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 諸国会議の開催を祝う舞踏会の日。朝から使用人たちはバタバタして忙しい。

 もちろんセシルも朝から体を磨き上げられて、王家の控え室に着いた時にはげっそりとしていた。

 でも準備が忙しすぎてルークの告白のことをあまり考えずにすんでほっとしている。


 リリーやリンダとも朝食で会ったきりだ。


 リリーはすでに控え室にいた。リリーはふんわりとしたサーモンピンクのプリンセスドレス。ランドネックで清楚溢れて、ウエストでラインの切り替えがあり、スカート部分が裾に向かって大きくふくらんだデザインで可愛い。


 とーさまがリリーのために作ってくれたイエロートパーズとダイヤをふんだんに使ったティアラと首飾りと耳飾りを付けている。もちろん腕輪や指輪もすべてとーさまがリリーのために用意してくれていたものだ。


 今日着ているドレスも、とーさまがリリーの成人式のお披露目のために作ったドレスだった。


 とーさまはリンダとリリーのためにたくさんの宝石を残してくれていた。


 セイズ王から遺産の話を聞いた時に、リンダとリリーが泣き出して大変だった。タイラさまはリンダがとーさまから宝石をもらったことに、少し不機嫌な顔になった。なぜか対抗心を抱いたようで、「リンダが付ける物は私が贈った物だ」と言った。


 真っ青な顔でリンダはタイラさまを止めていた。


 今回はとーさまがリンダに残してくれたティアラを付けることになった。タイラさまが用意をするのに時間がかかるから今回は間に合わなかった。なによりとーさまがリンダにあげたティアラや他の宝石は、ルビーとガーネットをふんだんに使われていて、ラング国の一流の細工師たちが作った国宝だった。

 だからタイラさまも諦めたらしい。もちろんとーさまに嫉妬したタイラさまをリンダが慰めるのに大変だったらしい。


 「王族が付けるティアラをどうしてリンダやリリーに贈ったのだ! まさかラング王はリンダを本当に側室にしていたのか?」と言っていた。


 とーさまはリリーがミチル国の王族としていつかティアラが必要な時が来るよ知っていて用意したのだ。


 セシルのティアラはサファイアとダイヤだ。かーさまのティアラではない。かーさまのティアラはエメラルドとダイヤとサファイアを使った物だ。


 セイズ王がとーさまの残してくれた宝石のことを教えてもらった後にリストを見せてもらった。


 とーさまはディランにもいくつか宝石を残していた。どの宝石も国宝級だと、セイズ王はため息を吐いてつぶやいた。


 今回使う宝石を選び今朝それぞれの部屋に運ばれた。


 宝石を運んで来た使用人たちの周りに五人の近衛兵がいた。宝石を一つづつ確認しながらセシル付きの侍女たちに渡された。


 宝石を運んだ使用人たちも侍女たちも手がふるえていた。王族に使える侍女たちだから宝石に慣れているはずなのに。


 「こんなすばらしいティアラを見たことがありません」と言われた。ダイヤやサファイアをふんだんに使われているティアラは重かった。ハーフアップで結えた頭にティアラを載せられた時は首がガクッとなった。


 もちろん他の宝石も重い。


 セシルのドレスは薄いラベンダーのスレンダードレスだ。全体のシルエットが細く、身体のラインにフィットする。 レース生地でかわいらしい感じがするけれどシンプルに上品さを演出して大人っぽい。


 このドレスもとーさまが用意していた物だ。


 隣にいるディランはアシール神殿騎士の正装をしている。白い布地に金のボタンとラインが入っていて、ディランの長い髪に映えている。ディランもとーさまから貰った大ぶりのサファイヤとダイヤの首飾りをつけている。


「セーちゃんもディーも素敵」

 リリーが言った。


「「「リリーも綺麗だよ」」」


 リリーの隣に座っているノエールさまと言葉が重なった。隣にいるディランもそのことに気づいてニコニコしながらリリーとセシルを見ている。


「こんばんわ。セシル姫。今宵はこのように女神たちが降臨すると思いませんでした」


 とノエールさまがセシルの前に立って、ウインクしながら彼女の左手の甲にキスをした。

 セシルはなんと返事をしたらいいか分からずにドキドキする。


「セシル姫。リリーのことは安心してください。私がきちんとエスコートします。

 ルークも今宵はセシル姫のパートナーになれないことを嘆いていましたよ。今度はぜひ弟をパートナーに選んでください。


 よければ一生セシル姫さまのパートナーに選んでくだされば、と兄としてお願いします」


 と、今度は真顔で言われた。


 昨日ルークに告白されたことをノエールさまは知っているんだ。そしてセシルが返事を延ばしたことも。


 リリーが心配した顔でセシルを見ている。


「ルークさまのことは好きです。彼のことを前向きに考えていきたいと思っています」


 セシルの返事を聞いてノエールはほっとした顔をした。

 セシルはルークに惹かれている。恋愛に対して臆病な前世の記憶があるけれど、いまのセシルは前世のセシルと違う。だからルークがセシルの中に何人も違う人がいると言われた時はドキッとした。

 でも肉体が新しくなり新しい今世のセシルの人格があるのは自然なことだ。前世のセシルの記憶が今世のセシルの人格形成したのかもしれない。


 それに人っていろんな顔を持っている。いい女はたくさんの顔を持っているの! とルークに伝えようとした。でもどんなセシルでもルークは好きと言ってくれた。

 ルークの気持ちに報いたかった。でもセシルにはできない。


 セシルは緑の民だから……自分のこの力で彼を苦しめたくない。だから返事を断るべきだと頭では分かっていたけれど、セシルは返事を引き伸ばしてしまった。

 そして、今もなおノエールさまに曖昧な返事をしてしまった。

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