〜電子の中にて遭遇〜
現れたのは…っ!?
「…うぅ……あれ?!!…ここ、どこなの…?私さっきまで自分の部屋にいて…そうだ!あの変な広告を押したんだ。」
ガバッ!と起き上がり辺りを見渡すが、吉田サラが横たわっていた場所は、白い文字の0と1が点滅しているように見える青白い空間であった
「ハハ…なに、ここ…?」
すると、遠くの方から音が聞こえる
「なに?!……え?おんが…く?」
その音が近付いて来て、よりハッキリと聞こえてくる頃にはどこか聞き覚えのある、とても楽しい曲だと理解出来た
「えっ!?!なに!!なんなのよ!!!キャアアアアア!!!!」
音楽が鳴っている方を向くと強く光り輝き、音楽も盛り上がりを見せ…光の中から”ナニ”かが現れた
「Are you ready?come on!music!」
「…っ!そ、その掛け声は!!?!」
その掛け声は、吉田サラが大好きな音楽グループの最推しが歌っているソロ曲のはじまりの合図であった
逆光で顔は見えないが、ウルフカットの髪に華麗なマントさばき、指の先から足の先まで美しいダンス
(誰かは分からないけど…すっごく上手…っ!)
声で最推しとは違うと解っていても動きは完全に同じで、歌もとても良く曲終わりまで魅入っていた
「…〜♪!……ーー♪!!!…〜♪…ありがとーお!!!」
「きゃあああああああ!!!!ありがとーーーおおおお!!…はっ!?!」
しっかり、ガッツリ、バッチリとこんな状況でもそのステージを楽しんでいた
「…あ、あ、あ!アンタ!!なんなのよ!!!」
「…あれ?楽しくなかった?アンコールは聴かなくていいの?」
「すっごく楽しかったし!アンコールはぜひともお願いします!!!…ってそうじゃなくて!!!アンタは誰でここはどこなのよ!!!」
「楽しかったなら良かった〜♪!アンコールはバラード歌うね!ちなみに僕は恋のキューピッド様でここには七次元空間にあるエーテル体で来ることができる精神集会場の様な場所だよ!」
「うん、日本語喋れや。」
「えぇ…最近の若者冷たい…それじゃあね〜…ていっ」
気の抜けた掛け声と、浮遊感のある音とともに目の前に現れた10枚の透明な板のようなもの、板のようなものともいうのもチカチカと淡く輝きフワフワと浮かんでいるのだ
「この1番から4番の板が君が住んでる世界ね!んで、こっちの5番の板は関係無いから置いといて…この6番目の板が僕が住んでいる世界、8番から10番の板が神様たちの世界、7番目の板が今いるこの空間だよ。」
そう言って自称恋のキューピッド(笑)は腕を大きく振ると1〜10の数字が描かれた板が順番に動き出す
三列に並び1番から4番の板が重なって一番下の列に行き、真ん中の列に6番と7番の板があり、1番上に8番から10番の板が並んでいる横の少し離れた場所に5番の板が浮いている
「5番はいわゆるパラレルワールドみたいな物だから関係無いよ!6番目の僕の星では他の番号の世界に行く事ができる技術をもっていてね、その技術を使って君をこの7番目の世界に招待したんだ!」
「…あー…うん?何となく解った…かも?」
「分かってくれたようで何よりだよ!!」
「じゃあ私帰りますねさよなら。」
「ちょちょ、ちょっとちょっとまってまって!お願い帰らないで!せめて話を聞いて!!!」
「うわ!キモっ!!!現実で推しのライブ演奏を見れなかった無念さのせいでこんな夢見てるに決まってるわ!!!私は早く目を覚まさなきゃいけないのよ!!!」
「お願い!帰らないで!これ夢っぽいけど夢じゃなくて精神体でのほんとに起こってる出来事だからああああああ!!!」
「うるせえーー!!精神体とか言ってる時点でこれは夢に決まってるじゃないの!!!帰らせろーーー!!!!」
「話を聞いてえええーーーー!!!!」
恥も外見もなく吉田サラの足にすがりつき、引き止めている恋のキューピッド(笑)としばらく争い…
「ハアッ…はあ…話ぐらいなら…聞いてあげようじゃない…そのかわり、ハッ…早く帰してよ…」
「うっ、うん、…ヒック…ありがとうございます…」
号泣しながら引き止められさすがに心が折れた吉田サラであった
彼の話を仕方なく聞くと…
彼は吉田サラのいる次元とは違う宇宙から来た宇宙人でその惑星では科学の代わりに魔法が使われており、吉田サラがここに来る原因になった光る広告もその魔法を使った罠のようなものだと説明され、ファンタジーな世界であると理解した
二、三話程説明回が続きます。
詳しい説明は設定集の方にまとめようと思います。