第五十話
「――――ッ、は!?」
息をするのも億劫になるほどの倦怠感と疲労感の中、私は目を覚ます。背中に伝わる固い木の感触と、胸元までかけられた薄いシーツが、私がベッドの上に寝かされているのだと教えてくれる。
何故こんな所に。そう思ってみても、寝起きで朦朧とした頭は眠る前の記憶を探り当てる事が出来ないでいる。
「ここは…… ぃツ、つ――」
とりあえず身体を起こそうとした私は、全身を駆け回る激痛に思わず悲鳴を上げ、起きる事を諦める。身体を見れは全身に薬草を染み込ませた包帯が巻かれているし、視界が悪いと思ったら目元から顔を覆うように同じものが巻かれている。
「私、は……」
激痛のおかげで少しずつ醒めて来た頭で、私は何が起きたかを振り返る。
そう、忘れたいほど絶望的で、一瞬でも忘れてはいけない記憶を。
◆◇◆◇◆◇
簡単な仕事だと油断した訳ではなかった。何時、如何なる時に、何が起こるか分からないのはこの仕事の常だから。
――バグベア。蟲熊とも呼ばれるそれは、巨大な、熊の様な体躯を持った虫とも動物ともつかない魔獣。その巨躯を浮かすには余りに不釣り合いな蜻蛉の様な羽、あらゆる方位を見渡せる蠅の様な複眼、ギチギチと鳴らすのは骨すらも噛み砕く蟷螂の様な強靭な顎。それが毛むくじゃらの肉体に備わっているその不自然さと奇妙さは、不快その一言に過ぎる。
正直私は、この魔獣が好きではない。いえ、魔獣自体好きではないし、この魔獣を見て愛い印象を受ける女性冒険者は居ないとは思うのだけれど。
今回の目的はこの魔獣の討伐。その数30体。同じような討伐依頼で平均的な数字を言えば10体前後である事を考えれば、この依頼の規定数がかなり多い事が分かる。索敵に時間がかかると言え、対象自体は私たちの実力では問題ない依頼だった。そう、だった筈なのに――
「下がれッッ!!ファリ!!!」
あの人の悲痛な叫びが響く。頭では分かっていても、身体がうまく動いてくれない。
「ど、く……?触れ、ても、無いのに……ッ」
何とか呻く様な声で言葉を漏らす。逆に言えば、それしかする事が叶わない。
ここで終わりかしら、と思った瞬間、私の身体を誰かが抱え、魔獣から距離を取る。
「ファリ姉重いッ!」
失礼ね、後でお仕置きよ。……“後”があれば、だけど。
「触れずに、空気に撒き散らした毒だけでコレか」
「蠱毒の魔獣……名付きの魔獣は化け物揃いって聞いてたけどッ、反則じゃね?」
「……囲まれているな」
“蠱毒の魔獣”
名付きの魔獣の内の一柱で、ありとあらゆる“毒”を内包する蟲の魔獣。それは百足の様で、蠍の様で、蜘蛛の様で、蛾の様で毛虫の様で蜂の様で…… それら総ての様であって、それら総てではない姿。それが蠱毒の魔獣。
その毒は多様に渡り、身体を動かす機能に作用するもの、出血を引き起こすもの、催淫性、催眠性、幻覚、感染、他にも数えきれないほど。それを自在にまるで意思を持たせたかのように操る能力は、確かに反則的な能力。
私たちは、それに遭遇してしまった。
可能性が無かったと言う訳ではない。蟲の魔獣が集まる所にこれは現れる。だけど、確率にすれば森の中で葉を探すほどの僅かな可能性に、私たちは出くわしてしまった。不運、不幸、そんな言葉で片付けるにはあまりに理不尽な状況。
「転移魔術は?」
「結界がある。……不意を突いて無理矢理通れるとしても、可能なのは一人だけだな」
「助かるのは一人だけって事か。……お前ら、構わないな?」
「異論は無い」
「んじゃ、決まりだね」
喋ることもままならない私が、身体を苛む激痛と倦怠感と戦っていると、彼らの中で何か一つの事の決着がついたらしい。朦朧とし始めた意識に鞭を打って、何とか彼らの結論を待つ。
「ファリ、お前は街に戻って蠱毒の魔獣が現れた事を皆に知らせてくれ」
「どう、して、私が…… 一人、生き残るなら、リーダーである、あなたが……」
「ばーか。転移魔術なんて高等魔術組んでる間、俺以外の誰がアレを足止め出来るってんだ」
「でも、そんなッ!」
みんなを置いて自分一人だけ助かるだなんて、そんな事、許容できない!
「それに、な。ここにいる全員が一番生き残って欲しいと思ってるのがファリ、お前だ」
「ぇ…………?」
何のことか分からず呆けた返事をする私に、みんなが順に声を掛ける。
「まぁ、何だ。俺も実はお前に惚れていたのだ。だからお前には死んで欲しくない」
やめて、そんな笑顔、柄じゃないわ。いつもみたいな人を食ったような笑みはどうしたの。
「そーゆーこと。揃いも揃ってメロメロにするなんて、ファリ姉罪作りだねぇ」
やめて、そんな大人びた、諦めた表情。いつもみたいな無邪気で子供っぽい表情はどうしたの。
「そういう事だ。お前はいい女だからな。惚れるのは無理ない。さて、俺も最後に一つだけ言わせてくれ」
やめて、最後だなんて、言わないで。
私は、私はあなたを愛している。だからもっと一緒に居たい。ずっとあなたの傍に、あなたの隣に居たい!
「ファリ、悪い。俺達は此処までみたいだ。だけど、言っただろう?お前だけは命に代えても護る。だから、お前は生きろ。生きて、幸せになってくれ」
「いや、嫌、イヤいやイヤ嫌!絶対に嫌!あなたが、ここで死ぬと、いうのなら、私も、ここで、死なせて!あなたと、共に逝かせて!!」
幼子の様に泣き、喚く私の頭を、剣ダコでゴツゴツとした手が優しく撫でる。
「……なぁ、俺の産まれの地方の伝えでな、『人は二度死ぬ』ってのがあるんだ。
一度目は命を失った時、そして二度目は誰からも忘れ去られた時だ。
ファリ、お前が生き延びてくれたら、俺たちはお前の中で生き続ける事が出来る。だから、お願いだファリ。死ぬなんて言わないでくれ。俺達の為、生きてくれ」
「おい、悪いがそろそろ食い止めるのも限界だ。転移魔術を発動させる。足止めを替われ」
「あいよ。じゃあな、ファリ。愛してるぜ」
そう言い放ち、死地へと向かう彼に縋る様に、懇願する様に手を伸ばす。けれども、その手は彼のカケラすら掴めぬまま、空を切った。
「やめて、お願い!皆、嫌……嫌!どうして、動かない、のよ!動いてよ、私の、身体……
待って、待って、嫌……」
一体どれほどの間、私は泣き喚いていたのか。傷付く皆の姿に愕然としながら、そして私の意識は、無理矢理結界を破った転移魔術の負荷に耐え切れず、闇に落ちた。
◆◇◆◇◆◇
「ぁ……ァア……ぁああぁァァァ!」
思い、出した。思い出した!寝ぼけていた頭をカチ割りたくなる。何でこんな大切な事を一瞬でも忘れてしまっていたのだろう。
助けないと。一刻も早く皆の元へ行かないと!あの人の元へ……
「ドクター!患者が、意識を取り戻しました!しかしかなり錯乱しています!」
「さが、さなきゃ、みんなを、助けにいかないと!」
激痛に悲鳴をあげる身体を無理矢理起こしていると、私の呻きで異常を察したのか医者の助手らしき者が現れ、私の姿を見て悲鳴をあげる。
「待って下さい!貴女とてもじゃないけど外を出歩ける様な状態じゃ……」
「どき、なさい!邪魔をしないでッ!」
身体再びベッドへと戻そうとする女の手を振り払い、私はある建物へと向かう。あぁ、どうして身体が、こんなに動かないのよ。はやく、早く行かないと。
バタン!!と、戸が悲鳴をあげる。扉が壊れるのではないかという程強く開け放った戸を抜けると、何事かとこちらを見やる視線が集まっている。私はその総ての視線を無視して、ただ一人の人物を探す。探す、と言っても彼女の定位置は変わらずであり、彼女自身も変わらず其処に立っていた。私は重い脚を引き摺りながらも彼女の前に立つ。
少女は警戒心を露わにしながらも気丈にわたしを見つめている。そんな彼女に対し、私は焦操を隠さず、怒鳴る様に問いただす。
「教え、なさい、“歌劇の魔女”!!あの人達は今、何処に、居るのッ!」
「あの人……?」
「私達の、リーダーよ!『フォルトナ』の、みんなよ!!」
その言葉を聞いた周りの人達が俄かにざわめき出す。私達のチームはこの街でも上位に位置する実力がある。その私の状態を見て周りが状況を察する。
ちがう、うるさい、あの人たちは、死んでない!
私の言葉を聞いた歌劇の魔女が、怒るわけでもなく、静かに目を閉じ…… すぐに目を開く。その目を逸らし、顔を伏せ、ただ申し訳なさそうに告げる。
「……分からないです。いいえ、少なくとも、もうこの世界の中には、居ないです」
その言葉を理解することに数秒の、時が止まったかと錯覚するような数瞬を要し、認める事なんて出来なくて、でも、心の何処かでわかっていた答えが胸に突き刺さる。
「う、そ……、嘘よ、そんなの、だって、そんな……」
「残念ですが恐らく彼らはもう……」
「ぃ……や……イヤァアアアアァァァ!!!」
私は崩れ落ち、喉が枯れんばかりの慟哭をあげる。
「おいおい、気持ちは分かるが、少し落ち着けよ」
「そ、そうだぜ。あんただけでも生き延びれたんだ。運が良かったと思いなよ」
無遠慮に、無神経に私を慰める男達。
ふざけないで!あの人を、皆を喪って、私だけ生き延びて運が良かっただなんて!!
……いえ、違う。違うわ。
「そう、よ…… 『私は幸福でなければいけない』
だって、あの人が望んだのよ。生き延びてくれって。幸せになってくれって。
だったら、それこそが私の望み。私の願い!」
――故に、“吾身神光戻給”
私の周りを、まるで竜巻が発生したかの様な魔力の暴風が吹き荒れる。それと共に私の、私だけの“世界”が、“法”が展開される。
「マズい!!まさか、魔女化か!!」
周りから焦燥に駆られた叫びが上がる。歴戦の戦士が集まるこの店に、稀有とは言え魔女が生まれる瞬間を知っている人間が居ても不思議じゃない。
「あの人の願いを絶たせない。それを邪魔する不幸なんて、要らない!!
私の、目の前から、消え去ってしまえッッ!!」
発動した魔法が私の身体を包む。蝕んでいた毒が、幸運にも、体内で浄化される。戦闘態勢に入る男たちが、幸運にも、突然発生した地震に足を取られ、私はそこから無傷で逃げ延びる。
そう、私は幸運でなければならない。あの人を、みんなを忘れない。私が無くなった時、再び彼らが死ぬというのなら、私は絶対に、永遠に在り続ける!!!
――人生行かば諸々の罪穢咎祟に負て
此の身に宿りし神光失ひしとき、貴き貴き大神の御愛以て
吾が身の内に神光取戻し給え
◆◇◆◇◆◇
「……それが、あんたの願いか」
「私の存在は他者を不幸にする。それでも私はこの歩みを止めるつもりは無いわ」
――去る者は以て疎く、生ける者は日に以て親し。だけど、彼女は其れを許容出来ない。
“幸運の魔女”が語った目的、それは生き延びる事。いや、“自身という存在を継続させる事”。
それは人であれば誰でも少なからず思い、そして彼女はそれを誰よりも欲した。ただ消えたくないと。永遠に在り続けたいと。愛する人の思いを途切れさせたくないと。それだけ強く人を想う心には尊敬と羨望を感じてしまう。
しかし彼女の言うとおり、その存在は他者を不幸にする。それは彼女が望まずとも、いや、望んでいないからこそ起こってしまう。それは僕にとっても、僕の周りの世界にとっても許容できるものではない。
「何のつもりか知らないけど、貴女、そろそろ法を展開するのも限界でしょう?」
「……そうだね、保ってあと数分かな」
「こんな時間稼ぎみたいな真似、何の意味があるのかしら。
援軍を期待してるなら…… 残念ね。此処には“運悪く”たどり着く事が出来ないわ」
おそらく僕を探しているであろうアーニャとエランティスは、運悪く僕を見落とし、不運にも何らかの妨害を受けているのだろう。“吾身神光戻給”だっけ?あまりの理不尽さに、僕はため息と共に悪態をつく。
「……ホント、無茶苦茶な魔法だな。あぁ、だけど、おかげで見つける事が出来たよ。その魔法の突破口を」
「……へぇ」
僕の言葉に魔女は若干の興味と、多くの嘲笑を込めた返事をする。在り得ない、と思っているんだろう。事実、僕の力だけでは彼女の“幸運”を超える事は叶わない。
「僕が、どうしてここまで魔法を扱えるのか、疑問にならないか?」
「…………」
無言の肯定。それは彼女も疑問に感じていたからに他ならない。
他の魔女からすれば、僕の成長速度は異常だ。例えば魔法に術式を込めるには十年級程度の実力が必要だ。本来は、魔法を得て数ヶ月の僕が扱えるシロモノではない。僕の事をリビングデッドだと思っている彼女にとっても、僕という存在は異常だ。
「教えてくれた人が居るからさ。手伝ってくれた人がいるからさ。誰よりもこの魔法を識る、誰よりも大切なものに触れられたくないと願った――
“拒絶の魔女”ティアナ・ブリュゲル。
それが僕に魔法を託してくれた子で、僕に魔法を教えてくれた子だ」
その言葉に不快そうに眉を寄せ、顔を顰めた魔女が吐き捨てる。
「……在り得ない。死体を動かすだけの存在が何を言うと思えば。
死者は蘇らない。例えどんな条理ですら捻じ曲げる魔法でも、それだけは変えれない、触れる事の出来ない絶対の“法”。それなのに死者が語りかけてきたとでも言うの?」
「確かに死んだ人は生き返らない。だけど、死んだ先は在る。
魔女が死んだ時、魔法が暴走し、膨れ上がる。そしてそれは急速に収縮して収まる。……疑問に思わないか?誰がその暴走を収めている?広がり続ける法を、誰が止めている?」
「…………」
再びの沈黙。その顔からは不快と嘲笑の感情も消え、真剣なものになる。
「世界だよ。今でも絶えず感じているだろう?世界に否定される窮屈感を。理を歪める事を許さないとする圧迫感を。
その先は魔法によって創り出された小さな異世界。展開された法ごと切り取られた隔絶された世界だ」
「そんな、世界が…… いえ、でも……」
魔女は呟く。心当たりが無いわけでは無いのだろう。魔法を展開する限り、誰であろうと常に感じている感覚だから。
「そこにあるのは誰も犠牲にせず、誰からも終わらされる事の無い、永遠の孤独。
あんたは死ぬべきだったんだ。だってそれが―― あんたの望みだろう?」
「――ッ!黙りなさいッ!!」
僕の言葉を振り払うように、魔女は激しく錫杖をかき鳴らし幸運の魔法の籠った魔術を放つ。愚直に、真っ直ぐ放たれた火球を僕は難なく弾く。動揺、している。魔女の、魔法の強さは思いの強さに比例する。気持ちが揺らげば、その分魔法は万全の力を発揮する事が出来ない。
「本当は犠牲になんてしたく無かったんだろ!
犠牲にしたく無いから、新しい場所に移り続けてるんだろ!」
「信じられないと、言っているのよ!!貴女の言葉が真実である確証がない!!」
確かに、僕の言葉だけじゃ確証に欠ける。それでも癇癪と共に斬撃の魔術を放ち、あえなく僕の魔法に弾かれた状態を見るに、あと一押しだ。
「一番大切な、最も愛した場所を、その情景をいつも夢に見るだろう?
それが、あんただけの“異世界”だ」
「――――ッ!!」
信じて、しまった。そう彼女の表情が物語る。
「煩い、煩い五月蠅い!だとしたら、私の歩んできた道はなんだったと言うのよ!
そんな事、認められないッ!!」
幸運の魔女から感じられる魔力が唐突に膨らみ上がる。これは、大技が、来る!
「滅びなさい!!『大八十禍津日』!!」
幸運の魔女が始動キーを叫び、術式を込めた魔法を発動させる。
現れたのは黒い球体。それが膨らみ、まるで水風船が弾けるように飛び散り、地面に、周りのビルに、電車の残骸に降り注ぐ。
地震と共に地面が割れた。
めくれ上がったアスファルトが、まるで鋭利な刃物の様に僕を突き刺そうと迫ってきた。
真横のビルがひび割れ、コンクリートの塊が雨の様に降って来た。
電車の残骸が、燃料がどこかに引火したのか、爆発と共に飛来してきた。
それら総てが不幸にも僕に一直線に、不幸にも障壁突破の術式を伴って、不幸にも寸分の逃げ場すらなく迫る。
「は、じ、け……飛べええぇぇぇェ!!」
それを僕は、全力の拒絶を以って弾く。ただ弾くだけなら、術式を介していない分、僕に部がある筈だ。拒絶と幸運の魔法がぶつかり合い……僅かに拒絶が上回り、それら総てを受け止めた。
「一度凌いだからといって調子に乗らないで」
彼女の言葉の通り、この攻撃は終わってはいない。飛び散った黒い液体が再び集まって球体を形成している。しかも、周りの犠牲になったものの不幸を吸収して、更に巨大になって。
無限に巨大化し続ける不幸の連鎖。それがこの魔法の効力なのだろう。第二波が来る前に、僕は一つの賭けに出る。
それは本来であれば幸運の魔女に対してあまりに悪手。賭けること自体、幸運の魔法の前には必敗の結果しか無い。
「『絶影・陽炎』」
始動キーと共に構成された魔法が、僕の姿をまるで風に揺られた陽炎の様に消す。
「姿くらまし?その程度の魔術、破れないとでも……」
その言葉と共に、幸運の魔女は幻影解除の魔術を発動させ――
「解除、出来ない!?……しまっ」
そして幸運の魔女は気付く。自身が選択を誤ったことに。
絶影・陽炎が弾くものはただ一つ。“光”だ。正確に言えば可視光線。鏡のように僕に当たる光を、少しだけ逸らし、屈折させる。弾くものに魔術要素は全く関わらない。引き起こしたのは魔導でも、現象事態は物理の範疇、科学だ。
あぁ、運が悪かったな、幸運の魔女。
あんたが選択するべきだったのは幻影の解除の魔術じゃない。本当の僕の影がどこにあるか、それを探るための探査の魔術だったんだ。そして“運悪く”選択を間違えたという事は彼女が何よりも“それ”を欲した訳で――
「おやすみ、“幸運の魔女”」
そして僕の手に握られた、マントを形態変化させて造り出したナイフが、幸運の魔女の心臓を貫いた。




