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お姫さま業はかなりハードだと思う。前世のだら~んとした腐女子生活が恋しい。
お茶会に夜会、着替えに着替え、なんで一日何回も着せ替え人形しないといけないの? セシルはお人形でキャッキャおままごとするより、ヤロー共冒険だ! と言って森を散策して植物を見ている方が好きだ。
リリーは王妃勉強(アンド ミチル国女王勉強)で忙しくしていて、リンダは新婚さんいらっしゃいでフィールドアウト中。セイズ王妃は最近散歩できるくらい回復していると聞いた。
だから王族女子で暇人と思われているセシルは、王族女子お付き合いの公務を押し付けられている。セイズ王がセシルを王族にした理由は、身の安全より王族女子雑用人材を確保をしたに違いない、と最近思う。
セシルとルークが両思いのラブラブカップルになって、そろそろ二ヶ月経つ。月日の経つのは早い……しみじみ、←ばば臭い? って? 記憶が薄れているけれど、前世+だから。それにラング国では成人しているし。
リンダの結婚式は国をあげての重大行事だったけれど、参加者を最低限に抑えた式だった。
セシルはリンダの結婚式でフラワーアレンジメントの指示をしたりした。セイズ国の伝統な結婚式だったけれど、王都の神殿はラング国の花で飾られ、参加者たちは斬新なアイデアに感嘆していた。
式の間、リリーとセシルはハープを演奏した。
披露宴の晩餐会は、ヤリーのフルコースの食事とウエディングケーキだった。
この世界では甘味は贅沢品で、ウエディングケーキと言う文化はない。ヤーリは天才。
セシルもこのウエディングケーキには、精魂込めて(前世のデブの元知識)挑んだ。アイシングのために、砂糖を粉にするためにミキサーの開発を……しようと思ったけれど無理だったから石臼でガリガリ削った。もちろん後は料理人と職人さんたちに丸投げしたけれど。
粉砂糖に色をつけるために、フードカラーリングに使える野菜や果物を調べた。
ヤリーにアイシングで薔薇やリボンの作り方を教えたら、「ブラボー、流石料理の女神さまだ」(セシルの脳内翻訳)と賛称された。リンダの結婚式までヤリーの弟子たちは、粘土で薔薇の形を作る練習をしていた。
ウエディングケーキは白地でピンクとラベンダー色の薔薇がちりばめて、黄色いリボンと薔薇の緑の葉っぱが全体のバランスを整えたものだ。
はじめて見るケーキに招待客は喝采していた。他国までリンダたちの結婚式は噂された。
甘いケーキは女性の心を鷲掴みにして、結婚式後王宮料理人のヤーリは大変だったみたい。とヤーリに丸投げしたかったけれど、セシルが生み出した物と世間に広められ大変だった。
女性の甘味に対する情熱の恐ろしさを忘れていた。
結局、前にヤーリが言っていたセシルの商会でケーキ屋を開くことになった。元ラング国産の商店街に店をかまえた。
元ラング商店街は元々スラム街に近い所の土地を買い取った場所だ。ラングの宝石店、香水や石鹸などを置いている香水店。最近、香水店に匂い紙なども置いたりしている。香水店の横にはもちろん美容店がある。
セシルも美容肌にはずっと気をつけて研究していた。ここで緑の民の力を使わなかったら、一体どこで使うの? 甘味と同じく美への情熱は、人間の三大欲求と同列に並ぶ、女性欲求だ!
店内には口紅の色は赤以外のカラーを用意して、アイシャドーなどもいろいろな色を揃っている。
セシルの商会の店は不運だった女性たちを雇用している。この国も女性の人権は低いし仕事場など少ない。雇い主にレイプされたり、親を亡くした女子たちの行き場は娼館かスラムだ。
とーさまからの遺産は元ラング国をはじめスラム地域を中心に土地を買って土地改革に使っている。借家建設をはじめ女性が働けるように工場を建てたり、子どもたちが無料で勉強できる学校を建てたりしている。
これらの事行は国ではなくセシルの資産でしている。セイズ国は大きい。国の貧民救済を待っていたらいつになるか分からない。
それにセシル自身、彼女たちに助けられている。
ラング商会街には、セシルが興した事行の店以外に服飾店や雑貨や手芸店、飲食店など、女性好みの店が連なっている。
今度、貴族階級じゃなく平民の女性たちが気楽に泊まれるホテルも建築する計画もある。
セシルの商会では女性でも身分の低い者でも新しい事行を興す手助けをしている。もちろん厳しく厳選されるみたいだけれど。
と、セシルには大まかなことしか分からないけれど、ディランが毎日報告してくれる。
ディランは神殿騎士とセイズ国騎士の掛け持ちで忙しいはずなのに、なぜかラング商会取り締まりをしている。そのことを知った時は驚いた。ディランはちゃんと休養を取っているか心配でならない。
ディランのこともだけれど、ラング商会についても驚きだった。ヤーリにはじめて聞いた後に、ディランから詳しく教えてもらった。
名前はセシル姫商会と仮名されていて恥ずかしかったから、「ラング商会」に変えてもらった。
とーさまの遺産をすべて使っていいから、多くの貧民窟にいる女性と子どもたちを救って欲しい、それがセシルの希望だとディランに伝えた。
セシルも時間のある時に、お忍びでセイズ国王都にあるラング商会に行っている。
ディランには周りが驚いて仕事にならないから、なるべく行かないように言われているけれど、セシルはお姫さま業で疲れた時の息抜きだと伝えた。
セシルもお忍びでも城を出ると、護衛たちが大変な思いをしているのを知っている。
でもお城や学園ばかりだと、セシルは狂いそうだった。
お茶会で「ルークさまはソフィアさまの婚約者です。馴れ馴れしくすることをお控えした方がいいですよ」と言われるのはまだいい。わざとドレスにお茶をこぼされるのも我慢できる。
でもわざとセシルに聞こえるように悪口を言われる時は頭にくる。
「男に媚びる悪女」「母親に似た傾国姫」セシルがセイズ王に媚びて王族になった、と言う噂がある。セシルが受け取ったラング国の国宝やかーさまの宝石は、セシルが異性に色目を使ってもらった貢ぎ物と言われているらしい。
とーさまがたくさん作った衣装についても、贅沢三昧で衣装を作らせている、となっている。セシルに面会い来る商人たちは、ラング商会の人たちばかりだ。仕事についての話し合いで、自分の私物のための無駄遣をしていない。セシルはセイズ国の税金は手をつけていないのに、「セシル姫の浪費でセイズ国の財政が傾いている」と言う噂がある。
だから最近ルークに近づかないようにしている。彼も学園の卒業式が近いから忙しくしている。でも卒業式の夜会のパートナーに誘われているから、ルークの愛を疑うことはない。ルークも陛下たちも、ルークとソフィアの婚約は正式にされていないと言っているのに、世間は二人は婚約していると信じている。
リリーの悪い噂も聞くけれどセシルほどではなかった。ノエールさまが城にいる時が少ないからだ。いまはミチル国にいる。
リンダの悪口がもしタイラさまに聞かれた時に、彼の復讐を恐れて表では言われていない。
セシルは貴族女性社会の情報網の恐ろしさを知らなかった。もし知っていたら、未来が変わっていたかもしれない……。




