いらない子の私は護衛されて脱出を図る。そして
初登場の美形兄弟が出ます。
少し長めです。
討論中の偉いっぽい人たちに向かって歩み寄るヒゲの人。放置される私。
少ししてヒゲの人はちょっと偉そうな人を連れてきた。この人もヒゲだ。でもこっちの人はアゴヒゲが凄いからアゴヒゲさんにしよう。ちなみにヒゲスナイパーさんは鼻の下のヒゲがスゴイ。綺麗な八の字だ。どうでもいいか。
「チーフ、こいつが逃げ遅れた子です。本人は水Eのサラだと名乗っています。」
チーフ、こいつが私を狙撃したヒゲです。名前は知りません。
「ふぅ。とっとと逃げてればいいものを。お嬢さんどうしてギルドに来たのかね?」
チーフさん、ため息吐かせましたか。すみません。
「先ほど火事に気付いて逃げたらヒース先輩にギルドにでも行ってろって言われました。」
「ヒース先輩??」
「あ、剣術B級の剣士ヒースです。」
「おお。ヒース君か。知り合いかね?」
「家が近所で、あと私のギルド新人研修に付き合ってもらってます。」
「ふむ。あいつが最近一緒に行動している新人の子か。」
なんか変な視線でじろじろ見られる私。弁明しておこう。
「あ、ヒース先輩はロリコンじゃないですよ。別れた巨乳な奥さんに今も尻にしかれて嬉しそうです。」
私にはヒース先輩の個人情報保護法などない。
「・・・・・・まぁいい。君は一人でも逃げられるかね?」
「はい。大丈夫です。」
キリッとした顔で即答。
「二人ほど付けよう。」
私の即答は毎回無視される。
「こいつらが一緒に連れて行ってくれる二人だ。アラン君が18歳、ブラッド君が20歳と若いが二人共剣術Dだ。」
「チーフ、逃げ遅れた市民ってこいつですか?」
「っべぇ、かわえー。これは良い依頼だ。」
ふむ要注意1名。背の高い方。のっぽさんだ。多分190cm超えてる。
ちなみに私の容姿は良い方だ。グレーのパッチリ二重、小ぶりの顔と少しウェーブの入った肩口までの金髪。黙ってれば没落貴族令嬢とヒース先輩は言っていた。ちなみに身長は150cmまでもう少し。体重は水の中に入れば浮くとだけ言っておこう。
「アラン・リード・スレッドノート。剣術D級だ。お前が逃げるまでの護衛役だ。遅れるなよ。」
アランは無愛想なイケメンだな。顔面の筋肉ほとんど動かねぇ。金髪碧眼。多分伸長は180cmあるかないか?くらいかな?
「ブラッド・スレッドノートだ。同じくD級。こっちの貴公子系イケメンとは異母兄弟だよー。護衛役よろしくね。」
のっぽさんもよく見るとイケメンだな。かなりの短髪で金髪を逆立ててる。目も碧眼だ。すこしアゴヒゲの剃り残し?がワイルドで加点してあげよう。でもちゃらい。わざわざかがんで視線を合わせるのは評価に値するが。くそう。どうせ、のっぽさんが立ったままだと私の視線は胸元だよ!
「初めまして。護衛していただく水E級サラと言います。ちなみに私の好みはヒース先輩です。」
綺麗にお辞儀をする。
顔を上げたらブラッドは両膝と手を地面について泣いていた。
とりあえず無視しよう。
「それじゃいきましょうか」
「ああ。ルートはここから東へ抜けてセント・マグダレンブリッジを通り首都リンドンへ向かうぞ。」
「分かりました。よろしくおねがいします。」
アランと軽く打ち合わせしてギルドを出る。
「まてーーーーい!そのスルーおかしいって!オレスルーされすぎじゃね!?置いてきぼりってひどくない!?」
ギルド前のバリケードを通り抜けて東へ伸びるハイロードをアランと二人歩き出したら後ろからブラッドが走ってきた。めっちゃ必死だ。結構速いわ。
「ブラッド、依頼受諾の登録と前金はきっちりもらってきたのか?」
「ああ。全部終わらせてきた。一応前金で50ペンド、首都に無事送り届けられたら向こうで200ペンド貰うことになってる。毎回この書類仕事って面倒だよなぁ。。。ってそこまで気付いてたんなら待ってくれても良いんじゃないかなぁと思うわけですよオレは!!」
「そんな事はお前に任せた。面倒だ。」
「その対応もどうなんですかねぇ!」
「ブラッド、オレはお前のなんだ?」
「はいはい。次期スレッドノート家当主様で本家筋のご主人さまですよ。ったく。」
ふむ。この二人はやはり貴族様らしい。
貴族と一般平民の一番わかり易い違いは苗字のあるなし。基本的に苗字があれば貴族の傍系、当主や次期当主等にミドルネームが付き、王様とかだとミドルネームが3つだか4つだか付く。爵位が上がれば上がるほどミドルネームが増えるらしい。
なのでこの二人は多分男爵か騎士爵位の貴族なんだろう。
貴族といってもこの国に貴族傍流の苗字持ちはめちゃくちゃ多いけどね。没落しても苗字は消えないし。建国1000年超えるウチの国、そりゃいっぱい苗字持ちも増えますさ。ちなみに全国民の3割が苗字なし。私希少価値ですよ!!
言い合う仲の良い二人に話しかける。もちろん足は止めない。
「登録お疲れ様でした。ブラッドさん。」
「ああ。嬢ちゃんも言ってくれよ。こいついっつもこんな感じなんだぜ。淡々と無表情でボケる。そのくせモテるし。」
「ブラッドさんが良いツッコミを入れるからだと聞いてて思いましたが。それはつまりブラッドさんあってのモノなんですよ。きっと。」
「そ、そうかな。照れるぜ。。。いや、ちょっと待て、褒めてないよな!それ!」
「あら。気づきましたか。」
「あーー!っもう。あんたもあいつと一緒かよ!男の趣味もわりーしよぉ!!」
むかっ!
「ブラッドさん、私はあなたのなんですか?」
「え、そりゃー。。。」
畳み掛ける!
「ただの護衛対象です。」
「知ってるよ!?」
「あ、雨が降りだしましたね。さすがスティーブさん。これで少しは鎮火すればいいのですが。」
「またスルーかよ!ってスティーブ師知り合いか?」
「先ほど初めて耳にした名前ですが?」
「なにきょとんとした顔でこっち見ながら首傾げてんだよ!ちくしょうかわいいぜ!というか、親しげに’スティーブさん’とか。。。あ~~つっこみきれねぇ!!」
「はぁ。やれやれですね。まだヒース先輩のツッコミの域に到達されていませんわ。」
ブラッドさんとの話中にアランさんが入ってきました。
「B級ヒースか。いつかあいつに勝ちたいものだ。」
「あら、アランさんはヒース先輩のファンですの?」
「ああ、あの突き込み。衝撃を与える薙ぎ払い。極めつけは頭への振り下ろし。あの鋭さはなかなか避けきれないだろうな。」
「きっと慣れが必要なのです。慣れてくれば空気のようにスルーすることが出来ますわ。」
「ほう。サラ嬢は彼の技を避けることが出来るのか?」
「10年かかりました。」
「大したものだな。」
「それほどでも。フフフ。」
「ちょっとまて。。。お前ら二人はなんの話をしている??」
「「もちろん」」
「剣術だが?」
「ボケツッコミ」
「だめだ。この二人のボケにはオレ対応しきれねぇよ。」
無駄話をしつつ3人共に現実逃避で周囲をあまり確認しない。いやしたくない。
周囲の建物は雨が降り出したおかげで少しづつ鎮火に向かいつつある。
休日にはバザーも行われるハイストリートは住人が逃げ去って人影なし。
建物が燃える音とそれを消す雨音、あとは私たちの話声しか聞こえない。
もう少しでセント・マグダレンブリッジが見える所で横合いから声がかかった。
「おまえたちは、この、国、の、ギルドの位置を、知って、いません」
きっとウチの国の言葉が不自由なんですね。エリート魔法騎士団さん。
少し長めです。
私の美形作成能力は当社比50%だ(`・ω・´)