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 ディランはセイズ国王陛下にセシル姫さまの身の安全について伝達するべきか悩んでいた。

 セシル姫さまたちをセイズ王城に滞在させるのは危険すぎる。かと言ってセシル姫さまたちを神殿に滞在させることができない。


 もしセシル姫さまから神殿に滞在したいと申し出があれば、神殿は彼女を保護できる。

 神殿はあくまでも緑の民の『意志』と言う名の命令に従うしかできない。どんなに緑の民のためと言っても、彼らの意志がなければ行動を起こしてはいけない決まりが昔からある。

 

 今回は緑の民のセシル姫さまの保護者、故ラング王の意志に従わなければいけない。

 ラング王の意志は「セイズ王がセシルの保護者になる」だった。セシル姫さまが成人した暁に神殿は彼女に「神殿に使える者が緑の民を守る者」と知らせることができ、直接彼女の意志に従うことができる。その時まで神殿の使命をセシル姫さまに知られれてはならない。これは子どもの緑の民が普通の子どものように生きて欲しいからだ。


 セシル姫さまが成人するまで後二年、保護者のセイズ王の意志に神殿は従わなければならない。

 もし保護者がセシル姫さまに害を与える者と判断されれば、神殿の意志で行動ができるようになる。またはセシル姫さまが身の危険を訴えた時に、彼女の意志が優先される。


 セシル姫さまはルーク殿下及びセイズ騎士たちに危険を感じ、その者たちと接触拒否の意志を示された。神殿騎士はセシル姫さまの意志に従い、セシル姫さまを守る。

 このままセシル姫さまを連れて遠くへ行くことも考えたけれど、彼女はまだ命を狙われていないから神殿は行動できない。故ラング王の意志、つまりセイズ王に従わなければならない。


 セイズ王はセシル姫さまの安全を命令した。だからセイズ騎士がセシル姫さまに剣を向けたのはセイズ王の意志ではない。

 かと言ってセシル姫さまを王城で滞在するのは危険すぎる。

 セイズ王へ伝達を送ることに決めた。緑の民を守る『緑闇』に手紙を託そうとしたが、セイズ国の神殿騎士ノブさまに止められた。

 ノブさまが「セイズ王は誠実な方だが、セイズ王が一番に守るべきものは国だ。決して緑の民のセシルさまではない。我々セイズ国神殿はセイズ王を全面的に信頼するのをやめる。今後セシルさまに関して無闇に情報を流さないように、セイズ国神殿は決めた」と。

 ノブさまの決断はセイズ国神殿の決意。

 ディランは神殿騎士だが、彼は緑闇の幹部でもある。だから彼の決意に従う必要はないが、今回はノブさまの判断は正しいと思う。


 セイズ王がセシル姫さまを今後どうするのか分からない。セイズ王の計画を聞いたが返事もないまま、セシル姫さまの身柄の保護命令がされた。とタイラ殿下から聞いた。


 『緑闇』は緑の民を守る隠密集団だ。いつ見つかるか分からない緑の民のために、情報収集及び訓練して生きている者たち。

 全世界に緑闇の部落がある。緑闇の者たちは薬師が多く薬草を育て生計を立てている者が多い。

 だから緑闇を探すなら、薬師ギルドを当たるといい。と言われているが、そもそも緑闇の存在など普通の人は知らない。

 緑闇の先祖が緑の民に救われ、永遠に緑の民を守る者と誓いを立てた。

 表では神殿が緑の民を守り、裏では緑闇が守る。長い年月、そうして緑の民は守られているにも関わらず悲劇で死ぬ緑の民もいた。そして緑の民自体、空想人物と思われている。


 今回セイズ軍と同行して来た神殿騎士ノブさまは、セイズ神殿長その者だった。普段は顔をヒゲで覆い隠し、神官のベールで容姿を目立たなくしているため誰にもノブさまがセイズ国神殿長と分からなかった。


 ノブさまはセシル姫さまが本物の緑の民か、ラング国神殿長から手紙をもらい確かめに来た。

 セシル姫が紫の薔薇を促進したのを見て彼女が『創造する緑の民』と認めた。セシル姫はノブさまが温室に忍んだと知らない。


 ノブさまが温室に他の騎士たちに気づかれずに入れのは、緑闇の手助けがあったからだ。


 ディランは緑闇に出会い人生が変わった。


 ディランはもともと緑闇の者ではない。ミチル王が依頼した暗殺集団「死賊」に所属していた。両親家族などいない。生まれは知らないが育った場所が死賊だった。死賊の部隊はミチル国内に少人数で転々と存在する。主にミチル王からの依頼で成り立っている暗殺集団だった。


 死賊が少人数だったがいままで潰されなかったのは、「成長止め」の薬によってだった。大昔、緑の民が創った「成長止め」の薬草。その薬草で死賊たちは幼児の姿をした暗殺者集団だ。


 もちろん成長止めの薬草は万能ではなく、少数しか育たない貴重な薬草だ。薬草を飲みつづけても成長が遅らされるだけで成長を止めることはできない。人によっては副作用によって死ぬ者もいる。なにより一番恐ろしいのは、感情を失う副作用だ。


 まあそれは暗殺者にとってうれしい副作用だが。


 もちろんディランもこの薬草を飲み育った。運良く死なず20年近く生きているのに10歳にしか見えない。人が美しいと言う自分の見た目と無垢な子どもの成りで殺害対象に近付きいっきに殺す。もう幼い時のことは覚えていない。生きているのか死んでいるのか感情を失った人形だったから、自分の年齢などを気にすることなどなかった。

 ただ毎日暗殺のための訓練をし人を殺し、出された物を食べて寝る。食べた物をおいしいまずいなどと言う気持ちも、お腹いっぱいとか腹減ったなどと言う思考もなかった。


 ルネンさまとセシル姫さまを暗殺する時まで、生きているのか死んでいるのかなどと言う感覚がなにもなかった。

 ただ「人を殺す」か「殺される」しか頭になかった。

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