たくさんの命を乗せて
これは実話を少しアレンジしたものです。事故にあった人達を面白がったりひやかしたりする人達がいるのが残念です。文章が下手で申し訳ありませんが思いが伝わる事を願っています。
これはある日たまたま決めてたまたま来た電車に乗った人のお話です。
タカシは親と離れて大学に通っている。
「母さん、オレ母さんの為に名刺作ったから持って行くよ。」
母さんはひとり親で僕を育ててくれた。大学に行きたいと言った時も一言だって反対しなかったし嫌な顔ひとつしなかった。
だからこそ余計つらかった。
頑張ってバイトするから… カチッ! 明日は頑張ってる母さんに名刺届けるんだ★ タカシは母の喜び顔を想像しながら電気を消し眠りについた。 ホームを降りるとたまたま電車が来ていた。
「あっラッキー♪」
プルルルルル… 満員の1車両目に名刺を入れたバックを大事そうにかかえるタカシがいた。
いつもより少し速い電車に不安を抱きつつゆっくり目を閉じた。
キキーーッ!!!!! ………… テレビの向こうではアナウンサが同じ事をくりかえす。
「え〜私は今現場に来ています。マンションにぶつかった電車は潰れて他の車両も倒れています。尚1車両は2車両目の下敷きになっているもようです。繰り返しお伝えします…………」 タカシは…帰って来なかった。
私に名刺を届けに来たタカシは帰って来なかった。
私の為に電車に乗ったタカシは…帰って来なかった…
「お願いします(泣)!!茶色の四角いカバンです。どうしても必要なんです。息子が…」
「さえぎるようで申し訳ありませんが私達も忙しいんです。まだ見つかってない人もいるんですよ。息子さんの遺体が見つかってるだけで感謝して下さいよ。あなたのためだけに動いてるわけじゃないんで。」
「はい、わかっています(泣)ただ…」
私の隣には恥を忘れ、スーツで泣き叫ぶ40代の男性の姿…目を腫らし立ちすくむ20代の女性…次々と見つかる遺体、それを見て苦しむ遺族… 日本とは思えないその一帯…私と同じようにここにいる全ての人にそれぞれのドラマ、それぞれの感情、語りつくせぬ思いや思い出があるのだろう… 灰色の空を見つめ遠くを見つめる母サキの髪を生暖かい風が通り抜けていった。
短い間ですが読んで下さりありがとうございます。知らない人達であっても苦しむ人と共に苦しみ悲しむ人と共に悲しめる人間になりたいです。これが少しでもひやかしやバカにする行為の減少に繋がればと願っています。評価など頂けたら次への意欲もわき大変嬉しく思います。