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ねえ貴方、私と仕事...なんて、比べる必要ないわね?

作者: Dry-Ice



「昨日彼にね、私と仕事どっちが大事?って聞いたら『そんな質問させてごめん...』って抱き締めてくれてね。あー、私本当に彼に愛されてるんだ〜って!」


「へー、良かったね。」


「うん!そっちはどうなの?」


「別に普通だよ。」


「そーなんだ!まあ、なんか恋人っていうより夫婦って感じだもんね(笑)」


「...そうだね。」


私には同棲中の彼氏がいる。

いつだったか覚えてはいないけれど、何年か前、私も彼に私と仕事どっちが大事?と聞いたことがある。

記念日なのに飲み会で日を跨いで帰ってきたところで聞いたのだ。

今までは飲み会で帰りが遅くなるのを仕事付き合いだと言うから目を瞑っていたものの、今日という今日は許せなかった。


『...ねえ、私と仕事どっちが大事なの?』


『ん〜?お前が大事だからお仕事頑張ってるの♡』


そう言われてアルコール臭い彼に抱き寄せられて、軽くキスされたかと思いきや舌が入ってきて。

満足した彼は千鳥足で寝室に行き、スーツを着たまま眠ってしまった。

時計の針の音と彼のいびきだけが頭に響く。

私って何なんだろう、そう思うと涙が止まらなかった。


そういえば、前に似たような話題になった時『こんなこと言ってるけどさー、女だって仕事のねえ男は嫌なんだろー?』って笑ってたっけ。...ああ、馬鹿なこと聞いちゃったな。


私は彼に尽くしてきた。何でも彼に合わせてきた。彼好みの容姿を取り繕って、料理の味付けも全て彼好み。彼が過ごしやすいように、彼が好きなように。

貴方がサバサバ系が好きだって言うからサバサバ系女子の言動を研究して...あと、貴方の好きなAV女優だって把握してるわ。

お義母さんが早く彼女を紹介しろって言ってるのよね?それに、私の家で同棲していることもお義母さんに言ってない。どうしてそういうこと私に何も言ってくれないの?どうして躊躇ってるの?

貴方との関係は順調に段階を踏んでいるのに、どうして私以外のものによそ見するの?


それから数日後、たまたまテレビを点けると女子高生が十何年も片思いしている幼馴染が振り向いてくれないと恋愛相談していた。そのアドバイスの『十何年も好きな貴女自身のことが1番可愛いのよ。ここまで思ったんだから報われなきゃ私が可哀想って。』という言葉が胸に刺さった。

それ以外の言葉は耳に入らなかったが、兎に角目から鱗!

そうか!私は自分のことが1番好きだったんだ!

貴方に私と仕事どっちが大事?なんて聞いておいて、私が1番大事にしていたのは私自身だったんだ!

経済力も欲しい、愛情も欲しい、私が貴方を使ってそれらを満たしたいとどこかで思ってしまっていた。

だから貴方は私を見てくれなかったのね!

貴方は寂しがりで構ってちゃんで愛されたがりで、『俺のことを1番優先してくれる子が好き』って昔言ってたの、今やっと理解したわ!


その日、彼が帰ってきてお風呂に入っている間にお義母さんに急遽海外に行くことになったから暫く連絡取れないとメールを送り、会社には仕事を辞めますと一方的に電話で話して粉々になるまでベランダで金槌を使ってスマホを叩き割った。

明日から休みだからといつもより多めにお酒を飲ませて眠らせて、ベッドに運んで足枷を付け家中を歩き回れる程の長さのチェーンで繋げる。アパートのワンルームだからそこまでの長さはない。ベランダには出れて一歩ぐらいかしら?

玄関の外からも鍵を付けた。いつも鍵を使わずに帰ってくる貴方は気付かなかったでしょうね。

パソコンも固定電話も片付けた。

さあ、おやすみなさい。



明日から貴方には私だけよ。





私には同棲中の彼氏がいる。

いつからだったか覚えてはいないけれど、彼は私と仕事を比べる必要がなくなった。

彼には私しかないのだから。





お読み頂き有り難うございます。

よろしければ『死を選んで。』などの方もお読み頂けると嬉しいです。

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