春、惑う
更新が遅くなり、大変申し訳ありません!
多分、これからもこのくらい空いての更新になるとおもいますm(__)m
亀更新ですが、お付き合いいただければ幸いです。
裏山から春乃の家までは十分もかからない。あっという間にたどり着いた彼女の家は、リビングの明かりだけがついている。親父さんたちが春乃を待ってるのだろうか。
「本当に、大丈夫なんだな?」
「うん。…私ね、奏が応援してくれるのが何よりも励みになるの。あなたが見ていると思うと頑張ろうと思える。…だって家族以外で、私の傍にいつもいてくれて一番理解してくれる、大事な人だから。」
「え…。」
顔が赤くなる。そんな俺を見て、彼女の顔も朱に染まっていく。
「ご、ごめん…めっちゃ恥ずかしいこと言ったね!?忘れて!お願い!」
「あ、ああ…。」
「じゃ、じゃあね!また明日!」
そう言うと彼女は家へとはいって行った。彼女を迎えるおばさんの声は聞こえたが、親父さんの声は聞こえない。
俺も自分の家に帰り、自室のベッドにあおむけに倒れ込んだ。白い天井を眺めながら、今日春乃が言っていた事を思い出す。
“大学に行く” “奏は、一番大事な人”
…俺は全く気付かなかった。彼女が外の世界を見たいと願っていたことに。ごろんと横を向く。
(俺は、本当はどうしたいのだろう。)
応援したいのか…それとも、何としてでも止めたいのか。
「チクショウ…あんなこと言うなよな…。」
実際に彼女が俺が行ったところで変わるのかどうかは分からない。けれど、流石になにも響かない訳ではないだろう。
自分の手に乗せられた小さなおもり。それがどれだけの影響を彼女に与えるのだろう。見てみたいと思うと同時に、とても恐ろしくも感じる。
(好きだ、と、言ってみようか。ずっとここにいてほしいと。)
そうしたら……優しい彼女は、頷いてくれるかもしれない。
___けれど、後に残るのは罪悪感だけだ。
「俺は...どうすればいいんだろうな。」
目を閉じると、今日の春乃の姿が思い浮かんだ。彼女の強い瞳の奥に、かすかではあったがはっきりと不安の色が揺れているのが見えた。
それに気付いた時、俺は...彼女を支えたいと思った。立ち上がる彼女の杖になりたいと。
しかし、歩き出した者に、杖はもういらない。...いつか彼女は、そんな風に俺を置いて行ってしまうだろう。
「...ずっと、すきだった。いっしょにいたかったよ、春乃。」
それでも構わない。俺は、できる精一杯で彼女を応援する。
例えば春乃の姿のなくなった風景に、どうしようもなく寂しさを感じても、後ろめたさと後悔を背負いながら、生きていくことなど、できないから。
お読みいただきありがとうございました。
遅くなりましたが、ブックマーク登録して下さった方、御礼申し上げます。
更新がゆっくりですいません>_<