表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の理由  作者: くー
1/1

誰からの告白も断る彼女

「あ、相川さんだ。あれは、告白されてるのかな」

桜の花びらが舞い、夕日が赤く照りつける放課後の中庭。そこに2人きりの少年少女。

ついつい窓から様子を眺めてしまう。少女は頭を下げ、少年は膝から崩れた。

「あーあ振られちゃった。あいつ噂を知らないのかな。いや、きっと知った上で告白したんだろうな」

彼女の名前は相川由紀。

その相川由紀にはある噂がある。


『相川由紀は誰からの告白も断る』


容姿端麗なのに鼻にかけず、人当たりもよく、誰にでも優しく、高嶺の花という壁を感じさせないような欠点の見つからない完璧な彼女は実際モテる。

告白した人の中には、学年1のイケメンだと呼ばれる奴や、サッカー部のエースの先輩、入学して間もない後輩なんかもいた。

しかし、彼女が告白を受けたことは一度もない。

恋心は一切なかったが、彼女に興味がわいた。

なぜ彼女が誰からの告白も断るのか、暇な時は考えていた。

だが、考えはまとまらずいつも諦める。

俺、渡辺智也は考えることをやめ、俺は授業をサボったことに対する反省文を書き上げ職員室に提出するため教室を後にした。

中庭から少女に見られていたことも知らずに。



~~~ ~~ ~~~ ~~


「うわーーーん!!ふられたーーーーー!

!!!俺の恋は散りきった桜のように儚くやぶれた!!!」

「うるさい。叫ぶな。お前だってフラれるってわかってて告白したんだろ?」

「でも、でも!!ワンチャンあるかなって

!フラれたらフラれたで新しい恋に進める

じゃん!?」

さっきから泣き叫んでいるのは、小学校からの腐れ縁の山口颯太だ。

相川さんに告白したがフラれたらしい。


相川さんに興味を持ったのは進級して少ししてからのこと。

同じクラスになり距離が近くなると、「やっぱりあの噂は本当なんだ」と実感した。

なぜ誰からの告白も断るのか そんなことを考え始めたのはそのころからだった。でも、わからなかった。

誰からの告白されても

「ごめんなさい」

そうやって相手からの好意を拒絶する彼女が好きになる人はいるのだろうか。いるとしたら見てみたかった。


「智也も告白するなら早いうちにするべきだと思うぞ。いつコロッと誰かの彼氏になるかもしれないんだし」

・・・は?

「なんで俺が相川さんに告白するんだよ」

「知ってんだぞー智也が暇さえあれば相川さんのこと、じーーっと見てるの」

考えてるとこを見られてたのか…

「あのな、相川さんのこと別に『好きじゃない』ぞ」

俺が言い終わる瞬間に颯太は目を見開き、慌てだした。

「…ん?そんな驚くことじゃないだろ?」

「バカッ!後ろ後ろ!!」

振り返るとそこには彼女がいた。そう、相川由紀が。

「あ!あの!!うちの智也がスイマセンシタアアアアアアアアア!!!」

そう言うと颯太はすごい勢いで教室から出ていった。

なんであいつが謝ってるんだろ。

「あの、さっきのって…」

「すいません。聞こえて、ましたよね。」

なんか敬語になってるし俺。

「ううん、別にいいよ」

微笑みかけながら許してくれると言う彼女。

「好きではないけど、興味はあります」

あ、やべ。俺何言っちゃってんだ。

「私も!私も渡辺くんと話してみたかったんだよね」

え?

「…なんで俺?」

素朴な疑問をぶつける。

「私のことを好きじゃなさそうだったから

ずっとそうじゃないかなーって考えてて

さっきの聞いてやっぱり!って思ったんだよねっ!」

相川さんは何故か嬉しそうに言った。

そこで、一つの仮定にたどり着く。

「んーもしかして相川さんって自分のことを嫌いな人が好きなの?」

いや、これはちがう。こっちの方がいいのだろう。即座に訂正を入れる。

「自分のことを好きな人が嫌いなんだ」

笑いながら「すごいね、分析されちゃってる」と言う彼女。

「やっぱり渡辺くんも噂知ってるんだ」

「まぁね」

「今まで「好き」って言ってくれた人はいたけど誰も好きになれなかった」

相川さんは椅子に座りながらそう言った。

なんか恋愛相談みたいになってしまったな。そんなつもりなかったのに…

「だからある意味、今一番好きに近いのは渡辺くんなの」

ん?これは、告白なのかな。

違うな。うん。わかってる。

「でも、俺が相川さんのこと「好き」って言ったら嫌いになるんでしょ?」

「んー好きじゃない=嫌いだったらそうなるね」


自分のことを好きな人が嫌いってわけじゃなくて好きじゃなくなるんだ

「好き」って言われて好きになるのはよくあるけど

相川さんがそういうタイプじゃないだけ?

いや

もっと、根本的なところが違うんだ

もっと、もっと、根本的なところが


あ、そうか

問題はそんなに難しいものじゃない。

彼女は…


「相川さんは、自分のことが『嫌い』なんだ」


彼女はその言葉に対して声を発さなかったけど

悲しそうな笑顔を浮かべ形の良い唇が動く。


「あ た り」


そう言っていた。そのたった三文字には、重みがあった。

俺には想像出来ないような悲しみや、苦しみ、嘆きから生み出される重みが。


彼女は自分が『嫌い』だから


自分の嫌いな自分のことを『好き』だと言う人が信じられない


彼女が嫌う理由は流石にわからないけど


彼女が彼女を嫌いな限り誰かと両思いになることはない


「じゃあね渡辺くん。また明日」


彼女が嫌いな彼女のことを


もう『好きじゃない』だなんて俺なんかが


言えるわけ、ないじゃないか。

一応連載小説にしてありますが、続きがかけるかわかりません。ゆっくり待って下さるとありがたいです。応援してください(小声)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ