で周りの年寄り連中から「男で歴代王族の中でも王族としての特徴が1番強いからお前が王様になれ」(要約)と言われ続けたので王様になるのが嫌になり何とかならないかと思っていたら、神様達がアンバーの前に降り立ち、「我らが愛し子よ、そなたに幸あれ」と神様達の御子認定され、あの吉田サラと出会った電子の世界に連れ去らわれたということらしい
「…え?アンタって宇宙規模の迷子じゃなくて時空規模の誘拐にあったの?しかも神様公認の???」
「う〜ん…簡単に言うとそういう事になるの…かな?…アハハ…。」
「ええ〜…神様達なにしてんのよ…アンタも大変だったのね…ほら、お茶でも飲みなさいよ。アンタが入れてくれたやつだけど。」
「うん…ありがとうございます…あっ美味しい…良い茶葉使ってるんだね…」
「分かる?これお中元で貰ったちょっと良いお茶っ葉なのよ。」
そうしてアンバーの身の上話に花を咲かせ、今後の待遇についても話し合い
「最初に元の世界に戻るまで置いてあげるって言ったけど、それは撤回するわ…アンタの生活基盤がしっかりするまでは居候させてあげることにするわ。」
「うん…っ!ほんとっっっ…にありがとうございます!!!」
「大の大人が鼻水垂らすのはやめてよ…ほら、ティッシュ。」
「うぅぅ…生きてる人間の暖かさが身に染みる…」
「大袈裟ねえ…」
「大袈裟にもなるよ…身勝手な神様達の際で知らない場所で長いこと独りぼっちにされるし、魔法で精神が狂えないように保護されてるから死ねないし…辛かった…」
「それは…ほんとに神様達ヒドいわね…てか、それだけ長いことあの電子世界にいたのになんで私が選ばれたの?もっとたくさんの人がいたでしょう?」
「それは…今まで僕が選んだ人が神様達のお目に適わなかったから…て言う建前で神様達が僕を手放してくれなかったの…僕のことが好きだからできるだけ長く一緒にいてほしいって言われて、僕もそれだけ言ってくれるならじゃあもう少し、もう少し…って…」
「気付いたら2、300年経ってたってわけ?アンタお人好し過ぎない?」
「うう…そういわれると…そうなんだけど…不思議と居心地良かったんだ、今思うと精神的に何かされていたんだろうけどこの空間にいれば自分は絶対安全だ、傷つくことはもう無い…そんなふうに思う空間だったんだ。」
「…そう、そんな場所ならずっと居たいわね…」
「…でも、今こうして君と出会って情報だけのご飯じゃなくて美味しくて暖かさを感じれる物を食べれて幸せって何かを思い出したんだ。」
「…」
「吉田サラさん、本当にありがとうございます。」
そう言って、テーブルに当たるほど深く頭を下げたアンバー
吉田サラは
「そういうのはやめなさい」
アンバーの頭を掴んで髪の毛がグシャグシャになるほど撫でて
「とりあえず今日から家政夫よろしくね?アンバー」
優しく微笑んだ
ちなみに、肉体は神様達が「愛し子の肉体も連れて往く」といって魂は電子世界に保存、肉体は神様達の手元で大事に扱われていました。
神様達に人間の理は通じないって神話が言ってたもん!嘘じゃないもん!