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ぼんやり太郎
昔々、あるところにぼんやり太郎と呼ばれる青年がいました。ぼんやり太郎はいつもぼんやりしていて気も利かず察しも悪いのですが、言われたことは素直にやり通し怪力で働き者した。
太郎は、親兄弟が日がな一日寝て暮らしているのに、自分だけが牛馬のように働かされているのに気づいていませんでした。
ある日、雀がやってきて
「やい、ぼんやり太郎。おまえは悔しくないのか。おまえの家族は働かず、おまえだけが働いている。おかしいじゃないか」
たしかに、とぼんやり太郎は思いました。
その日からぼんやり太郎は、ぼんやり寝太郎になりました。親兄弟のマネをして働かず日がな一日、板の間にゴロリと転がって過ごすようになったのです。
これでは暮らしが立ち行きません。
親兄弟は弱って、しぶしぶ自分たちも働くことにしました。
ぼんやり寝太郎も、親兄弟が働いた分を超えないように働くことにしました。家族には不満を言われましたが、太郎はやっとただの太郎になれたので満足でした。