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シャルル=ヘイストンの華麗なる事情 ⑧

前半BL要素あります

そんな件はあったけれど、結局僕とブレナー先輩は教室でヤる事はヤったのだ。


もちろんただでは僕の気が収まらない。

散々デヴィッドを焦らし――快楽を限界まで我慢をさせた。


「シャルル君…お願いだ。もう無理だ…僕は…」


デヴィッドが僕へと懇願して珍しく音を上げた。

そこまで虐めてあげてから、やっと僕の気も晴れて…まあ赦してあげたのだが。


デヴィッドは僕からの赦しが出た途端、僕へと覆い被さり…身体を弄りながら、うわ言の様に愛を囁いていた。


デヴィッドが興奮して上げる声を心地よく聞きながらも、僕は先程の彼の忠告を冷静な頭で考えていた。


 +++++


いつもより少し遅くヘイストン家に帰宅した僕は、姉さまが早めに夕食を摂って自室で勉強をしているとメイドから聞いた。


朝練の為に明日も早く家を出るに違いない。


(…このままでは姉さまに会って話をする機会が無くなる)

と思った僕は、夕食を摂った後に姉さまの自室を訪れる事にした。


何故かいつもよりも緊張をしながら、コンコンと姉さまの部屋の扉をノックする。

すると中からはいつもの様に「はーい」と明るい姉さまの声が返ってくる。

僕は扉越しに姉さまに声を掛けた。


「…姉さま。話があるんだけど、いい?」

「――え?…シャルル?帰ってきたの?」


ガチャリと音がして薄く扉が開くと、姉さまが立っていた。

二、三日会っていないだけなのに姉さまがいつもよりも小さく見える。

(…いや、僕がデカくなっているだけか)


次いでにクラスメイトの言葉――

『…小動物っぽくて可愛いよな』

を思い出してしまい、また少しモヤっとした。


「…あれ?ねえ、なんかシャルル…ちょっと見ないうちにまた大きくなってない?」

姉さまも同じ事を思ったのか僕と同じ様な事を言っていた。


「ちょっと中で話したいんだけれど…いい?」

「あ、いいわよ。どうぞ…試験の勉強中だからさ、散らかっているけれど」


部屋の中に入ると何時に増しても部屋が汚い。

教科書は何冊も危ういバランスで乱雑に積み重なり、至る所に何かをメモした様な羊皮紙や新聞紙が乱雑に散らかっている。


しかも姉さまは紙の切れ端を髪の毛にくっつけていた。

僕は姉さまにくっついている小さな紙くずを指先で取ってあげた。


(何だ、これは…。新聞紙か?姉さまは本当にネズミにでもなってしまったのか?)

「…本当に真剣に汚いじゃない」

「ねーえー…だから散らかってるって言ったじゃないの。試験が終わったら掃除するわよ、その方が一度で済むし…」


姉さまはぷくっとむくれると腰に手を当てて僕に言った。


部屋を見渡すと、特に花が飾ってあるわけでもポプリのような芳香剤がある訳でも無い。

けれど不思議な事に甘い匂いがする。


(…姉さまの匂いだ)

こんな事まですぐわかるのが自分で嫌になり、僕は小さくため息をついた。


唯一座るスペースがあった姉さまのベッドの方まで、僕は床の物を踏まない様に気をつけながら歩いて座った。


姉さまはどうやら勉強をしながら僕の話を聞く気らしい。

机に直ぐに向かってまた勉強を始めている。


「珍しいね。いつも試験前は姉さまもしっかり勉強してるけど…こんなに追い込んではやらないじゃない」

「うん?…うーん…そうかなぁ。普段からやっているけど。()()今回のテストは()()()良い点を取りたいのよ――ああ、もうここが分かんない…」


僕は髪の毛をガリガリとしながら机に向かう姉さまの側まで、床のゴミ――もとい散乱物を避けながら近づいた。


後ろから姉さまが苦戦する問題を覗き込みながらも、髪を掻きむしる姉さまの手を僕はそっと押さえた。

「ダメだよ。綺麗な髪が痛むでしょ――ほら見て。この方程式を使うんだよ、これにこう当てはめて…」


僕が問題の説明をひとつひとつ姉さまにする間、ふと気が付くと何故か彼女は今にも泣きそうな顔をしていた。


そんな顔を僕は見た事が無い。


「姉さま、なんでそんな顔をするのさ…今までは平気だったのに僕に教わるのが急にイヤになった?」

「…違うわ。でも自分で解きたいのよ…。()()()シャルルの手を借りないで」

「…()()()?」


僕はため息をついて姉さまから離れ、また足の踏み場の無い床を歩いてベッドに腰かけた。

『今日ここでしっかりと聞いておかなければならない』と何故か思ったからだ。


何時の間にか姉さまも勉強の手を止めてこちらを見ている。


「ねえ…なんで今回に限ってそんなにこだわるの?」

「……」

「僕の手を借りるのがどうして嫌なの?ダンスだって朝わざわざ他の生徒に頼む位…」

「頼んでないわ。交換だもの」

「それ、どういう意味さ?」


姉さまは暫く黙ってから言いにくそうに話し出した。

「デ…デートして欲しいって…言われたの。『じゃあ代わりにダンスの練習とパートナーをしてくれたらいいわ』って返したら、快く了承してくれたから…」


「――ハアッ!?」

驚きと怒りのあまり僕の声が完全に裏返った。


「デ、デート――!!?」

 

 ++++++


姉さまは一瞬あんぐりと口を開けて僕を見た。


そして気にする様に扉の方をちらと見ながら、僕へと言った。

「び、びっくりした…ちょっとシャルル、あんまり大声出さないでよ。メイド達が何事かと思って来ちゃうじゃない」


僕にしたらそれどころの話では無い。

「ね…姉さま。デ、デート…するの?」

不覚にも自分の声が震えない様にするのが精一杯だ。


確認の為の言葉をやっと吐き出しながらも、僕の脳裏には延々と今日の夕方の生徒会の一室での僕とデヴィッドの姿が浮かんでいた。


(――嘘だろう?姉さまがあんな事を…)


()()()()()()()()()()()()()()()()()…?


吐き気が小さく込み上げる。

僕は思わず立ち上がった。

何か姉さまが言っている気がしたが、僕の耳に全く入ってこない。



()()()()…?

(冗談ではない――無理だ)

 


()()()()()…?

(――駄目だ。そんな事は…許せない)



絶対に駄目だ。

――許せない。


()()姉さまが――姉さまが()()()()()とあんな事をするなんて。

お待たせしました。m(__)m


読んでいただきありがとうございます。

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