表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヨット高校新聞部!!  作者: 中田 春
ヨット高校新聞部!!
6/56

さわり.4

七不思議なので、最低 “七”回やらないとダメですよね♪


「……七不思議を検証しようかな、と」



 ナツキの表情がパーッと明るくなる。

「いい! うん、ゼンゼンいいじゃん! 〈ヨット高七不思議〉の真相ねッ」



 それは僕たちの学校にも当然のように存在する。

 何かの拍子でふと耳にする、最も身近な怪談話――

 彼女の無邪気な反応にホッとする一方で、

 やはりどうしても拭えない不安を、僕は再認識することになった。



「何か……問題があるの?」

「突っ込んだ記事になるかは分からない。でもたぶん、最後に行き着く先は、“つまらないもの”になる気がするんだ。だから先輩たちは手を出さないんだと思う」

「どうして? 〈ヨット高七不思議〉なんて聞いただけで、私とってもワクワクするよ!」

「途中まではね。でも噂は、やっぱり噂なんだ。そこに確かなものなんて存在しない。真相を究明すればするほどワクワク感はないよ。それにないことだってあり得る」



 不思議そうに小首をかしげる彼女に、

 「結論がないかもしれない」と僕は言った。






 景山部長と榮倉先輩は、プロ顔負けのしっかりとした記事を作る。

 現在、彼女ら(主に榮倉先輩)が粉骨砕身・猪突猛進の、

 極端な前のめり姿勢で取り組んでいるのは

 女子が着用する体操着の改革だ。

 ブルマ、とまではいかないが

 体育の授業で着用を義務付けられている女子の短パンの丈は、

 確かに目のやり場に困るほど極端に短い気がする。


 それについて昨年の夏から問題提起を始め

 それまで見向きもされなかった〈ヨット高新聞〉で世論

 (女子生徒。一方の男子生徒は密かに改革の阻止を試みているとか、

 いないとか)を味方につけ、

 そしてつい先日、一向に取り合わなかった教師らとの会談の場を

 設けることに成功している。



 そこで話し合われた第一回目の会談の内容は

 来月号の〈ヨット高新聞〉に掲載されることだろう。



 政治の面は足りている。

 だから僕らに残されているのは芸能面とスポーツ面だ。

 いかがわしいピンク面でもいい。そっちは呉介の専門だ。




「――だから、保険を掛けておきたい。記事が完成しても、部長のゴーサインが出ないと水の泡だ。紙面に穴を空けるワケにはいかないから、加賀さんは、僕とは別に動いてほしい。バレー部でも野球部でも、それとは別に記事を作るつもりで」

「えーっ、そんなあ……絶対に大丈夫だと思うけどな。だって何を聞けばいいの? 取材って言っても、一人で大丈夫かな……」

「新学期が始まって、新戦力とか中心になる選手が交代するから特集企画ってことでさ。たぶん、それでなんとかなると思うけど」

「あ、あのさ……私、野球部とか、ちょーっと無理かも……」



 そう言って、ナツキは苦笑する。

「でもでもッ! バレー部とか女子バスケット部だったら、知ってる子が居るから大丈夫! やるんだったら、そっちがいいな……ッていうか絶対そっち! 野球部ムリ、それだけは絶対ムリだから! ムリったらムリムリ!」

「ウチの読者は、ほとんどが女子だから問題ないと思うよ」



 顔を何故か真っ赤にさせたまま、

 ごにゃごにゃとまだ話し足りない彼女に「じゃあそれで」と

 適当に言って、すっかり暗くなった階段を僕は下りた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ