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スリーピング・サーガ~世界が眠りに堕ちる前に~  作者: 秋月流弥
第7章:材料④イバラの森の魔女の涙、秘薬の完成……?
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第40話:暗転

「セージ!」

「ZZZ……」


セージ宅に乗り込みベッドに眠る

セージに完成したメザメールを飲ませた。


「……う」

セージの瞼がぴくりと動き、次第に閉じていた瞳が開いた。

「なんかよく寝た~! おはようダミ子! 超いい朝だね!」

「いや夕方だが」

マイペースな婚約者の起床に反射神経でツッコミを入れる。

「大丈夫かセージ? どこか具合が悪いところとかないか?」

「平気さ! ぐっすり寝てすっきりだよ」

「そうか、よかった……」

ほっと胸を撫で下ろす。

よかった。薬の副作用はないようだ。

ほっとするダミ子を見てセージは花瓶にさしてあったバラを咥え、

「ダミ子が目覚めさせてくれたんだね。さすが僕の愛するフィアンセだ」

「あーはいはいどうもどうも」


復活した途端カッコつける婚約者をいつもの要領でスルーした。


「やりましたねダミ子さん! セージ様も目を覚ましたし、メザメールは治療薬として成功です!」

「ああ。これを量産すれば他の国の永眠病スリーピング・ホリックの人たちも救える!」

マースとハイタッチをした。

「よし、さっそく国王と研究所に報告して……」



「ぐぅ」



「あれ、セージ?」

「ZZZ……」


ベッドを見ると、セージは再び眠ってしまった。


「おい! どうした! 狸寝入りか? 目を覚ませ!」


揺すり動かしてからの往復ビンタで叩き起こそうとするも、セージが目を覚ますことはなかった。


「どうしてまた眠ってしまうんだ!?」

「ダミ子さん、あれ」

マースが窓の外を指さす。その顔面は蒼白だ。


街の人たちが次々と倒れていく。


「おいどうした!」

「イビキ? 眠っているのか!?」

倒れる人に駆け寄る通行人が叫ぶ。

次の瞬間、「ぐぅ」通行人も眠ってしまう。

「これは……」

永眠病スリーピング・ホリックの症状……!?」

部屋の外で大きな音がした。廊下に出るとセージの父親が大イビキをかいて床に転がっていた。

「親父殿!」

「どういうことです!? メザメールは効いてなかったんですか? それに、どうして一斉に眠りにおちる人が!?」

「……とりあえず王室へ行く。メザメールの結果と現在起きてる事態を報せる。マースくんは倒れてる人たちに二次被害がないか確認、安全なところに移動させるんだ」



グゥスカ城へ戻ると、城内は異様に静かだった。


床には倒れ眠る人たち。兵士も執事もメイドも全員眠りに落ちている。


「ここもか……」

玉座に座ったまま国王は鼻提灯を膨らませていた。周囲の護衛も立ったまま眠っている。

「……!」

最後の砦と思っていた薬剤研究所に駆け込むも、希望は儚く散った。カモミールも他の薬剤師たちも床に伏せるようにそれぞれ倒れていた。


「っ…………!」


ダミ子は走っていた。


あの場所は。あの場所だけは。


私の居場所。

大切な唯一の家族。


「お願いだ。無事でいてくれ……!」



自宅のドアをノックする。


返事は返ってこない。


ドアノブに手を伸ばすと鍵がかかっていた。用心深い祖父は家の中にいるときでも鍵をかける。

外出中の可能性も視野に入れたが現在は夕方。既に夕日が沈みかけている。

「ん?」

何かがドアの内側から聞こえた。

「この機械音。ゆロボだ」

小さく機械音が何かを呼んでるように聞こえた。

呼ぶ相手なんて、一人しかいない。


「じいさん!」


自分の持つ自宅の鍵でドアを開ける。

家の中は静かだった。


「あ……」


そこには。


まるで、死んでいるかのように祖父は床に座り込んで眠っていた。


『じーじ、じーじ』

ゆロボが祖父の傍らで祖父を呼んでいる。

祖父は眠ったまま返事をしなかった。


「…………」




「ダミ子さん!!」

肩を強く掴まれた。

いつの間にかマースが目の前に立っていた。

「マースくん……」

「城に行ってもいないからもしかしてって思って……大丈夫ですか? 顔が真っ青ですよ」

「祖父さんが……祖父もダメだった。眠ってしまっていた」

「っ……そうですか」

震える肩を抱くようにマースはダミ子の身体を引き寄せた。

「大丈夫です。絶対目覚めさせましょう。お祖父様も、カモミールさんや研究所の人たち、グゥスカ王国の人たちも皆目を覚ましてくれます。僕たちはまだ起きてる……だから、」

「……」

温かい。

いや、自分が冷えきっていたのか。

信じられないことが次々と目まぐるしく起きて、心が凍てつくような心地だった。

今は人の体温が感じられることが一番安心感を得られた。

「ありがとう。もう、大丈夫だ」

そっとマースから離れ、ダミ子は気を引き締めた。

「そうだな。起きてる私たちがしっかりしないとな」


(大丈夫だ。幸運にも私たちは眠りに堕ちてない)


自分たちにできることはまだある筈だ。



「おーい!」


空から声がした。

ドラゴンがこちらに向かい飛んできた。

「ドラゴン! あんた」

「どうしてグゥスカ王国に!?」

「大変じゃ! あれから村で婆さんとエアロビをしてたら、婆さんが突然眠ってしまったんだ! 村の連中も同じだ。急に倒れて眠り続けている!」

「! グゥスカ王国だけじゃないだと!?」


ドラゴンの話によると。

ここに来る途中他の村や町の様子を見たが、どこも同じで眠りに倒れる人々だらけだったという。


「世界中の人たちがどんどん眠りに堕ちてるってことか」

「世界中で何が起こってるんですか……!?」


秘薬メザメールは効かなかった。


それどころか世界中で永眠病スリーピング・ホリックにかかる患者が急速に増え始めている。


このままでは、全世界が永眠病スリーピング・ホリックによって眠りに堕ちてしまう!


ドラゴンは二人に背を向けて翼を広げる。


「乗れ! 【全知の森】へ行くぞ! 全知の精霊なら何か知ってるかもしれない!」


ダミ子とマースはドラゴンに乗り、かつて訪れた全知の森へ急いだ。



全知の森へ。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

続きます!

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