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『初くえすと』



~全開のあらすじ~


遂に明らかになる三食雑草少女の過去オォォォォォォ!!!


黄泉返った主人公に迫る影エェェェェェェェェ!!!!


振り返った彼女が見たものとゥはアァァァァァァァァ!!!!!!








「あらすじって打ち切りになったんじゃ無かったんですね」


『全開…じゃなかった前回はお休みだったしな』


「きっとシリアスな空気を読んで自重してくれたんでしょうね♪」


『教頭の顔面にパイ投げ』


「…シリアスな空気を読んで自重してくれたんでしょうね」(←二回目)




それでは本編↓をどうぞオォォォォォォォォ!!!!!!!



『「お前が言うんかい!!!!!」』












ガサッ



明らかに、何かが(うごめ)いた音。


背中にひやりとした汗が流れます。


ざわざわと揺れる葉、鳴き声、冷たい空気──


そして、背後に感じる、何かの気配。


意を決し、振り返ろうとしたその時───











『ガォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!』


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!」





耳元でおぞましい声が!!!


っていうか鼓膜がッ!鼓膜がッ!!





「って…」


今の声ってもしかしなくても…


「じょ、上司さん!?」


『チョリーッス』


「古ッ!軽ッ!」


略して古軽ッ!


『特に略す必要性は感じないが』


「ナチュラルにひとの心を読まないで下さい」


というか、さっきから…


「声だけで上司さんの姿がないのですが…」


『ああ、それは…』


「ご愁傷様です?」


『死んでないからな』


「ご臨終です?」


『化けて出てきたわけでもないからな』


「ああ、幻聴か…」


『何故、そうなる!?』


はぁ…、とどこからかため息が聞こえます。

しかしあいかわらず上司さんの姿はありません。


『自分の左耳を触ってみろ』


「…」


ぐにぐに


「…しこり?」


『ピアスだ』


親にもらった体になんてことを!責任取って下さい!!


「賠償金ふんだくってやる!!」


『おーい、また逆になってるぞー』


「てへぺろ☆」


キャ☆シロッたらドジッ子☆☆☆


『誤魔化せてないぞ』


「ちっ★取り敢えず賠償金払ってください★★★」


『開き直った!』


ふう…、とさらに深いため息が聞こえます。

疲れてますなー(←他人事)


「で、これって結局なんですか?」


『ピアス型無線機(引っ付くタイプ)だ。

ついでに電池、充電いらず!』


「怪しい通販の宣伝みたいですね」


『ちなみに動力は人間の血』


「それピアス!?」


吸血されるの!?


『名前はでんとう虫くん』


「昆虫ですよね、それ!?」


虫!?

虫なんですかこれ!?


『じゃ、そろそろ本題に入るぞー』


「待って下さい!?これ取れないんですけど!!」


丸いから爪が引っかからない~~~っ


『お前が今居る場所なんだが』


「さらっと無視した!!」


『そこは通称アマゾネンという、ジャングルに覆われた世界だ』


「ふぇえええ~~~~~~、取れないぃ~~~」


『さっきも言った通り、そこで初任務をこなしてもらう』


「ひぃっ!いいいいいい今“ちくっ”と、した!?」


『任務内容は宛先人へ手紙を届けること』


「なんか“ちゅーちゅー”ゆってる!“ちゅーちゅー”ゆってる!!」


吸われてる!さっそく吸われてる!!

充電切れるの早くね!?


『説明は以上だ。健闘を祈る』


「ちょっと待てぃ!なに早々に通信切ろうとしてんですか!?」


『や、なんか1人で楽しそうだったから、邪魔しちゃ悪いかなって…』


「変なところに気を遣わないで下さい!」


っていうかどの辺が楽しそうに聞こえたんですか…。

まだ、ちゅーちゅー言ってるし…。


『わざとだけど(笑)』


「おまえ マジで おぼえとけよ (怒)」


『どうでもいいけど、この通信料、お前の給料から引いてくからな』


「どうでもよくないですよ!?」


何してくれちゃってんのこの人!??


『補足なんだが』


「また無視した!!」


『鞄を開けて、中身を見てみろ』


「……?」


言われた通り、わたしは肩に掛けている鞄を開けます。


すると、





「……………はい?」


鞄の中には綿(もこもこ)がぎっしり詰まっていました。


いやいやいやいやいや、なにゆえ!!?


あ、でもふわふわで気持ち良い…。


さらに、




「めぇん」




…………………。

…………………………。




間。


「…上司さん。今、なんか言いました?」


『いや?』


「なんか聞こえませんでした?」


『いや?何も聞こえなかっためぇん』


「ばっちり聞こえてるじゃないですか!!」



───と、その時。


しゅばっ


と、わたしの鞄から何かが飛び出します。




ソレはくるくると回転しながら───


しゅたんっ


わたしの目の前に華麗に着地しました。




その正体は…




「………ひつじ?」


わたしの目の前に居たのは、一匹のひつじでした。


モコモコとした綿のような毛と、目を閉じて【ハ】の字になっている目元が印象的です。


ひつじは「めぇん」と鳴きました。


鞄の中身がカラなのを見ると、どうやら鞄に詰まっていたのはこのひつじさんのようです。


「ところでひつじって一匹、二匹…で数えるんでしたっけ?

それとも一頭、二頭?」


~唐突に始まる上司さんの豆知識~


『一応、ざっくり説明すると、人間よりも大きいものは“頭”、

小さいものは“匹”で数えるらしい。

ひつじは小型なものから大型までいるからどちらでも良いらしいぞ』


「へー」


『心の底からどうでもよさそうな返事だな』


それより今、わたしが気になっているのは──


鞄とひつじを交互に見比べます。




A4サイズの紙が辛うじて入りそうな鞄と


決して小柄とは言えないひつじ。



どう考えてもこれは…。


そこで上司さんは何かを悟ったかのように、


『…どうやってその鞄に入ってたかは、聞くな』


「…アイアイサー」


この世界には不思議がいっぱいです。




こほん、と上司さんが咳払いをして話題を切り替えます。


『それは乗り物兼案内役の通称ひつじさんだ』


「まんまですね」


『じつはあまり移動速度は速くないから、自分で歩いたほうが早い』


「ぶっちゃけなくていいですよ、そんなこと…」


ていうか、またさり気に無視したし…。


『説明は以上だ。何か質問はあるか?』


「バナナはおやつに入りますか?」


『入らない。では健闘を祈る』


ぶちッ


「……」


くっ…!入らないのか……!!




ふう、とわたしは短いため息をつきます。


とにかくクビにされないためにも、


「三食雑草は嫌。三食雑草は嫌。三食雑草は嫌」


死ぬ気で頑張ねば…………!!!


「行きましょう!ひつじさん!!」


「めぇん」





こうしてわたしの初クエストが始まったのです。



踵を返し、大きく一歩を踏み出します。



───と、そこで。





『あ、そうそう。一つ言い忘れた事があってなー』




『アマゾネンは多数の部族があって、うっかり縄張りに入るとミンチにされるから気をつけるんだぞー』




その後の上司さんの言葉は頭に入ってきませんでした。



ただ、先ほどの上司さんの言葉が、頭の中で反響していました。




何故なら、






すでにわたしは、完全武装した、部族と思われる集団に完全に包囲されていたからです。

















>ミンチルート、決定。



「ミンチは嫌ああああああああああああああああああああああ」






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