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シャドウルーラー 〜異世界で俺は何をしようか〜  作者: 寿司のわさび
第1部 心の中に生きている
1/4

1話 どうやらここは異世界らしい

初めて、小説というのを書き始めました!応援よろしくお願いします!


 空だ…


 なぜか空が見える。雲はまるで絹のように美しく、幻想的だ。ここはなにかの影になっているようで、時折吹く風がとても心地よい。

 だが、この空はどこかで見たことがあるような気がした。そう、あの時もこんな新緑の季節だった。

 

 違う。あのときはもっとうるさかった。遠くに聞こえる喧騒と、サイレン、眠ってしまいそうなくらい気持ちよかったのに誰かが俺を起こそうと体をゆすって、大きな声でしゃべっていた。

 

 「大丈夫か?」


 そう、彼はそんなことを繰り返していた。

 待て。彼は「大丈夫か?」といっていた。それなのに俺は、目を閉じた。

 思い出してきた。考えごとをしていて、気分も憂鬱で、気づいたら車が迫ってきていた。あわてて顔を上げたら、信号は赤だった。

 そうか、俺は死んだっぽいな。まぁ、あんな世界はもういやだ。ここが天国っていうなら、これでよかったのかもしれない。もしかしたら、あの人と会えるかも。そしたら一緒にこんな天気の中、ピクニックにでも行こう。

 それは、本当に想像しただけで心が躍った。

  

 「じゃあ、探さないとな。この世界で。」


 そう思い、体を起こそうと思った。だが、景色は一向に変わらない。


 「あれ?まさかこの世界でも怪我は継続中なのかな?」


 そんなわけがない。もしそうなら、ここは天国ではなく地獄だろう。じゃあなんだ?俺はどうなってるんだ?とりあえず、手ぐらいは動くだろう。

 動かない。足も無理そうだ。これでは俺の実体はないことになる。あれか!第三の視点でここは俺が生きてた世界ってことか?それはやだな。

 なんかできないかとがむしゃらに動こうとしたとき、急に視点が変わった。地面が見える。芝生のような地面。数メートル先には森も見える。木々はうっそうと茂り、木漏れ日の中、鳥がさえずる。相変わらずどこもかしこも美しいな。

 だけどやっぱり第三視点なのかなぁと思ったその時、鳥のさえずりがやみ、ガサゴソと物音がした。

 え?なんかでるの?やめてほしいんだが…せめてかわいいうさぎみたいなやつであってくれ。


 「ぷは!お、ひらけた場所だ!休憩しよう。」


 あれ?人だ。四人の少年少女が現れた。いわゆる冒険者って感じの服装だ。冒険者なのか、コスプレイヤーか…

 まぁ、でもここは、天国でもなく地獄でもなく現代でもなく、異世界のようですな。さすがに、森でコスプレするやつはいないでしょう。おれは転生したのか?そもそも生きてんのか、おれ?まぁ、あいつらに話でも聞いてみるか。まず、それからだ。


 「おーい!そこの君たちぃ!」


 …全然聞こえてないんですけど。あの年で無視はないでしょう。ここは異次元だし、やっぱりおれには実体がないようですな。声も通じない、と。


 なんだよそれ!全然なんもできないじゃないか!異世界来る意味なくない?なんで神は俺をお召しになったのよ!!

 キレたところで始まらないので冒険者たちの話を聞くことにする。だけど遠くて全然きこえないんだよな。もう少し近づきたいんだが…

 もうちょい前いけないかな?うごけぇぇ…

 その瞬間、俺のお体は滑らかに移動した。スーッと。まるで幽霊のように。

 あれれ?…移動した…。

 なんだよ移動できるんじゃん。そう思い、さらに進もうとしたが、全く進まない。なんで?下を見て気づいた。影だ、ここは影。さっきいたのも影だ。だけど前。そこは影ではない。


 …俺は影?なのか?まぁ、でも影のあるところなら通れる。目の前に影はないが、ここは森の中の木のない場所で、円の中だけ木が生えていないようになっている。外側を伝っていけば、あいつらのそばに行って、話が聞ける!

 コツをつかんだ俺は、なめらかにそして、静かに、はやく移動できるようになった。

 気づいたら、さっきは十五メートルほど離れていた冒険者たちの後ろに回っていた。


「なかなか今日は、運がいいな!ゴブリンが4体も出てくるなんて。」

「あんまり、ですぎてもこまっちゃうけどねー!」


 短い茶髪で青い瞳、腰にショートソードのようなものをたずさえ、布で作られたであろう鎧をまとう少年(たぶんリーダーのような存在なのだろう)と、胸まである赤い髪を上のほうでポニーテールにしているはっきりした顔立ちの少女(こちらは、槍を持っている。鎧は両者、変わらなさそうだ)が話している。

 なるほど、ゴブリンがいるのか…。まぁ、影である俺には関係のない話かもしれない。


 「そろそろ、帰りますか?今日はもう充分な量狩りましたし、依頼も達成できる数でしょう。」

 「ぼくも賛成だ。みんなだいぶ疲れてるだろう?」


 あとの二人。知的な印象をうけるやはり短く、緑の髪色の少年(盾も装備しているしこちらはさっきの子のサポートにまわるのだろう)と、薄い金髪で腰まである長い髪をそのままにしてる、静かそうな少女(こちらは、魔術師っぽい金の刺繍が入ったローブを着ている)がそれに意見を言う。

 依頼ってことは、ギルドとかあるのか!…まぁ、やっぱり俺には関係のない話かもしれない。

 とても楽しそうで、うらやましい。なんで俺は影なんだ…

 

 「たっく、四体も絶対今までなら無理だったよなぁ…。

  もちかえれないっつーの!」  (茶髪少年)

 

 「文明改革なんて、維持連盟もおもいきったことするよねー。

  アイテムストレージが使えるようになったのは本当に便利だよ。」 (緑な少年)


 おおおお!いいこと言うじゃないか、君たち!この世界のキーワードっぽいぞ。

 だが、いかんせん深くは分からない。

 維持連盟とかいうこの世界か、国か、地域の統率集団らしきものが、文明改革というおもいきった事を行った。結果、アイテムストレージというアイテムを収納でき、使用する空間ゼロの画期的なものがつかえるようになったということか?

 予想できるのはこのぐらいだろう。文明改革、そして維持連盟か…なかなか激動の時代らしいな。行動には理由という尾ひれがついてまわるものなのだから。


 しばらく他愛のない雑談をした後、若き冒険者たちは帰る身支度を始めた。結局重要な情報はあの部分だけだった。だが着実に前には進んでいるだろう。

 考えたが、あの四人組についていくことにした。ここにいてうろちょろするのも楽しそうだが、この世界に関する情報を手に入れるのは、この冒険者たちが帰る村だか、町だかにいって盗み聞き(?)するのが早いと思ったからだ。

 そして、すこし驚いたことがある。こんなわけもわからない世界に飛ばされあれやこれやと試行錯誤しているのを、どこかで楽しいと感じている自分がいることだ。

 楽しいと感じるなんていつぶりだろうか…。やはり何にも縛られていないからだろうか?当分飽きは、来なさそうである。


 「じゃあ、帰るぞー。」 (茶髪少年)


 軽い足取りで今来た道を戻る彼らの後ろから、影を縫うようにして、あとをつける。日も少し傾き、西側の空は少し赤みがかかってきた。森は一層暗くなってきている。

 

 「そろそろ、明かりつけますか?」 (ローブ少女)

 「頼むねー!」 (赤い髪の少女)


 そうか、魔法があるんだったな。これも文明改革によるものなのだろうか?それともその昔から使えたのだろうか?

 待てよ…魔法とやらを使えば、俺も冒険者にばけたりとかできないのか?日本で有名な忍者まんがでもあったしな。ためしに俺もあかりとか出してみるか!と思ったがそれでは、冒険者たちに不審に思われてしまう。また今度にしよう。

 新たな道がまた一つできた。その調子だ。

  

 山のくだりに差し掛かると、遠くにだが光が集まっているのが見えた。たぶんあれが帰る場所なのだろう。

 ホッとその場にいるみんなだれもが安心したその時だった。俺の視界の端に何かが映った。ものすごい速度で。


 「「伏せろ!!」」


 俺の出ることのない声と、一番後ろだった、緑の髪の少年が叫んだのは同時だった。

 そのものすごい速度のなにかは、一列になっていた彼らの後ろから二番目にいた魔術師の少女の頭をめがけて横に移動する。

 緑の髪の少年のとっさの言葉に反応したその少女は身を屈める。

 ものすごい速度のなにかは、間一髪、少女の頭をかすめ、振り切られる。

 

 「「グォゥオォォォォォォォォオオオオ!!! 」」

 

 体の底から振動するような感じ(俺に体はないが…)ものすごい大きさだ。

 闇の中から、5メートルはあろうかという巨体が現れる。熊だ。グリズリーレベルの。そしてなんかまがまがしいオーラを放っている。目も紅い。なんだこれは…これが魔物なのか?みんな魔物はそうだというのか?一秒でも早く立ち去りたいような感じだ。


 「グリズリーだ!しかもこれ…!!」 (茶髪少年)

 「ああ…維持連盟が改革した理由の一つ。凶暴化していやがる!!」 (緑の髪の少年)


 やはりあったのか!改革の理由!そしてやっぱりグリズリーなんだな…こいつは明らかに魔物だと感じ取れるが、名前だけだと判別がつかないな、動物のグリズリーと。

 凶暴化??そのまんまか?

 すまんが今の俺は助けることもできない。見守ることしか…な。


 不意打ちをよけた彼らは散開し、陣形を組む。

 勝算はあるのだろうか。


 





 




 


書き溜めは2話、3話しかないので、明日も更新します笑

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