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「ちょっと待て! リンダ嬢はタイラの求婚を受けているのか? 彼女はいくら公爵令嬢と言っても、いや、今後は伯爵令嬢だな。他の者たちは彼女をお前の結婚相手として認めないのでは?

 お前が結婚すると、シトレス公爵領はお前の物になる。南の広大な領土を手にしたいと思っている者たちは、ラングの貴族がお前の嫁になることを認めないのではないか?」


 シトレス公爵領は広大な領土だ。前シトレス公爵が亡くなった後にセイズ国内貴族たちを巻き込み醜い相続争いの結果、家を取り壊された。


 シトレス公爵領は弟が結婚した際に引き継ぎ、彼は『タイラ=ファン=ファンド=シトレス』と名乗る予定だ。『ファン』は王位継承権を示し、『フォンド』は王族を表す。いま弟は『タイラ=ファン=セイズ』だ。結婚後、土地持ちの公爵になる。


 まだ領土は相続争いの名残りで赤字ばかりだが、元々作物が育つにはよい土地で海に面していて豊かな土地だ。シトラス公爵領土のさらに南のクレード伯爵家は砂漠地帯の領土がほどんどで、どうしてもシトラス公爵領土を手に入れようと何十年も躍起になっている。


 いままで兵力で国に貢献してなんとか領土を収めていたが、ラング国境の北の伯爵家がここ週十年ラング国の恩恵によって裕福になり、中央での発言力が北の伯爵家の方が強くなっている。


 だからクレード伯爵家は娘たちを弟タイラの嫁にしようとしてきた。最近ではタイラが結婚に興味を示さない故、次にタイラの跡継ぎになるかもしれなルークに娘を嫁にしようとしている。


 だから弟はリンダ嬢と結婚する利益を発表して、まわりの貴族たちを黙らさないといけない。だが弟とリンダ嬢の結婚は本当はリリー姫の母親としてセイズ国が彼女たちを保護するのに一番よい解決方だ。


「リンダの求婚は兄上の了解を得てすぐにします。彼女は男性嫌いですが、私とは恐れずに会話をしますので、私のことが好きだと思います」


「……はっ?」


 部屋に入って一度も声を出していない息子が口を開けて隣に座っているタイラを見た。

 多分、リンダ嬢がタイラへ恋心を持っているなどとは、弟の勝手な思い違いなのだろう。タイラは幼い時から目的や手に入れたい物ができるとまわりの意見を聞かずに突っ走ってしまうところがある。


「兄上。これを見てください。ほとんどがセシル姫の財産ですが、後はリンダとリリーの物です。

 そしてこっちの書類がリンダの父上から預かってきたリンダたちの婚約の際の持参金です」


 タイラの側近が書類を渡した。昨日、ラング国宝を我が国の国宝金庫に移した。後でその詳細を見る予定だったが、いまタイラから出された書類に目を通した。


 最初は軽く目を通すつもりだった、段々と書かれている内容に目が釘ツケになる。

 セシル姫の持参金は一年前の婚約の申し出があった時に知っている……だがいま渡された内容を見て、自分の見ている書類が信じられずに手がふるえる。

 一年前の提示された額の何十倍の内容。一年前の額は、親友ラングにとってははした金だったのか!!

 あまりにも多額な持参金を提示すると返って不自然だから、あえて普通の王族の持参金の二倍の額にしたのか……。

 親友ラング王の資産がこれほどと誰が想像できると言うのだ。セイズ王すら個人の資産金はこれほどない。


「セシル姫及び、リンダ嬢とリリー嬢は国王になったらどうなのだ……。親友のことだ、これは国の金ではなく、あいつ個人の資産なんだろう……」


「はい。それは故人ラング国王の資産金で、ラング国の財産はラング国の重臣たちの預かりとなり、合併後もラング領は自治を認める方針で動いています」


「大義だった。ラング国は我がセイズ国より政治の面でも一歩手前を進んでいる。我が国もラング国を見習い国を豊にしていかないといけない」


 全部読み終わり、持っている書類をセイズ王の一番の側近に渡す。彼もその書類に目を通して、ため息が度々こぼしている。


「お前は金に目が眩んでリンダ嬢と結婚するのか?」


 もちろん冗談だ。昔からこうして弟をからかっている。


「違う! 私は、彼女が公爵令嬢とも資産家ともしらなかった! 彼女が無一文でも私は彼女と結婚するつもりだった!」


「あっはっは。ああ。もちろん分かっている。冗談だ。それよりリンダ嬢は大きい娘もいて、年だ。今後子どもを妊娠できないかもしれないぞ? それでもいいのか?」


 多分リンダ嬢の年齢のことでまわりの者たちが何か言ってくるはずだ。タイラはそんな輩からリンダ嬢を守れるか確認した。


「もちろんだ。私はリンダが好きなんだ。子どもが欲しいから結婚したいのではない。シトレス公爵家の跡取りなど、私の息子でなくとも誰かいる。王族でもリリーの息子でも誰でもいい」


 自分の息子ができないと分かって、それでもいいと言う弟は、自分の弟ながらよい男だと改めて思う。リリー姫にセイズ国上流貴族の婿を当てて……。


(リリー姫をノエールの嫁にしてはどうだ!! セシル姫でもいい。息子たちがセシル姫たちに恋をするようにすればいいのでは?)


 セイズ王はリンダ嬢とリリー姫をどのように保護しようか悩んでいた。それが一番いい方法で解決の意図を見つけられた。

 リンダ嬢がタイラと結婚したら、リリー姫をセイズ王族一員として守ることができる。リリー姫とセシル姫は姉妹のように育った。だからリンダ嬢とタイラがセシル姫を養女にしても、まわりは納得する。


 緑の民と知られずに、親友の娘セシル姫を自分の姪として守ることができる。

 リリー王女はセイズ王の姪となり、ミチル国の政治にも関与できることになる。

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