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 密書には数々の重大な内容が記せられていた。


 その中で一番信じ難い内容が、親友ラング王の側室ルネン妃と娘セシル姫が「創造する緑の民」だと知らされたことだった。


 王位を継ぐ折に、王に継がれる秘密の古き書に書かれていた緑の民について読んだ。読んだ時は半信半疑だったが、自分の先祖が嘘の書記を残すはずない、と緑の民が存在していた事実を受け入れた。


(ルネン妃とセシル姫が緑の民だったとは……。それも歴代の創造する緑の民以上に優れているなどど……。)


 密書を読む手がふるえ、なかなか続きを読むことができなかった。


 そんな大事な告白他に、さらに爆弾を書いていた。


 セシル姫の侍女はミチル国の落とし子、前ミチル王の第一王女。ミチル王女の母親がもう一人もセシル姫の侍女をしており後宮にいる、と記されていた。ミチル王女は後宮で育ち、セシル姫と姉妹のように育った。親友ラング王にとってもう一人の娘だ、と書かれていた。


 侍女たちのの名前は、『リンダとリリー・タルード公爵令嬢』あのラング国の頭脳と呼ばれる宰相の息子嫁と孫娘と育てられた、と。ラング王は長年において、ミチル国を乗っ取る計画をしていたのか? と考えて考えてもその結論にたどり着く。


 リリー姫が前ミチル王の第一王女と言う証明は神殿とリリー姫の曽祖父、ミチル国の伯爵家でいまは中立の立場にいる彼がするだろうと。

 ミチル国伯爵家はリリー姫のことを発表する時期を待っていたようだ。


 前ミチル王の命令でリリーの母親リンダ嬢の堕胎に従うふりをし、彼女が反抗した期に家を勘当した。その後にミチル国伯爵家がリンダを保護する計画だったようだが、親友ラング王が一足先にリンダ嬢を保護した。


 ミチル国伯爵家は幾年もの間リリー姫を略奪しようとしたらしい。


 密書には次々隠された秘密が暴露されていた。もうこれ以上の莫大な内容はないと思っていたが次に書かれていた秘密に息を飲む。


 親友ラング王の正妃から生まれた王子と王女は、彼の子供ではない。


(……。やはり。)


 セイズ国王族には秘密の薬草が受け継がれている。避妊の薬草だ。これも歴代セイズ王が抱えていた緑の民によって創られたのだろう。

 薬草は公にしていないが、精通をした王族男子は結婚するまで性行為をする一時間前に避妊の薬草を飲むことが義務つけられている。

 もちろんセイズ国王はその薬草を常に持参している。避妊の薬草について決して他言しなかった。ただ一度、親友が敵国ミチル国王女を娶らないと聞いた時に、この薬草を譲った。


 親友が決してミチル王女との間に跡取りをつくらないと言ったからだ。しかしそれでは親友の命が危なくなる。もし側室を持ち、子ができて、正室と性行為がないと怪しまれると思った。


 王妃に子どもができた故、ラング王は避妊の薬草を使用しなかったと思っていた。しかしそれは、ミチル元王女は不義で子ども作った、だと。そして親友の子どもと偽りラング国王跡取りと育ていたのだ。


 アリス姫はラング王の娘ではない。


 ラング王はセシル姫とどちらかのセイズ王子と婚約した後に、ミチル国を弾圧する予定だった。ラング国王子が王太子になる儀式をする前にと計画を立てていた。しかしセイズ王はセシル姫とセイズ王子の婚約を拒否した。

 親友の長年の計画が変更し新たに次の計画をたてないといけない時にルネン妃が亡くなった。


 親友ラング王は、無二の友人セイズ王が、セシル姫との結婚を拒否すると考えていなかったのだろう。

 セシル姫との婚姻の話内容は、普通の王族の結婚より多いな富をセイズ国にもたらす内容だったからだ。当時小国の王家がこれほどの遺産を持っているのかと重臣たちで話し合ったものだ。

 セシル姫の持参金については、箝口令を敷いた。


 だがルネン妃の死後、前ミチル王がセシル姫とミチル王子の婚約発表をしなければ、ルネン妃とセシル姫が創造さる緑の民と公表する。と言い、二人は人を殺める薬草を創ったと広めると脅した。


 二人の創造した植物についての情報は密書には書かれていなかった。だが親友ラング王が後先を考えずに前ミチル王とミチル王太子を殺害したのは、なにか人に害を与える薬草を本当に創ったのだろう。


『娘セシル姫をセイズ国王子と婚姻できないいま、他にセシル姫を確実に守る未来を思いつかなかった。

 我が国ラングを無二の親友セイズ王へ譲る。その対価に、私の最後の願を聞いてくれ。親友として子を持つ親として、娘たちを守って欲しい。』


 親友の命と国を差し出し、娘たちの安全を願った密書。

 親友ラング王は自分の命と引換だったら、セイズ王はセシル姫を守ると判断した。

 親友の命や国を差し出さなくても、セシル姫が緑の民と一言相談したら、セイズ王も親友ラング王の手助けをした。婚姻と言う形以外で、セシル姫を守る手助けをした……親友が死んだ後の祭りの言い訳にしか聞こえないかもしれない。だが、一年前にだったら親友の命もラング国の滅びない未来もあった……これ以上後悔しないためにも親友の娘セシル姫とリリー姫を絶対に守る。

 セイズ王は手紙を読み終わった後、涙を親友のために流し弔った。燃える密書を眺めながら誓った。


「絶対お前の娘たちを守るよ」

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