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 ルークたちは今回の任務について納得しないまま出陣した。

 途中なにも争いがなくラング王都についた。ラング国民たちは困惑しながら、セイズ軍隊が珍しいのか道端で軍を見ていた。ラング王が国民に「平和的な訪問」というお触れをだしたらしい。


 騎士たち以外に数人の役人と文官がいた。彼らはラング国の体制を整えるためだろう。

 だが薬師と薬師研究者たちが一緒に行くことになっていた。ラング国には珍しい薬草があるからと後で知る。


 ラング国が豊になった理由の一つが、薬草だった。

 また神殿騎士が同行することに驚く。理由はセイズがラングを占領するのではないと国民に知らせるためだと言う理由を聞かされたが納得できない。


 神殿騎士はセシルたちの護衛になるように、出発の前に神官長が言ってきた。叔父上が承諾したが、なぜセシル姫に神殿騎士がつく理由が分からない。神殿が国の政治に寛容することはほとんどないから驚く。ましては神殿騎士がたかが亡命国の姫につくなど。


 たしかにセシル姫は、傾国の妃の娘だけあって、いままで見たことのない美女だ。16才であの美しさだったら、今後どれだけの美貌になるのだろう。

 父上が美人という理由で叔父上、自分の弟の命をかけて彼女を手に入れるなどありえない。

 ラング王は美貌の妃と娘を何年も幽閉していた。噂に聞いていたが、実際見ると驚いた。ルネン妃は年に一回建国記念日の春に国民の前に姿を表していたが、セシル姫の姿を見たものはいない。


 唯一、後宮管理の女官が彼女と会話をするから実在していると国民が知っている。

 ラング国建国記念日は、他国から大勢の人が押し寄せてくる。セイズ国でも、ルネン妃を見たものはみんな彼女のことを絶世の美女と言っていて、周りから彼女を見たことをうらやましがられる。


 ラング王都の城には問題なく入城できた。謁見室にはラングの貴族や役人、軍人たち国の重臣たちが待っていた。ラング王を待つこと、すぐに謁見の扉が開いた。だが入ってきたのは、ラングのアシール神殿長だった。


 ラングの神殿長は白髪でお年をめした方だ。彼はラング王が王妃と王太子を殺害した後に自害したことを伝えた。

 謁見室は沈黙の後騒々しくなった。ラング神殿長が、ラング王の遺書を読んだ時に騒ぎは止む。


 ラング王国はセイズ王国の一部になる。セイズ王に今後のすべてを託すこと。2人の姫の身柄もセイズ王に委ねると。最後に自分を支えてくれた礼と今後も国民を守ってくれと言う内容だ。


 混乱する貴族や役人に、タイラ叔父上はいままでのように働くように命令した。貴族としての地位は、セイズ貴族になったあかつきにに二つ下げると告げた。


 これには多くの反発の声が出たが納得するものの方が多いのに驚く。さらに今後の調査や働きによって、貴族の剥奪または昇格もあることを伝え、国が落ち着くまで中央部から役人を覇権すると。安堵の声がちらほら聞こえる。


 その後ラングの宰相及び大臣たちと会議をした。大臣たちはラング王に忠実な優秀なものばかりだった。ますますラング王の奇怪な最後が納得いかない。


「タイラ閣下、ルーク殿下。我々は今後国民のために、セイズ王国に忠誠を誓う予定です。その前に、どうぞセシル姫の安否と幸せをお誓いください」


 会議が終わる時に宰相が言った。


「セイズ王もセシル姫の今後の幸せを望んでいるので心配ない」


 タイラ叔父上が言うと、部屋にいるものたちから安堵の声が聞こえた。


「もしセシル姫になにかあった場合はどうするつもりだ?」


「ルーク」


 叔父上がルークを諫めようとした。ルークも元からセシル姫になにかをするつもりはない。


「我々の力はセイズ国に比べると微力ですが、大国を壊す方法は備えております。昔から大国は小さなひび割れで崩れるもの。どうかセシル姫をお守りください。それがセイズ王国及び我々が繁栄する結果になるのです」


 大小かまわず宰相と言うものは一癖二癖あるものばかりだ。


「セシル姫は分かった。だがどうして第一王女アリス姫のことはなにも言わないのだ?」


 アリス姫は離宮に隠れていると聞いた。


「それは、アリス姫はミチルの姫だからです」


 ラング王国を調べて、ミチル王族殺害後に王妃派の重役、貴族たちが処刑されていた。


(一体、ミチル王国とラング王国の間になにがあったというのか?)


 父王は理由を知っていて、だからセシル王女の保護を第一条件にしたのだろう。この北国を混乱なく統治するのにはミチル王国の血が入っていないセシル姫を利用しようとしたのだろう。


 やっとルークは今回の命令に納得した。

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