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収納機能

 手紙を呼んだ俺は今ユニ父と一緒に町の外へと出ていた。


「こんなところで一体何を?」

「さっき説明したじゃないですか。その荷馬車をしまえるか試すんです」


 手紙にはこう書かれていたんだ…



【子供は預かっている。返して欲しいならばその店で扱っている食べ物のレシピと交換だ。交換を望むのなら日が落ちた後港の5番倉庫へ来い。望まないのなら子供は生きていないと思え】



 ユニ父が顔を真っ青にし今にも倒れそうになった。俺は交換に応じるつもりだというと、ユニ父もその場に連れて行ってくれといってしつこかったんだ。まあ子供のことは心配だよな…だけど今日帰るはずの人が家に帰ってこないのも心配をかけてしまう。村へと帰る他の人にユニ父は手紙を渡すことでそれはどうにかなったんだが、持ち帰るはずの荷物を放置するわけにもいかなかった。それでもしかしたら何とか出来るかもしれないと気がついた俺は、それを試して出来たならいいけど出来なかったら荷物を諦めるか、大人しく先に帰っていてもらうように言ったんだ。


 で、今町の外にいるわけなんだが…


「とりあえずさっさと試そうか…」


 そういうと俺は収納から取り出した。取り出したのは…ドンナーの店舗! 一度召喚した物なので収納にしまわれていただけのもの。だからか前みたいに倒れることはなかった。


「これは…っ」


 建物の大きさになのか見た目がこの世界にないもののせいなのか知らないが、ユニ父が驚いて見上げていた。まあ俺が今までみた一般民家の家よりは大きいのでわからんでもない。


「俺の召喚魔法で出したものは保管する場所があるんだけど、それ以外は無理なんだ。だけど…この建物の中に置いたものをそのまましまえるかは試したことがないんだ」


 口を開けて驚いているユニ父は放置し、俺は早速動き出す。店の裏口側にはソファーとかちょっと大き目な物を運び入れるために出入り口が大きくなっている。そっち側へと周り扉を開けた。


「おーい大丈夫か?」

「あ、ああ…驚いてしまって」

「そんなことしている暇はないだろう?」

「そうだ…そうだったなっ」

「じゃあさっさとここから荷馬車を中へといれてくれ」


 ユニ父は頷くと荷馬車を店舗の中へといれた。


「あ、念のために馬は外して他へ預けておいてくれ」

「そうなのか?」


 お試しとはいえ生き物を入れたままは流石に怖い。しまえるのならそれに越したことはないのだが、取り出したときに無事じゃなかったら困る。俺の言う通りにユニ父は馬を荷馬車から外して外へと出した。


「じゃあしまっていみるね」


 ユニ父が頷くのを確認したので俺は店に触れて収納へしまうようにイメージをした。店は何事もなかったかのようにその場から消えた。


「…しまえたな。じゃあ出して見るから」


 俺は再び店舗を収納から取り出し、中へと入って荷馬車を確認する。見たところ特に問題なさそうに置いたままの位置にあった。


「よし、問題ないみたいだね。だったらここにはもう用はないから次にいくよ」

「次…?」


 店舗を収納にしまってから俺たちはまた町の方へと歩き出した。ユニ父はよくわからないまま俺の後をついてくる。


「俺が店で出してた商品のレシピが目的だって言ってただろう?」

「ああそれとユニを交換だと書かれていたな」

「もちろん俺としてはレシピを渡すだけで本当にユニを返してくれるならいいんだ。あんなもんむしろ広まってくれたら自分で作る必要がなくなるんだしね」

「カイ君…」

「でだ、問題はそれじゃなくてこのまま大人しく相手の言いなりになるのが嫌なんだ」

「つまり…?」

「まだ日が暮れるまで時間があるんだ。相手のことを調べてどうせなら嫌がらせをしてやる! それに相手がわかれば状況によっては俺たちの身を守ることにもつながるかもしれないだろう? そのためにまずこの手紙を持ってきた子供たちに話を聞いてみようかと思う」


 俺の話にユニ父はまた口を開けて驚いてた。特に変なことは言ったつもりはないんだけどな~


「というわけであんたは5番倉庫を誰が使っているのか調べられないか?」


 次のこれの言葉にユニ父ははっとした顔をしてこっちを向いた。


「…たしか商業ギルドで誰が使っているか履歴が保管してあると思う」

「それは個人で入れるものなのかな?」

「使ったことはない。だから見れるかどうかはわからないな」

「だったら賄賂だな」

「わ…なんだって?」


 俺は露店をしながら作っていたパンケーキを取り出した。すでに切り分けてあり紙で包んである。


「これを渡しながら、その倉庫に荷物を運ぶように言われているがごろつきどもが入っていくのを見た。自分の身を守るためにも本当にそこが安全なのかを知りたいので現在の利用者を教えてくれ。とでも言えば教えてくれるんじゃないか?」

「なるほど…たしかにそれなら教えてくれる可能性もあるかもしれない」

「ま、教えてくれなかったら、私の命もここまでなのですね…ではせめて家族だけでも無事であるように祈っていてください。といいながらパンケーキを取り上げゆっくりとギルドをでてくればいい。これでも教えてくれないようなら別の方法を考えようか」

「カイ君はよく色々案が出てくるものだね…私には思いつけないよ」


 俺だって必死に考えているだけなんだけどな。流石に目の前で気がつかない間に知り合いが攫われていたなんて笑えない。絶対何か見つけて相手をぎゃふんと言わせる!

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