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【挿絵有り】ドリーム★コネクターズ ー不幸少女と空想少年ー  作者: バンブー
上野公園世界編

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第49話 夢:(6/9)

 コウタロウを先頭に、彼等が身を隠しながら夢から出口を探す。公園の外には見えない壁が張られており外へ出ることが出来なかった。コウタロウが上野公園の地理を把握しているようで一通り巡っていくが、それらしい所が見当たらない。


「クソ! 出口が見当たらねぇじゃねぇか!」

「……」


 ショウは光の扉のことをコウタロウには言わなかった。見つかった所で、カイトの時の同様扉をくぐれない可能性がある。今のショウは光の扉ではなく、コウタロウが夢から覚める方法がないかを模索していた。


「ああん?」

「痛ッ!」


 先頭を歩いていたコウタロウが急に止まり、ショウは彼の背に頭をぶつける。鼻頭を押さえて前を確認するショウだが、そこは特に特徴もない公園の一角だった。


「どうしたんですか?」

「……ここは」

「え? ここがどうかしたんですか?」

「……ここが、事件があった場所だ」

「え……それって……」


 コウタロウの言葉にショウが驚いている最中だった――



『アーッハッハッハッハ! ソウ! 俺ガ、オ前ニ捕マッタ所ダヨ!』



 高笑いが公園に響き渡った。


「この声は!?」

「ッチ!!」


 二人が身構えると、地面から球体状の黒いモヤが一つ現れる。バスケットボール程の大きさのそれは、真ん中に赤く光る点を生み出しユラユラと揺らめいた。


「な、何だコイツ!?」


 コウタロウが黒いモヤに木刀を構えると、黒いモヤはフルフルと振るえる。


『悲シイナァ……俺ノコトヲ忘レチャウナンエテ泣イチャイソウ』

「ああ? 猫の毛玉みてぇな知り合いは、俺にはいねぇぞ!」

「南方……」


 メンチを切っていたコウタロウだが、ショウの言葉にハッと気づく。


「おい水瀬……今お前なんて……」

「南方ダイチですよ……上野公園通り魔事件の犯人……」

「アーッヒャッヒャー! 大正解ダ! サスガ水瀬ショウ君! 俺トハ通ズルモノガアルナ!」


 黒いモヤの南方は更に空へと浮かび上がる。


『前置キハコレクライニシテ、ソレジャアサッソク死ンデ貰オウカ!』

「テメェ! まさかあの時、俺が取り押さえたクソ野郎か!?」

『……アア、何カト思ッタラアノ時俺ノ邪魔ヲシタリーゼントノガキカ……』

「テメェに付けられた腹の傷! 忘れたなんて言わせねぇぞゴラァ!」

『アー、忘レナイ忘レナイ。萎ビタフランスパンミタイナダサイ髪型、忘レラレル訳ガナイダロ? ブハッハッハッハッハ!!』

「テメェ……俺のソウルをよくも……」


 顔から湯気が出るのではないかと思わせる程真っ赤にするコウタロウ。それを後目に、ショウは南方を指さす。


「南方! さっきは、よくも……もう、僕は能力が使えるようになった。現実世界の時みたいにやられたりしないぞ!」

『イヤ~参ッタナ~マタ負ケチャウヨ~。ショウ君ハ強イカラ勝テナイヨ~』


 表情は見えないが半笑いのオドケた声音を出す。その声にコウタロウが反応する。


「ふざけんてんじゃねぇぞオラァ! 捻り潰してやるからとっとと降りてこい!」

『マアマア、ソウ焦ルナヨ。今回モ、ショウ君ノ対策ヲシタ敵ヲ用意シテ来タンダカラサ』

「何がこようとも、僕は貴方に負けたりなんかしない!」

『ハタシテ、ソウカナ?』


 今までにない程落ち着いた反応を見せる南方に、更に緊張を高めるショウ。すると、南方の浮かんでいる下から二体の黒い人型の陰が現れる。


「ああ? 何だ? さっきまでの黒い雑魚じゃねぇか?」

『コイツ等ガ君達ノ遊ビ相手サ』

「はぁ? テメェ俺達を舐めて……」


 コウタロウが話している途中、黒い陰はウジのように体を細かく蠢かし、徐々に形と色が付き始める。徐々に徐々に形が形成され、二人の人物に姿を変化させていく。


「……え」


 形を変えていく陰を見て、ショウは凍り付く。

 黒い陰だった物達は、形成が整うと同時に口を開いた。


「なんだ……ここは……ショウ!? ショウじゃないか!?」

「……ショウ!? それにアナタ!? ここはいったい何処……エリは!? エリは何処!?」


 陰達は、自分達を確認しながらも近くに居たショウの安否を気遣う。そして……彼等の手には、工具用の斧とノコギリが握り迫られていた。

 その容姿や様子を見たショウとコウタロウは困惑する。


「お、おい……コイツ等もしかして……」

「……父さん? ……母さん? そんな……何で……」


 浮かんでいた南方は空中で二つに分裂し、ショウの両親二人に向かって落ちる。すると彼等に吸収されるように溶けて消えていった。


「な、何だ!? 腕が勝手に!?」


 すると、斧を持っていたショウの父が持っていた斧を振り上げショウに駆け向かっていく。


「と、父さん!?」

「や、止めろおお!? ショウ!! 避けるんだ!!」


 父の叫びをとっさに聞き入れショウは飛び退く。父は息子の居た地面に突き立てる程の力で斧を振りかざす。


「アナタ!? 何てこと……いや、なに!? う、腕が勝手に!?」


 口を押さえる母だったが突然彼女も持っていたノコギリを振りかざし、コウタロウめがけて振り下ろしに行く。


「い、いやああああああああああ!?」

「な!? く、クソが!!」


 不意な動きに動揺しながらも、ノコギリを木刀で受け止めるコウタロウ。母を恐怖で涙ぐみながら首を横に振る。


「ち、違うの……これは……腕が勝手に……」

「父さん! 母さん!」

「ショウ! 逃げなさい! 父さんと母さんから早く!!」


 皆が混乱する中、再び南方の声が響きわたる。


『ヒャーッハッハッハッハ!! サア、ショウ君! 今回ハドウスルヨ! イツモノパワーデコイツ等ヲ捻リ潰シテ見セロヨ! フヒャーッハー!』

「南方……お前……」


 ショウは、今までにない程の怒りが込み上げ始めた。

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