目が覚めたら火事でした
そして私は目覚めた。
今いる部屋全体は炎に囲まれ寝ていたベッドまで熱気がくる。
「火~~!?」
パニックになりかけたが、先輩に教えられた通り、生きていくのに必須の装備やお金等はベッド周辺に置いて就寝していたのですぐに動けた。
しかし、すぐと言っても数分かかってしまった事は、この場合かなりまずい事なのではないだろうか?などとどこか他人の事のように感じつつ魔法を使う。
「お願い。私に水をください。乾きを癒す為に」
私の精一杯の魔法。コップ1杯の水を出すだけの魔法。ずっしりと頭が痛くなるがなんとか出した水を備え付けのマクラに流す。
そして湿った部分を口元に当てて窓まで這いよる。
窓を開けて外の様子を見た。
そこにはヤバイ状況が展開されていた。
黒い鎧(多分高価な魔法鎧)を着込んだ騎士達と革製の身軽な鎧を着た荒くれ者達が戦っていた。そして、そこいらに革鎧の人達が倒れて動かないこの状況。
何が起こっているのか。どうなっているのか。
パニックになりそうだったけど、幸い?後ろに炎が迫ってて飛び降りるしかない。
優先順位1番は私の命よね!
革鎧の人達の一人が青い剣で騎士さんをなぎ払いつつ、ふとこちらを見上げた。あ、ヒース先輩だ!
B級剣士ヒース先輩37歳。バツイチ。別れた奥さんとの仲は未だ良好。何故離婚したのか。。。。。。昔から家が近所だったのでよく遊んでもらったおにいちゃん(こう呼ぶと喜ぶ)。
性格は努力の人。あとつきまとうと地味に面白い。
「おにーちゃーん。受け止めてねー!」
そして私は先輩めがけ飛び降りる。たぶん2階から踏んでも先輩なら潰れないよね!
「ちょ!おま!?ばk」
ヒース先輩は慌てて戦ってた騎士?を盾にして私を受け止めた。ヒドイ。
私は思いっきり騎士の人を踏みつけて、転がりながら着地。イタイ。
起きようとしたら無理やり起こされた。先輩だ。
「お前なんでオレ目掛けて飛んでくるの!?馬鹿なの?あと死にたいの!?」
相変わらず先輩は面白い。
「起きたら炎の海で窓から外見たら先輩がいたから助けてもらえるかと思って飛び降りました!」
きりっとした顔で言ったらため息をつかれた。そして突き飛ばされた。転がった!
ギギギィン
文句を言おうとしたら、さっきまで私が立ってた所にぼやーっとした白い炎を纏った剣が振り下ろされていた。それを先輩の青っぽい剣が受け止めている。
「いーからさっさと逃げろ!E級がここにいるんじゃねぇ!っと」
そして始まる剣戟。逃げろって言われても。。。
「っと、いう、か、本部にでも、っと、行っとけ!」
半ばパニック(これってパニック状態じゃね?)になりつつ、先輩からの指示が!
「E、E級魔法士見習いサラ。只今より本部行ってきます!!」
噛みまくりでそれだけ言って走り出す。
先輩と騎士の人の剣舞は凄さを増していく。無事でいて下さい!