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彼女お得意の不幸自慢。  作者: 元平亭
1/1

思いの外恵まれている彼女


 彼女は決して、「自分が世界で一番不幸」などと思っているわけではない。


 彼女は他人に対して興味がない。他人の幸福も、不幸も。まるで興味がない。彼女は自分自身のことで頭がいっぱいである。他にかまっている暇なんてない。他所様のことなんかどうでもいい。


 人のことなんかどうでもいいし、興味もない。どんなことがあろうと完璧無関係他人事である。

 人の不幸は彼女からしてみればそんなの不幸のうちに入らない。当たり前の幸せがあるように、当たり前の不幸がある。その程度のことである。幸か不幸か。すべて平等である。



 入学式。この高校は私の姉が通っていた有名な女学校。今は共学化されているが女子の比率がとても多い。

 この学校に入ってくる男子は全員ハーレム目当てなんじゃないかと思う。別にどうでもいいけど。


 はー、くだらないくだらない。どんだけ盛ってんだよ。


 「瑠莉ッ!」


 背後からやかましい声が聞こえる。

 「朝っぱらからでかい声出すなよっ」

 「ごめん。ごめん。顔も知り少ないから、お前を見つけて嬉しくなってさ・・・」

 キモいこと言うな。


 この頭の悪そうな男は勇気。幼馴染の一人。

 やたらと私に絡んでくる。鬱陶しくてたまらない。


 「なんでいんの?」


 「はぁ?なんでって今日からここの学生だよ!同じ高校に通うって言っただろ?」


 「ちげーよバカ。なんで私のそばにいんの?って聞いてんの」


 「なにツンツンしてんだよ。俺とお前の仲だろ?」

 どんな仲だよ。ただの幼馴染だろ。良いからほっとけよ。


 「つーか、お前さ・・・」

 ウゼェなこの餓鬼・・・。

 「その制服何?」

 今更気がついたのかよ鈍臭いヤツだ。


 「お姉ちゃんの御下り。旧制服。」


 私には8つ離れた姉がいる。姉がこの高校に通っていたときの制服だ。共学化されてから制服のデザインは一新された。


 「目立ちすぎじゃね?」


 「これしかないの。少しでもお金貯めないと」

 

 勇気はそれ以上何も言わなかった。

 悪目立ちしているのは分かっている。でも、それは仕方がないこと。


 大好きなお姉ちゃんが着ていたこの制服。デザイン的にはかなり気にっている。

 古い割には状態がとても良い。サイズがゆるゆるだけど・・・。そのうちぴったりになるだろう。


 「なんか制服に着られてるなお前」

 ちょ・・・、お前言ってはイケないことをサラッと・・・。


 「次言ったら殺すから」

 「冗談だよ。ごめんごめん」


 


 


 



 


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