第11話:ダンジョンが思ったより広かった
アジトの洞窟は狭い入口から予想できないほど広かった。
湿度が高く薄暗い洞窟内には一定間隔ごとにランプが横の岩壁に設置され淡い橙の炎が揺れている。
天井は高くないものの奥行きが深く細い道がいくつも枝分かれし部屋数も多い。
等身大蟻の巣というかんじだ。
洞窟内にはランプを持った盗賊がうろうろしているため思ったように捜索できない。
「意外と広いな。人質がどこにいるのやら」
「そうですね……こっち覗いてみましょう」
入口近くの部屋を二、三室覗くとそれぞれ部屋に盗賊たちが数人たむろしている。
「一つ一つ部屋を覗き回ってたら盗賊たちに見つかるリスクも増えるな。目星がつくものでもあればいいんだけど」
「あっ」
「なんだマースくん」
「人質だから逃げられないように遠くの部屋に閉じ込めるんじゃないですか」
「なるほど奥の方探してみるか」
手前にある部屋を後にし、奥の部屋から攻めることにした。
ダミ子とマースは洞窟内を忍び足で時に走り時に分かれ道に身を隠し盗賊たちに見つからないよう慎重に進んでいく。
そして幾らか奥に進んでいくと数メートル先に一人の太っちょ盗賊が歩いているのを発見。腰元で何か光るものが揺れている。
「あれ鍵ですよ! 近くに牢屋があるんだ」
マースが小さく叫ぶ。
「かもな。追ってみよう」
太っちょ盗賊を追う。
右へ左へ奥へ奥へ、薄暗い洞窟を進んでいくと突き当たりに一番広い部屋が見えた。
そこにあったのは大きな牢屋。
牢屋手前にあった岩に身を潜め様子を伺う。
牢の中にはナマケモノが数十匹入っていた。
「間違いない町の住人のナマケモノたちだ」
「数からしてたぶん全員いますね。あんな一ヶ所に可哀想に」
牢屋に閉じ込められたナマケモノたちはぐったり檻の中で寝そべっていた。もともとそういう種族かもしれないが心なしか表情もやつれて見える。
「あの太っちょから鍵を取り上げたいところだけど」
「牢番が他にもいるのが厄介ですね」
牢屋には太っちょ盗賊の他に二人盗賊仲間がいた。三人は牢屋の前でたむろしていてこの場から退きそうにない。
さてどうやって鍵を手に入れるか……なんて迷う暇もなくダミ子は近くの助手に笑いかける。
「“こういう時”のためのマースくんだよな」
「やっぱ僕の出番ですよね」
隠密作戦は彼の十八番だ。
……失敗例あるけど。
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