1
誤字脱字、文章難な表現が多いです。少しづつ直す予定です。当作品で不快感を覚える方はお控えください。
神が世界を創り終えて、最後に自分にかたどり人を創った。
人が生活するにつれ、力を持たない人間は病気や怪我で簡単に死んだ。また天候によって植物が育たずに死ぬものも出た。
そこで神は世界で生きている人が、自分たちに必要な植物を創ればよいと考えて巫女一族に力を与えた。巫女一族は各地に移り住み、土地にあった植物を創った。
薬草や食べ物。衣類を創る草などなど。この巫女たちを人々は『緑の民』と呼んだ。
巫女の力は万能ではなかった。植物を創るにあたって絶対的な創造力がなければならない。植物の姿形、匂い効力そして成長過程。植物の生態を創造しないと創れなかった。緑の民の中で、新しい植物を創るものは一握りしかいない。
緑の民は植物に触れるとその生態を知ることができるゆえ、多くの緑の民は薬師として生きた。しかし、国々が緑の民から利益をえようとし緑の民を捕まえた。ある王は緑の民が新種の植物を創らないことに憤慨して、緑の民を処刑した。
たくさんの緑の民が権力者に捕まり奴隷の生活を強いられた。
時が過ぎるにつれ緑の民は力を隠して隠れて暮らした。
運よく緑の民を見つけた権力者たちは、緑の民の子孫を増やそうと子供をたくさん作った。しかし緑の民は巫女の血が入っていないと現れないが、全員が力を持って生まれるわけではなかった。
そうして時が過ぎ、緑の民はおとぎ話の人物になった。
呆けた目でセシルたちを見ている騎士は、茶毛に金色が混ざった髪を無造作に後ろに一結びしているワイルド系イケメンだ。
190センチの長身の彼を見上げるのは、なかなか首が痛い。多分ぶしつけに見ているのも無礼だろう。でも、16年ぶりに男を見るので好奇心の方が勝った。
ワイルドイケメンの後ろからついてくる黒い軍服を着ている他の騎士たちも、ハイスペックなマッチョイケメンたちだ。
こんな状況じゃなかったら、「きゃっ、イケメン、マッチョイケメン総受け」と脳内筋フル活用して萌えるのに……。とセシルは残念がった。
16年ぶりに父以外の男に出会えたのに、この世界を見る機会もなく、異世界イケメンカップル萌を楽しむ暇もないまま死ぬのだろう……。ため息がもれる。
セシルは日本という前世の記憶を持っている。細かい記憶はないけれど、たまに漠然と思い出す。
前世のセシルは、ブスでデブでお一人様の人生を過ごした。歳を取るにつれて、異性恋愛に夢を持たなくなった時に、BL世界にハマった。リアルで男性と恋愛したことはもちろん、会話する親しい男性もほとんどなかったから、男子たちでイチャイチャしている世界は魅力的だった。
とくにBL小説が好きだった。この世界に転生してから一度も箱庭と言う名の後宮、幽閉所から出たことがない。思い出した小説のカップリングを紙にメモをして、この世界の男性はどんな感じなんだろうと想像した。
この人生で知っている男性は、とーさまと薬師のセスだけだ。セスはとーさまと同じくらいの年齢。かーさまが亡くなって以来セスとも会っていない。かーさまは4ヶ月前に病死した。
「殿下?」
ワイルドイケメンの斜め後ろに控えている中性的なイケメンが、沈黙を破った。4カ月ぶりに開けられた箱庭に来た侵入者たちは、門を入って来た後セシルたちを見てから固まって動かない。
門の鍵を叩き壊す音がしてから、セシルと乳母のリンダと彼女の娘リリーは、入ってくる人たちを門の反対側で待った。とーさま以外の人が開けたことのない門が叩き壊されるのを、好奇心と不安な気持ちで待っていた。
自分の死期がくると分かっているけれど、16年間父とセス以外の人が来ることに胸が高鳴った。
いざとなればセシルをかばおうと両サイドにいるリリーとリンダにをこれ以上不安にしたくなくて、王女として気丈にたち構えているけれど、内心ドキドキだった。
門が開いて入って来た男性は若く整った顔をしていた。彼の後ろにいる男性たちもかっこいい。軍服のせいかもしれないけれど、16年ぶりに見る男性は背が高く体が引き締まっているイケメンマッチョ集団だった。
イケメンカップリングの妄想していないと倒れそうだ。
セシルの隣にいる二人が震えながら、侵入者たちを見ている。
リンダはリリーの母親でセシルの乳母で36才。セシルが生まれてから16年間、ずっと箱庭にいる。リンダはレイプされてリリーを身ごもった。下級貴族で妊娠したリンダは家から勘当される時に、セシルの乳母として雇われた。小柄の彼女は、子持ちなのにいまだかわいい女性だ。
リリーはセシルより一つ上で17歳。セシルより背が低くセシルは、リリーを妹扱いしている。リンダに似てストロベリーブロンドにエメラルドグリーンのまんまるの目で妖精の容姿をしている。
リリーがリンダ自身にそっくりで、男のいない閉ざされた環境だったから、リリーを愛せたのかもしれない。もちろんリンダはセシルのことも、自分の本当の娘と思っている。だから今たくさんの男たちと対面して、恐ろしいに違いないのに、セシルを守ろうと構えている。
リリーもセシルと同じで生まれてから会った男は二人。セシルのように前世の知識があれば、男について免疫があるのだろうけれど、まっさおな顔をしてどうにか立っている。
リリーに隠れているように言ったけれど、彼女もリンダと同じで主君のセシルを守ると聞かなかった。