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 ルークは朝からニヤニヤ思い出し笑いをしては、イライラしていた。昨日出会ったセシルのことを考えて、イライラしていた。思い出し笑いやはじめて経験する気持ちなどに戸惑う。


 一緒にいて楽しいと思える女性は、いままで母上以外いなかった。

 セシルともっと会話をしていたいと思う反面、彼女にイライラさせられ自分のペースが崩れるから彼女から遠くに離れるようにと思う自分もいた。


 今回の任務は、騎士になってはじめての国外遠征だ。と言ってもまだ学園を卒業していないから正騎士でないが。総指令は叔父上のタイラ将軍だが、ルークも王族としてラングの貴族員と国民を抑えると言う役目を受けた。


 一ヶ月前にラング王がミチル王族殺害後、ミチルからラング進出要請があった。次期ミチル王は、王弟でちびデヴハゲ、まさしくセシルが言っていたような男だ。ミチル次期王は自国の力でラングを戦略できないからセイズに助けを求めた。


 セイズはミチルがラングを吸収することをよしとしない。北に大きな国ができるのを、だまって見ているわけもない。ましてはミチルの手助けなんてもってのほかだ。本当にあの男はバカだ。ミチル前王もバカだった。


 セイズに留学してきているミチル王女も浅はかな女だ。ルークか第一王子ラーイと結婚すると思っているみたいだが、誰があんな豚女と結婚するか。

 だいたい王女といっても、あんな豆粒の国が大国の王子と結婚なんてありえない。セイズの上流貴族の令嬢の方が、数倍富や権力があって有力な後押しになる。

 だから今回の任命で、父王の命令に耳を疑った。


 父王はラング王から書簡が届いたらしい。ラング国はセイズに吸収され、ラング国名が無になることを望んだ。

 ラングは小国だが豊かな国だ。その富を権力を、自ら投げ出すものなどいない。もしかしたらラング王は傾国の妃を亡くして狂ったと言う噂は本当だったのかもしれない。


 父王はタイラ叔父上とルークに、もしかしたらラング王はルークたちがラング城についた時にはこの世にいないかもしれないと言った。

 父王はなにかラング王がこんな発狂した行いをする理由を知っているようだ。


「ラング王の身柄を保護して連行すること。そして今回の遠征で命にかけても実効する任務は、ラング第2王女セシル姫を心身ともに無傷でわしのもとに連れてこい」


「っ!!!?」


 部屋がざわめく。


「御意」


 タイラ叔父上が返事をすると、次々と幹部騎士たちが「仰せのままに」「御意」と言って片膝をついた。


「父上! 命にかけてもと言うことはどういうことですか!? たかが小国の王女に!」


 誰もこの理不尽な命令に納得しいていないのに、軍人だから同意したことを知っている。だからルークがみんなの代わりに疑問を聞いた。


「ルーク。確かにわしはお前の父親だ。だがわしは王で、わしの命令は絶対。どんなに理解できない内容でも命令されれば実効するもの。セシル姫を心身ともに傷つけずにわしの元に連れてくる理由を、一騎士が知る理由などない。セシル姫つきの2人の侍女たちも姫同様に大切に保護して連れてくるように」


 ルークはますます父王の命令に混乱した。それなのに父王はさらに信じがたい命令をする。


「タイラ将軍。もし姫たちに何かあった時は、その命を出せ」


「っ!!」


 この命令には周りの騎士たちから驚きと困惑で場が騒ぐ。


「御意」


 タイラ叔父上が迷いもなしに返答した。彼は父上の弟だ。


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