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「誰がセシル姫のことを犯罪者の娘で恥さらしと言ったのだ?」
いままで貫禄があるが、セシルたちには穏やかな声で接していたが、王を取り巻く雰囲気が変化した。
「キルディア侯爵令嬢のソフィアさまとミチル国王女のアマンダさまです」
ディランが言った。
「な、なに!! そうだったか。ソフィアは確かに姪になるが王族ではないのだが、なにを勘違いして城で大きな顔をしているようだ。まあ、これはわしの妻がソフィアを甘やかした結果だが。
特にここ最近目に余った行動が多い。それにキルディア侯爵の派閥がソフィアを時期王太子妃として押している。王妃の妹がキルデイア侯爵夫人になる。あやつは元々王妃になりたかったようだが、わしはあの手の女性は苦手でな。
息子たちもどうもわしに似てしまったようで、ソフィアから逃げ回っている。ソフィアは侯爵夫人にそっくりだ。本当に妻とキルディア侯爵夫人が血が繋がった姉妹と思えぬ。すべてに反対な存在だ」
「兄上は王妃に甘すぎます。キルディア侯爵は夫人とともに第二の王族として振る舞っております。
私がリンダと結婚した際に、キルディア侯爵家がなんと言ってくるか……。まあリンダは私が守りますが、政治的な面でキルディア侯爵の横暴を早く止めなければなりません」
「えっ? リンダの結婚?」
空耳が聞こえた。隣にいるリンダやりりーを見ても、唖然としている。後ろに立っているディランが殺気が立った。
「タイラ、落ち着け。お前がこんなに物事に対して積極的になる姿を見れて嬉しいが、恋愛や結婚に関しては順序と言うものがある。
身勝手な行動をすると惚れた相手を逃してしまうぞ。こういう時は慎重にしないとならぬ」
(おおおおおーーーー。)
まともの意見を言う人に出会えて感動の雄叫びを心の中で叫ぶ。
目の前のイケメンオヤジが輝いて見える。頭の光じゃないよ。陛下はきちんとまだ白髪も見当たらないこげ茶をオールバックして渋いオヤジ。オヤジ攻めに最適な主人公。
将来、ルークもセイズ王のように年をとるのかな。
「し、しかし、リンダ、私はあなたのことが好きで愛して、この気持ちを持て余している」
陛下の隣に座っていたタイラさまがいきなり立ち上がり、隣に座っているリンダの横でひざまづいた。
「リンダ。私のこの愛を受け取って欲しい。幸せにする。あなたを傷つけるすべての者から守る。もちろん、あなたの愛するリリーもセシル姫のこともあなた同様守ると、兄上、陛下、セイズ王の元で誓う。
タイラ=ファン=ファンド=シトレスは一生リンダ=タルード令嬢を慈しみ愛することをセイズ王及びアシール神の元、誓います。
リンダ、結婚してください。私を世界一幸せ者にしてください」
「のおおおおおおーーー」
叫んだ。無礼で処刑されてもいい。
イケメンオヤジがリンダにプロポーズする姿は1枚の絵のように美しい。ハリウッド映画ばりの名シーンだ。だが、リンダだからダメ。どうして、そこで他の男にプロポーズしないの! 男なんてあっちこっちいるでしょ。
(くっ、美しいけれど、全然美しくない! はっ、お一人様には目が痛い、痛すぎるよ!!)
「リンダはダメ。一緒にお一人さま人生送るの!」
リンダを野獣から遠ざけるように自分の方にひっぱり抱きしめる。このプニプニマショマロの体はりりーとセシルだけの物だ。
「せ、セシル姫。お一人さま人生とはどういう意味かな?」
すっかりセイズ王や他の人たちの存在を忘れていた。リンダから離れて、いまだ跪いたままでいるタイラさまを睨みつけて、目の前のセイズ王を見る。
心を落ち着かせるために深呼吸をする。相手はラスボス王だが、リンダを守る勇者として気丈をしっかり保つ。
「お一人さまとは独身を貫くと言う意味です」
「独身? セシル姫は結婚をしないのか?」
陛下が真剣な顔で聞いた。
「えっ? 滅びた王族の血が受け継がれると争いの種になるのではありませんか?」
本音は、前世お一人さまで、現世でもてっきりお一人さまでもいいかもっと思っていたなんて言えない。
「確かに結婚する相手に関しては、わしも一緒に吟味することになるが。親友のラング王はセシル姫たちには結婚をして家族を作って欲しいと願っていた。わしはそれを手助けするつもりだ。
タイラはセイズ王族だ。リンダにはいい相手だ」
「わ、私にはお恐れすぎます。タイラさまと結婚できません」
リンダがふるえている。
「リンダ、ここは穏便に話をすすめるつもりだったが、これが一番よい方法なのだ。リンダ、タイラとの結婚を承諾してくれ」
「えっ? どうして? いえ、ダメです。お断りします!」
「セシル姫、これ以上会話をややこしくしないでくれ。リンダがタイラと結婚すれば、セシル姫あなたやリリーを守れることができるのだ。これが一番いい方法なのだ」
さっきセイズ王が話を分かる人と言ったけれど訂正する。やっぱりセイズ王はタイラさまの兄でルークの父親だ。意味が分からない。
「わたくしの身の安全? リリーの身の安全とはどういう意味ですか?」
確かにセシルは元王妃でラング国復興、いやラング国を乗っ取りたい輩がいれば危ないかもしれないが、どうしてここでリリーの身の安全の話になるのか分からない。
「あ、兄上、私にも話がよく分かりません」
タイラさまも不思議そうにしている。
「タイラ。これから話すことは他言無用。もしこれから語る内容が漏れたら、セシル姫、リリー及びリンダの誰かの命がさらに危なくなると思え。もしアシール神に約束を守れると誓えないのなら、リンダ嬢との結婚も諦めここを退出するように」
「へ、陛下! 私はリンダを愛しています! リンダの愛するリリーとセシル姫を守るといま誓ったばかりです」
「そうだな。タイラ。とりあえず席に戻れ。話はそれからだ。
セシル姫。わしとここにいるノブ神官はそなたの秘密をすでに知っておる。父上が密書で記されていた。そして保護を望んだ」
「……そ、そ、そうでしたか……」
薄々そんな気がしていた。両側に座っているリンダとリリーが安心したかのように、セシルの手をそれぞれ重ねた。




