ある英雄の独白
ある女の子は世界を救うという夢を持った。
ある男の子はスーパーヒーローになりたいという夢を持った。
ある女の子は世界を救うために努力をした。
ある男の子はスーパーヒーローになるための努力をした。
ある女の子は勇者の1人に選ばれた。
ある男の子は必死に努力を続けた。
ある女の子は悪に敗れ、世界を救う事が出来なかった。
ある男の子はスーパーヒーローになれなかった。
ある女の子は、責任を問われ殺された。
ある男の子は、とある勇者が死んだと聞き、絶望した。
2人は幼なじみだった。
ある男の子は思い出した。スーパーヒーローになりたいのではなく、女の子が純粋に好きで、彼女の隣に立ちたかったのだと。
ある男の子は努力をした。
ある男の子は努力をした。
ある男の子は努力をした。努力をした。努力をした…
そして月日が流れ、男の子は老人とも呼べる年齢となった。
強くなった。悪を倒した。命懸けの死闘をした。
それでも、老人は1人だった。
感謝をされた。好意を寄せられた。好きだと言われた。
それでも、老人の隣には誰も居なかった。
とある男の子は英雄になることができたのだろう。
世界中で持て囃された。
しかし、彼はスーパーヒーローになれなかった。ある女の子を救えるようなスーパーヒーローになれなかった。
結局彼は孤独だった。