四季国と王と神獣・導。
彼の国には四季を司る四人の王がいる。
四季・・・それはつまり春、夏、秋、冬のこと・・・。
春の国は『春ノ国』と呼ばれ、夏の国は『夏ノ国』と呼ばれる。
秋の国は『秋ノ国』と呼ばれ、冬の国は『冬ノ国』と呼ばれる。
その四つの国はその名の通り、四季を表す国。
故にその四つの国の全てを合わせた時、その四つの国は『四季国』と呼ばれる。
その『四季国』はそれぞれの国を表す国象徴花の浮かぶ波なき大海・彩海により区切られている。
『春ノ国』は花々の咲き乱れる花の国。
『夏ノ国』は鳥たち囀ずる鳥の国。
『秋ノ国』は風吹き止まぬ風の国。
『冬ノ国』は月沈まぬ月の国。
『春ノ国』の王は『春主』と呼ばれ『夏ノ国』の王は『夏主』と呼ばれる。
そして、『秋ノ国』の王は『秋主』と呼ばれ、『冬ノ国』の王は『冬主』と呼ばれる。
この四人の王にはそれぞれ、神の使いである獣が一頭ずつ憑き、王のその最期の時まで仕え、従い、それぞれの国をあるべき道へと導いていく。
その神の使いの獣はそれぞれの国の象徴でもあるため人々はその神の使いの獣・・・神獣を崇め、大切にする。
そして、その神獣は種を越えた全ての獣たちを従える獣の長でもある。
四頭のその神獣は導と呼ばれ、『春ノ国』の導は『主花』と呼ばれ、『夏ノ国』の導は『主鳥』と呼ばれる。
そして、『秋ノ国』の導は『主風』と呼ばれ、『冬ノ国』の導は『主月』と呼ばれる。
王にも王に仕えるその神獣の導にも決まった寿命はなく、王も神獣も共に不老長寿であるため何年も同じ王が政権を握ることがある。
王が良ければ国は潤い、王が悪ければ国は滅びる。
王の死と共に・・・。
今からお話しするのはその四季国が一つ、『夏ノ国』のお話・・・。