魔法を使うと頭が痛くなります。(残酷描写あり)
残酷描写が入ります。
「ギルド、位置、どこですか?」
一人の黒っぽい鎧を着た騎士さんが路地から剣を持ってやってくる。微妙に剣が濡れててホラーだ。
えーと、騎士さん、語学も勉強しようね。
「私の言っている言葉わかりますか?」
アランとブラッドが剣を抜いて構えた横で私は早口で問いかける。
「もっとゆっくり、話して、ください。」
「わかりました。」
ゆーっくり話していく。
その際視線をアランとブラッドに送り、高速で話す。魔法士の早口詠唱なめんな!
「私が話して対応するから、二人は相手の動きに注意して攻撃してきたら弾いて防御。あと、私の話に割って入らないで。この人だけなんとかするから。あともしあの騎士が暴れだしたら私担いで剣域から逃げて。私絶対避けられないからね!」
「すまん。何を言っているのか、聞き取りにくくて半分も理解出来ないんだが。」
アラーーーーン!お前も言語理解力低いのか!そんなで大丈夫か、跡取り息子ぉぉぉ!
「わかった。要は普通に黙って守ってろって事だろ。」
ブラッド、簡潔だね。その通りなんだけどね。。。もっとこう、ねぇ。Please follow me。(使い方間違ってるよ)
「わかりません。」
騎士さん置いてきぼりで苛立ってるネ。兜がないから顔が見えるけど、ふむ。個人的に好きな部類のおじさまだわ。髪があれば。髪がないから雨水が顔にそのままかかって悲惨そうだわ。ハゲはイヤ。イケメンでもハゲだけで私にとっては商品価値0よ。
さてここからが正念場ね。
騎士さんに歩み寄る。だいたい3m離れて対峙する。
「ギルドまでの道のりですね。準備は良いですか?」
「お願いします。」
「まず、今いる場所がフェイスストリートのセント・マグダレンブリッジ西端です。ここまでの私の言葉わかりますか?」
「わかります。」
少し頭が痛くなる。
「次ですが、騎士さんの分かりそうな言葉で言うと、フェイスストリートを右沿いの水路を真っ直ぐ進んで下さい。」
さらに痛くなる。そして徐々に激しくなる雨。ハイストリートとフェイスストリート名称変えてるの気付かれるかしら?ドキドキ。
「突き当たったら次は少し出っ張った商店街に出ます。その中を左に突っ切って下さい。雨水で滑らないよう気をつけて下さい。目の前にギルドです。」
がんがんする頭を無視して詠唱続行。吐きそう。
「ありがとう。そして死ね!」
剣を振り下ろそうとする騎士さん。前に出るアランとブラッド。
そして最後の詠唱を終える私。
「お願いします。助けてください。」
そしてーーーー
騎士さんの左耳から吹き出る赤い血液。イケメンハゲの目が白目を剥いて前のめりに倒れこむ。ビクビクしてる。
私は言った。
「私の言葉がわかりますか?騎士さんのフェイス右沿いを真っ直ぐ進んで少し出っ張ったその中を左に突っ切って下さい。雨水お願いします。助けてください。」
それは詠唱。魔の力満ちた言葉による世界への依頼。魔力を単語単位で発する事で魔法発動。高校受験失敗してヒース先輩に慰めてもらってた時に情緒不安定になって発現した理。中学魔法理論書の1~3には書いてなかったからもっと上の高度理論なのかな?よくわかんない。
私にできる最大限の水流操作。約10Lまでの水を5m範囲で操作する。
ヒース先輩曰く、
「雨や濡れそぼった状態でお前とは戦わない。死ぬわ!」
だそうだ。
卑怯?そんな言葉は命の危機の前には関係ない。
そんな訳で私は盛大に前に倒れる。頭痛い。そして吐く。吐いた先には白目の騎士。
流石に私でも酷いと思うが、どうしようもない。
私の魔力中枢は頭にある。他の人はおへその奥や胸(胸にある人は基本的に巨乳)、男性なら陰部って人もいる(当然巨○ドキドキ)。頭にある人は魔法士全体の1割くらい。※月刊魔法士通信12月号「冬でも気象変化魔法があれば桜は咲くスペシャル」から引用。
魔力を使うと頭痛は凄いし、酷ければ気持ち悪くなる。
ヒース先輩と初めて行った雨の中の熊狩猟もこんな感じになったなぁと思いながら二人のイケメンを見上げる。若干引いてるのは気のせいと思いたい。
「ふたり とも あとはまかせたから わたしもって逃げて ね」
にっこりひきつって微笑む吐瀉物まみれの私。
意識を手放す前に最後に見たのはイケメン二人による運搬物(上半身をブラッドが下から支え、下半身をアランが持った)3Pお姫様だっこだった。
残酷+汚物でしたね。
┐(゜~゜)┌