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短編

こぼれ落ちるもの

作者: 見伏由綸


目に写る景色は綺麗な色をたたえて、毎日食べる食事は頬が落ちるほど美味しい。


隣人と交わす挨拶は1日の活力をくれて、星の出る夜空に安心して目をつむる。


誰に聞いても理想的だと言われる一日。

それが、ずっと続いていく。




それなのに




昨日の景色は朧げで、昨日のご飯は無味乾燥。


昨日会った隣人の顔はのっぺらぼうで、昨日の夜空には闇だけが広がっている。


誰がなんと言おうと理想的とは思えない昨日。

それが、ずっと積み重なっている。




ああ




昨日はいい日だった

そう思える君は

それがどれだけ幸福なことか

どれだけ貴重なことか

分かっていない


分かろうともしていない君は

それが毎日続くと信じて

ある日

たくさん持っていたはずの手が

空っぽだと気づくだろう


気づいて初めて

忘れることを恐れ

それでも忘れることを自覚し

悲しみと恐怖の中で毎日を生きる人々の

本当の哀しみを知るだろう




でもその頃には

きっともう












手遅れなんだ


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