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「紙、大好物。ウホ」

とても香ばしい香りがしたのです…。


(むしゃむしゃ)


いけないことだとは分かっています。


(パリパリ)


けれど止められないのです!!!


(ビリッ!)






「あ──!シロがまた勝手にお手紙食べてる───!!」






バンッ!!


「羊の郵便局配達員、白ヤギ!!お前に配達員の自覚はあるのか!?」


「あ、あるですよ。当たり前じゃないですか。シロを何だとお思いですか?」


「馬鹿」


「ひどっ!?」




ここは羊の郵便局(シープポスト)


様々な“世界”から手紙が集まり、

ここから配達されます。


ちなみにわたし達が言う“世界”とは国や地域のことではありません。


パラレルワールド、と言う言葉をご存知でしょうか。


分かんなかったら取り敢えずググッてください。

ていうか、ぶっちゃけわたしも知りません。

マニュアルにそう言えって書いてあったんで、言っただけなのです。


パラレル…傘?

傘の世界(パラレル・ワールド)

なるほどー。


とにかく羊の郵便局(シープポスト)とは

様々な“世界”の狭間(タンスとタンスのすき間みたいなもんです。)に存在し、

“世界”へ手紙を届けるのがわたし達、羊の配達員なのです──


「おいヤギ娘、人が説教してるときにモノローグに入るな」


先ほどからわたしの目の前でふんぞり返って説教している女性は

わたしの上司さんです。名前はまだない。


「名前はお前が覚えてないだけだろ」


「上司さんだってわたしのこと『ヤギ娘』とか『白ヤギ』

とか、ちゃんと覚えてるんですか?」


「まず知らん」


「そこから!?」


「興味もない」


「ひどっ!?」(本日二回目)


えー、極悪上司は放っておきまして…。


自己紹介が遅れました、

わたしは羊の郵便局(シープポスト)配達員の

「白ヤギさん。」と申します。


「って被せないで下さい!?」


「紙、大好物。ウホ」


「あらすじのトラウマを思い出させないで下さい!!」(←羊の郵便局のあらすじ参照)


言ってないです!!

言ってないです!!

大事なことなので2回言いました。


「実は今回のサブタイトルもこれ」


「いやあああああああああああああ」


サブタイトルの確認なんかしちゃだめです!!!

あ、ちょ、見ないでぇえ~~~~~~


「紙大好きは事実だろうが。何で説教食らってんのか忘れたのか?」


「そうでした!」


「マジで忘れてんじゃねえよ」


そうなのです、実は──


「何でお前は上司に怒られてるんだ?」




「シロが…わたしが、お届けするお手紙を食べちゃったからです…」




上司さんはふぅ、とため息をついて


「何で食べたんだ?」


「おいしそうだったからです…」


「そうか…」




わたしの大好物は、紙。


ぺらっぺらのあんちきしょう。


愛ラブ紙。I LOVE PAPER.




「紹介文のアレはネタでも冗談でもなく、本気だったんだな…」


「おいしかったです」


「そうか…」












バーン!!!


「ってそんな言い訳通じるかぁ──っ!!!」


どーん!!!


「手紙喰う郵便配達員ってなんじゃあ──っ!!!」


ズーン!!!


「これで100通目だぞ、ひゃっ・つう・め!!!」


「めでた」「くない!!」




「ぜぇ…ぜぇ…」


肩で息する上司さん。

バンバン叩きまくった机にはヒビが入っています。


やがて椅子に座りなおし、さっきと同じふんぞり返った姿勢で言います。


「というわけでクビ」


「ぎゃおおおおおおおお」


「どこの怪獣だ、お前は」


「ぎゃおおおおおおおお」


極悪非道上司に襲い掛かるわたし。


「うっさい」


パァン


隠し持っていたハリセンではたかれました。



倒れたわたしは、手を伸ばしながら訴えます。



「ううう…、明日からシロはどうやって生きていけばいいのですか…」


「ダンボールならたくさん余ってるぞ」


「明日からダンボールハウス暮らし!?」


「よかったなぁ、夢のマイホームだぞ」


「ポジティブシンキングにも限度があります!」


「幸せは得るものではない、感じるものだ」


「感じるのは切なさだけですよ…。ご飯だってどうしたら…」


「何年か前のベストセラーに『ホームレス高校生』っていう本があってな…」


「兼食料!?」


ダンボールすげぇ!!


「しかもダンボールの原料は紙の原料と同じだぞ?」


「!!!!!」


「いや、ごめん。ここは冗談のつもりだったんだが…。」


ドン引きした顔言う上司さん。

っていうかダンボールハウスは本気だったのですか。


「つーかいつまでたっても話が進まん。本題に戻るぞ」


「自分だってノリノリだったくせに…」 クビ!?どうしてですか!??


「セリフと心の声逆になってるぞ」


「いつまでふんぞり返ってんだ、ババア」 いきなりクビなんて…酷いです!!


「チャンスやろうと思ってたけど気が変わった。やっぱクビ」


「今日からわたしは貴方の下僕です」


「うむ、苦しゅうない」


「で、そのチャンスとは?」


ふむ、と上司さんが頷きます。


「次回だ」


「へ?」


「キリが悪くなるから、次回」


「えええええええ」





☆つづく☆


「納得できね──っ!」


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